以下のような,苦手な犬に近づけば近づくほど怯えてしまい,歩く速度が遅くなってしまう少年が家から学校まで行く最適経路を考えましょう.
たかし君の家と学校を結ぶ線分上に,たかし君が苦手な犬がいます.
たかし君が歩く速度は犬との距離に比例しています.
たかし君が家から学校に出来るだけ速く行くにはどのようなルートで歩けば良いでしょう?
さらに,たかし君の歩行経路を極座標表示
たかし君の速度
また,
となります.よって,この問題は次のように定式化できます.
を最小にするものを求めよ.
この問題は、関数
このように,インプットが「関数」で,アウトプットが「値」であるような写像を汎関数といい,その最小化問題は変分法を用いて解析することが出来ます.ただし,最小解の存在を個別に示す必要があります.
(後日この変分法および最小解の存在証明(直接法)についての記事を投稿したいと思います.)
ひとまず最小解の存在については認めるものとして議論を進めましょう.
オイラー・ラグランジュ方程式は,定数
となります.これはいわゆる 対数螺旋と呼ばれる曲線になります.
例えば,
この場合,スタートから少しの間,学校から遠ざかるのは面白いですね.
また,
対数螺旋は,別名等角螺旋とも呼び,中心から伸ばした半直線と曲線がなす角は一定という性質があります.よって,たかし君は,進行方向と犬がいる方向のなす角度を一定に保って進めば良いことになります.
解法1の変分法はより一般的な幅広い問題に対してアプローチ出来る方法ですが,最小解の存在証明はソボレフ空間の議論を用いるなどして少し煩雑というネックがあります.そこでここでは変分法に頼らず解く方法を考えましょう.
汎関数
となります.したがって,
したがってこの問題は,変換後の空間上の点
もちろんながら,この問題の場合,最速経路は線分になります.
したがって,最速の経路は,