0

微積演習 (1)

9
0

0. Intro.

微積の演習問題を 5 つ掲載。基本問題多めです。

1. Q & A.

eππe の大小関係を求めよ。


[ 解答 ]
関数 ff(x)=xelogx (x1) と定める。

このとき,f(x)=1ex (x>1) となるので,f の増減表は以下のようになる。

x1e(+)f(x)()0+(+)f(x)10(+)

ゆえに,f(x)0 (x1) となるので,π>e から,
πlogπe=πelogπ=f(π)>f(e)=0,すなわち,π>logπe.

よって,底 e>1 より,
eπ>elogπe=πe.


### COMMENT ###
関数を決めるのがやや難しい。底を揃える操作が定石。

IR を開区間,x0I とし,f:IRx0 のある近傍上で微分可能な関数,:IRx0 における f の接線,aR の傾きとする。このとき,以下の問いに解答せよ。

  1. 接線 が満たすべき 2 つの条件を簡潔に書け。ただし,傾き a および微分係数 f(x0) を用いずに解答すること。

  2. 上の (1) で提示した 2 条件を用いて,a=f(x0) が成り立つことを示せ。


  1. [解答]
    が満たす 2 つの条件を,a および f(x0) を用いずに書くと,以下のようになる:
    [ 条件 ⓵ ](x0)=f(x0) ,[ 条件 ⓶ ]limxx0xx0(x)f(x)xx0=0 .

  2. [解答]
    まず,条件 ⓵ より, は,
    [1](x)=a(xx0)+f(x0)(  xI )
    と表される。

    次に,ε>0 が与えられたとする。

    仮定より,fx0 のある近傍上で微分可能なので,
    [2] δ1>0 ; x(x0δ1, x0+δ1){x0} ,|f(x)f(x0)xx0f(x0)|<ε2 .
    また,条件 ⓶ より,
    [3] δ2>0 ; x(x0δ2, x0+δ2){x0} ,|(x)f(x)xx0|<ε2 .
    ゆえに,δ:=12min{δ1,δ2} とすると,[1], [2], [3] より,任意の x(x0δ, x0+δ){x0} に対して,
    |af(x0)|=|(x)f(x0)xx0f(x0)|=|(x)f(x)xx0+f(x)f(x0)xx0f(x0)||(x)f(x)xx0|+|f(x)f(x0)xx0f(x0)|<ε2+ε2=ε
    となるので,ε の任意性から,
    |af(x0)|=0 ,すなわち,a=f(x0) .


### COMMENT ###
奇妙な問題。条件 ⓶ に相当する条件は本来,a=f(x0)limxx0xx0|f(x)f(x0)xx0a|=0 だが,これらを少し変形したものを書けばOK。

N2 以上の整数,DRN を空でない連結な開集合,x0:=(x10,,xN0)D とし,f:DRx0 のある近傍上で偏微分可能な関数とする。
このとき,x0 における f の接平面の方程式を求めよ。


[ 解答 ]
k{1,,N} とする。また,
xN+10:=f(x0),x0:=(x0,xN+10),x:=(x,xN+1):=(x,,xN,xN+1) :x0 における f の接平面上の任意の位置ベクトル,P0 :位置ベクトル x0 を表す点,P :位置ベクトル x を表す点,e1,,eN,eN+1 :RN+1 内の基本ベクトル,πk:={x0+sek+teN+1  |  s,tR}
とする。


平面 πk 内における,点 P0 を通る f の接線上のある点 Pk として,
(x10,,xk10,xk,xk+10,,xN0,zk)(zkR)
を取る。

このとき,P0P=k=1NP0Pk であることから,
[1]xN+1xN+10=k=1N(zkxN+10)
が成り立つ。

また,平面 πk 内における,点 P0 を通る f の接線の方程式は,
XN+1xN+10=fxk(x0)(Xkxk0)(Xk,XN+1R)
となるので,Xk=xk, XN+1=zk のとき,
[2]zkxN+10=fxk(x0)(xkxk0).


ゆえに,[1],[2] より,
xN+1xN+10=k=1N(zkxN+10)=k=1Nfxk(x0)(xkxk0)
となるので,求める接平面の方程式は,
[f(x0)1](x[x0f(x0)])=0.


