2
競技数学解説
文献あり

レスターの定理の orthotransversal を用いた証明

352
0

はじめに

レスターの定理は, 1997年にジューン・レスターによって発見・証明されたフェルマー点に関する定理である. 今回の記事では, orthotransversal を用いる一風変わった方法でレスターの定理を証明する. 点の定義は記事を通して一貫している.

本編

フェルマー点は orthotransversal と三線極線を用いた特徴づけが可能である. 以下の命題を示そう.

三角形ABCと点Pがある. Pの三角形ABCにおける orthotransversal, 三線極線をそれぞれ l,m とする. このとき, lmが一致することとPが三角形ABCにおけるフェルマー点に一致することは同値である.

Pの三角形ABCにおける cevian triangle をA1B1C1とする. B1C1BCの交点をA2, APB1C1の交点をA3とする. (B1,C1;A2,A3)=A(B,C;A2,A1)=1よりAPB1PC1を二等分することとA2PA=90°が成り立つことは同値である. 他の頂点についても同様に考えることで示された.

命題1より, フェルマー点を射影幾何的な視点から考察することができる. 実際, 以下の補題が成立する.

三角形ABCにおいて, キーペルト双曲線をH, 第一・第二フェルマー点をそれぞれF1,F2とする. F1,F2Hにおける極線は三角形ABCのオイラー線に平行である.

F2についても同様であるから, F1の場合のみ示す.
フェルマー点とキーペルト双曲線の定義から明らかな事として, F1H上にある. よって, F1からHにひいた接線kが三角形ABCのオイラー線に平行であることを示せばよい. F1の三角形ABCにおける cevian triangle をDEFとし, EF,FD,DEBC,CA,ABの交点をそれぞれX,Y,Zとする. 命題1より, XYZF1の三角形ABCにおける orthotransversal になっている. すると, kXYZは直交する( こちらの記事を参照 ). よって, XYZとオイラー線が直交することを示せばよい. 以下, より一般にH上の点の三線極線がオイラー線に直交することを示す.
三角形ABCの垂心, 重心をそれぞれH,Gとする. H,GH上にあることに注意. 有名事実として, ある三角形と, その外接円錐曲線上の任意の点Qについて, Qの三線極線はある定点を通る.( こちらのサイトを参照 ). よって, H,Gそれぞれの三線極線がオイラー線に垂直方向の無限遠点を通ることを示せば十分であるが, これはH,Gの三線極線がそれぞれ垂軸, 無限遠直線であることから従う.
よって示された.

次に, 以下の補題を示す.

三角形ABCの類似重心をLとする. このとき, LHにおける極線は三角形ABCのオイラー線に一致する.

H,Gの三角形ABCにおける cevian triangle をそれぞれHAHBHC, MAMBMCとする. 三角形MAMBMCの類似重心をL1, 三角形MAMBMCの傍心三角形をIAIBICとする. 明らかに三点L,G,L1は共線である. ここで, こちらの記事 の補題3, 2を, それぞれ三角形ABCと点G, 三角形IAIBICと点Gに使うことで, LGL1Hに接することがわかる. とくに, LHにおける極線はGを通る.
次に, 三角形ABCの tangential triangle をVAVBVCとする. 三角形HAHBHCと三角形VAVBVCの相似中心をL2とする.
L2Lの三角形ABCにおけるHの cevian quotient であるから, cevian quotient に関する有名事実として, LHにおける極線はL2を通る. 一方, L2は三角形ABCのオイラー線上にあることが簡単にわかる. すると, 以上の議論をあわせてLHにおける極線はG,L2を通るが, これはオイラー線に一致するので示された.

これらの補題より, 次の系が従う.

補題2, 3

Hの中心をWとする. このとき, 四点F1,F2,L,Wは共線である.

補題1, 2より, F1,F2,LHにおける極線が平行であるから従う.

それではレスターの定理の証明を行う.

レスターの定理

三角形ABCの九点円中心をNとする. このとき, 四点O,N,F1,F2は共円である.

F1F2とオイラー線の交点をMとする. さきほどの系に注意すると, 有名事実としてMHGの中点で, MG2=MF1×MF2である( こちらのサイトを参照 ).
また, 四点H,N,G,Oは調和点列をなすから, MG2=MN×MO. よって, MF1×MF2=MN×MO. よって示された.

おわりに

最後に, 本記事と関連した知識・手法を使う問題をいくつか挙げる. 問題4を除き自作であり, おおよそ難易度順に並べてある.

GLは三角形GF1F2G-symmedianであることを示せ.

三角形ABCの第一・第二等力点をそれぞれS1,S2とする. このとき, F1S1,F2S2は三角形DEFのオイラー線と平行であることを示せ.

Gの三角形ABCにおける orthotransversal をi, iの三線極点をIとする. このとき, GIiは垂直に交わることを示せ.

Dao Thanh Oaiによるレスター円の一般化( 参考 )

三角形ABCのノイベルグ三次曲線上に点Jをとる. Jを三角形ABCの各辺で対称移動させてできる三角形と三角形ABCの配影の中心をJとする. このとき, 四点J,J,F1,F2は共円であることを示せ.

参考文献

投稿日:2024727
更新日:2024824
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

yyaa
10
1820
幾何er

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中