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大学数学基礎解説
文献あり

一般化された同型定理で群の同型定理への造詣を深める

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前書き

本記事を閲覧していただき、誠にありがとうございます。
初めて書いた記事なので、まだ機能を使いこなせていないところもあると思いますが、大目に見て頂けるとありがたいです。
もし記入ミスや質問等がありましたら、コメント欄にて教えていただきたく、お願い申し上げます。
本記事の内容は、mt数学・数学史さんの【集合・写像・同値関係】
https://youtube.com/playlist?list=PLlA6jgaa1nviKq5NiD7MrhzPnXNVppTpw&feature=shared
を第二、第三同型定理まで拡張したものになります。
どこまでクオリティを高められるかわかりませんが、楽しんでいただけると幸いです。

前提知識

初頭的なものを主として扱うので、群、集合、論理それぞれに面識があれば、おそらく問題はありません。(全体的に冗長になることを避けて飛ばし気味です。後半、正規部分群Nとその同値関係RNの対応を注意書きなしで行なっているので、その点には注意して読んで頂けるとありがたいです。)

おおまかな流れ

集合における準同型定理

集合における同型定理

群準同型定理

群の同型定理

一般(集合)ver.

集合における準同型定理

写像、同値関係、商集合

集合XYに対して写像f:XYX上の同値関係R、商集合X/R
fXからYへの写像である Γ(f):=((x,f(x)))= {(x,y)X×Y|xX,!yYs.t.(x,y)=(x,f(x))}
RX上の同値関係 { RX×X xX,(x,x)R (x,y)R(y,x)R (x,y),(y,z)R(x,z)R
X上の同値関係Rに対して、
X/R:= xX{[x]R}(但し、[x]R={yX|(x,y)R})
と定義する
(同値関係と商集合は、群の同型定理との対応を考えてこのような体裁を取っていますが、通常、Rではなく〜で書き、定義も少し異なります)

次が本記事の内容の本質となる命題です。

写像の誘導する同値関係

写像f:XYに対して、Rf={(x1,x2)X×X|f(x1):=f(x2)}とするとRfX上の同値関係

証明は=が同値関係になっていることから容易にできるため、省略します。
さらにこの同値関係について、見出しにある集合における準同型定理が証明できます

集合における準同型定理

fXからYへの写像とする。この時、次の全単射fが存在する。
f:X/RfIm(f)

証明
Γ(f)([x]R,f(x))で定義すれば、Rfの定義よりfは写像としてwell-definedであり単射。また、Γ(f)の定義よりfは全射。よって題意は示された

集合における同型定理

見出しに集合における“同型”定理とあるが、まだ、集合の同型とは何かを定義していないので、ここで定義します。

集合の同型

XY:=集合XYが(集合として)同型 f:XY:全単射

集合における第二、第三同型定理の主張を簡略化する為に、追加で記法を定義します。

同値関係に関してのあれこれ

集合Xとその部分集合S、およびX上の同値関係R,T(但しRT)に対して
SR:={xX|(s,(x,s)))S×R}
S/R:=Im((πR:XX/R)S)
R|S:={(x,y)S×S|(x,y)R}
T/R:={([x]R,[y]R)X/R×X/R|(x,y)T}

ここで、この記事の主役である集合における同型定理を述べます

集合における同型定理

第一同型定理 f:XY,X/RfIm(f)
第二同型定理 SX,XR,SR/RS/R|S
第三同型定理 XR,T(TR),X/R(X/T)/(R/T)

証明
第一同型定理:集合の準同型定理との定義より従う。
第二同型定理:SR/RS/R=S/R|Sなので合成写像による同型が存在する。一つ目の同型は“/R”の定義とπRの値域の一致から、二つ目の同型(イコール)はRR|Sの定義するS上の同値関係が同じことからわかる。(具体的には、SR/Rから、S/R|sへの写像をπ([x]R):=[x]R|Sで定めれば良い)
第三同型定理:定義より、πT×πT(R)R/T,πR/TπT=πR
よって、RXを割ったものと、TXを割ってからR/Tで割ったものが一致することがわかる

群ver.