### COMMENT ###
接平面の方程式は,関数のテイラー展開によって説明される方が分かりやすいし簡単。
ちょっと真面目に導出しようとすると,このぐらいの感じになる。

p を正の整数とし,

{ak>0かつwk>0(k{1,,p})zn:=k=1p(ak)nwk(nN)
とする。このとき,以下の等式を示せ。

  1. limnzn+1zn=max{a1,,ap} .

  2. limn(zn)1n=max{a1,,ap} .


[解答]
まず,
N{1,,p} ;max{a1,,ap}=aN
となる。(仮定より,aN>0 である。)

  1. [解答]
    nN に対して,zn>0 であることに注意すると,
    zn+1zn=k=1p(ak)n+1wkk=1p(ak)nwk=aNk=1p(akaN)n+1wkk=1p(akaN)nwk={aNw1+k=2p(akaN)n+1wkw1+k=2p(akaN)nwk( N=1 )aNk=1N1(akaN)n+1wk+wN+k=N+1p(akaN)n+1wkk=1N1(akaN)nwk+wN+k=N+1p(akaN)nwk( 2Np1 )aNk=1p1(akaN)n+1wk+wNk=1p1(akaN)nwk+wN( N=p )
    となる。

    ゆえに,各 k{1,,p} に対して,
    limm(akaN)m={0(akaN)1(ak=aN)  =δ(ak,aN)
    となることから,
    limnzn+1zn={aNw1+k=2pδ(ak,aN)wkw1+k=2pδ(ak,aN)wk( N=1 )aNk=1N1δ(ak,aN)wk+wN+k=N+1pδ(ak,aN)wkk=1N1δ(ak,aN)wk+wN+k=N+1pδ(ak,aN)wk( 2Np1 )aNk=1p1δ(ak,aN)wk+wNk=1p1δ(ak,aN)wk+wN( N=p )=aN1=aN=max{a1,,ap}.

  2. [解答]
    nN に対して,
    (zn)1n={k=1p(ak)nwk}1n{k=1p(aN)nwk}1n=aN(k=1pwk)1n
    となる。

    また,
    M{1,,p} ;min{w1,,wp}=wM
    となるので,wM>0 より,
    (zn)1n{k=1p(ak)nwM}1n={k=1p(ak)n}1n(wM)1n=aN{k=1p(akaN)n}1n(wM)1n={aN{1+k=2p(akaN)n}1n(wM)1n( N=1 )aN{k=1N1(akaN)n+1+k=N+1p(akaN)n}1n(wM)1n( 2Np1 )aN{k=1p1(akaN)n+1}1n(wM)1n( N=p )aN1(wM)1n=aN(wM)1n.

    ゆえに,
    {aN(wM)1n(zn)1naN(k=1pwk)1n( nN )limn(wM)1n=1かつlimn(k=1pwk)1n=1
    となるので,はさみうちの原理より,
    limn(zn)1n=aN1=aN=max{a1,,ap}.


### COMMENT ###
(2) の左辺と右辺は,何となくLノルムと本質的上限感有り。

任意の zC に対して,数列 (znn!)n=00 に収束することを示せ。


[解答]
zC および ε>0 が与えられたとする。

このとき,ある NN{0} として,
(1)Nmax{1ε,  2|z|2,  1+log4(1ε)}
を満たすものを選ぶ。

ここで,nZ[2N,) が与えられたとする。


まず,|z|1 の場合を考える。

n2N>N であることに注意すると,(1) より,N1ε であるので,
|znn!|1n!1n<1Nε.


次に,|z|>1 の場合を考える。

(1) より,
N2|z|2かつN>2かつN1+log4(1ε)
であるので,
(2)|z|N12|z|かつN!>2N2かつ(14)N1ε.
ゆえに,n2N であることに注意すると,(2) より,
|znn!|=|z|NN!(|z|N+1|z|N+2|z|n)|z|NN!(|z|N)nN|z|NN!(12|z|)nN<|z|N(12)N2(12)nN(1|z|)nN=(12)n2(1|z|)n2N(12)2N21=(14)N1ε.

よって,以上のことから,等式 limnznn!=0 が成り立つ。


### COMMENT ###
非負整数 N の取り方が難しい。今は亡き某サイトNで投稿したものを,若干修正した形で掲載。

2. Outro.

『微積演習 (2)』へ続きます。(未定)

投稿日:16日前
更新日:2日前
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

スキマ産業。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 0. Intro.
  2. 1. Q & A.
  3. 2. Outro.