$R$を単項イデアル整域、$K$を$R$の商環とし、$I$を$n$変数多項式環$K[X_1,\cdots,X_n]$のイデアルとする。このとき$R[X_1,\cdots,X_n]$のイデアル$J$で、次の条件
を満たすものがただ一つ存在することを示しなさい。
初めに$i:R[X_1,\cdots,X_n]\to K[X_1,\cdots,X_n]$を自然な埋め込みとし、$J:=i^{-1}(I)$と置く。
このとき$I$の生成元を$f_1,\cdots,f_m$とし、各$i$に対して$a_if_i\in R[X_1,\cdots,X_n]$なる$0$でない$a_i\in R$を取ると、$I$は$a_1f_1,\cdots,a_nf_n$で生成されるから条件(i)が満たされている。
またある$f\in R[X_1,\cdots,X_n]$及び$0$でない$a\in R$に対して$af\in J$が成り立っているとする。このとき
$$
f=a^{-1}af\in I
$$
であるから、$f\in J$が従う。よって$R[X_1,\cdots,X_n]/J$は捻れなし$R$加群であり、
単項イデアル整域上の捻れなし加群は平坦
であるから、条件(ii)が満たされている。
最後に一意性を示す。初めに条件(i)を満たすような$J'$は包含$J'\subseteq J$を満たしている。$R[X_1,\cdots,X_n]$はネーター環であるから$J'$は有限個の元$g_1,\cdots,g_s$で生成されるイデアルである。ここで$J'\neq J$であると仮定し矛盾を導く。$f\in J\backslash J'$が$a_i\in K[X_1,\cdots,X_n]$を用いて
$$
f=a_1g_1+\cdots+ a_sg_s
$$
と表されるとする。このとき各$a_i$に対して$b_ia_i\in R[X_1,\cdots,X_n]$なる$0$でない$b_i$を取ると
$$
(b_1\cdots b_s)f\in J'
$$
である。しかしこれは$f+J'$が$R[X_1,\cdots,X_n]/J'$の捩れ元であることを意味し、$R[X_1,\cdots,X_n]/J'$の平坦性に矛盾する。よって仮定は誤りであり、$J'=J$が従う。以上で一意性が示せた。