これからは群を対象とする為、今までの議論をそのまま適応することは出来ません。そこで、次の定義(ほぼ補題)を用意します。

群上の同値関係

Rが群G上の同値関係とは、次の同値な条件を満たすG上の同値関係のことである。
(1)(x,y),(x,y)R(xx,yy)R
(2)G/R[x][y]=[xy]welldefined
(3)N(x,y)Rxy1N

同値性の証明(証明中では[x]=[x]Rとします)
(3)(2):同値関係Rに対し、(x,y)Rxy1Nとなる正規部分群が存在するとする。x,x[x],y,y[y]に対してxx1,yy1Nより、xyy1x1=(xyy1x1)(xx1)N。よって[xy]=[xy]となり、welldefined
(2)(1):(x,y),(x,y)Rとすると、(2)より[xx]=[x][x]=[y][y]=[yy]。よって(xx,yy)R
(1)(3):まず、同値関係Rに対して、G内でxy1と書けるもの全ての集合をN と置く。gG(g,g)R及び(1)より、(x,y)R(gxg,gyg)RなのでzNgzg1N
また、(x,x)RよりeN,
(x,y)R(y,x)Rより zNz1N
(x,y)R(xy1,e)Rなので、z,zN(z,e),(z,e)R(zz,e)RzzN。よってNは正規部分群
証明はしませんが、部分群Hから(x,y)Rxy1Hで(群構造を保つとは限らない)G上の同値関係を定義でき、以降、この同値関係をRHと書くことにします。
このことから、群上の同値関係と正規部分群は一対一に対応することがわかります。

群準同型定理

群の準同型、同型を定義します。

準同型

G,Hに対して、ϕ:GHが準同型写像
ϕ(g1g2)=ϕ(g1)ϕ(g2)
また、kerϕ:={gG|ϕ(g)=e
G,Hに対して、準同型写像ϕ:GHで全単射なものが取れる時、GHは同型であるといい、GHと書く。(←以降、特に断りのない限り、この記号で集合の同型を書くことはしません)

定義4から、πRN:GG/RNは全射な群準同型写像となることがわかります。
次に本記事のテーマである一般化された同型定理を用いた証明を行います。

群準同型定理

ϕ:GHを群の準同型写像とする。この時、Rkerϕ=Rϕであり、次の同型(及び同型写像ϕ)が存在する。G/RϕIm(ϕ)

証明
まず、集合としての同型写像ϕを定理2と同じように取る。kerϕは正規部分群なので、(x,y)Rkerϕϕ(x)=ϕ(y)(x,y)Rϕ よりRϕは群上の同値関係となりG/RϕにはGから群構造が入る。[x],[y]G/Rϕ に対しϕ([x][y])=ϕ([xy])=ϕ(xy)=ϕ(x)ϕ(y)=ϕ([x])ϕ([y]) よってϕは同型写像となり、G/RϕIm(ϕ)
Gの正規部分群Nに対して、射影によってG/RNに群構造を入れることができ、これを単にG/Nと書く。

群の同型定理

集合における同型定理を、群の同型定理に焼き直す為に、次の補題で、記法の整理を行います。

群上の同値関係に関してのあれこれ

Gとその部分群H、および群G上の同値関係RN,RK(つまりN,Kは正規部分群)(但しKN)に対して
(1)HRN=HN
(2)RN|H=RNH|H
(3)RKRN
(4)RN/RK=RN/K
が成立する

証明
(1):gHRN(n,h)N×Hs.t.g=nhgNHgHN
(2):(x,y)RN|H{ x,yH xy1NH(x,y)RNH|H
(3):(x,y)RKxy1Kxy1N(x,y)RN
(4):([x],[y])RN/RKxy1N[x][y]1N/K([x],[y])RN/K
加えて、(4)から、RN/RKはまた、群上の同値関係になることが分かる。以降、これを単にR/Kと書く。
遂に本記事の大トリである、群の同型定理の証明を行います。

群の同型定理

Gに対し、次が成立する
第一同型定理:ϕ:GH:準同型写像に対し、G/kerϕIm(ϕ)
第二同型定理:Gの部分群Hと正規部分群Nに対し、HN/NH/(HN)
第三同型定理:Gの正規部分群N,K(但しKN)に対し、G/N(G/K)/(N/K)

証明
第一同型定理:群準同型定理と“/kerϕ”の定義より従う。
第二同型定理:集合の第二同型定理より、HN/NH/(RN|H)の間にπ([x]RN):=[x]RN|Hによる集合としての同型写像が存在し、定義よりこれは準同型写像。よってHN/NH/(RN|H)であり、補題及び定義よりH/(RN|H)H/(RNH|H)H/RNHH/(NH)より従う。
第三同型定理:集合の第三同型定理より、集合の同型πRN/KπRK(G)πRN(G)があり、(左辺)=πRN/K(G/K)=(G/K)/(N/K)、(右辺)=G/Nである為、補題5(4)より群構造も等しく、よってG/N(G/K)/(N/K)

最後に

最後まで読んで頂き、本当に有り難うございます。
これからも時間があれば、いくつか作ろうと思うので、応援のほどよろしくお願い申し上げます。

参考文献

投稿日:6日前
更新日:6日前
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投稿者

独学で数学をしている者なので、記事に訂正箇所があったときはコメントをして頂けると幸いです。

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