Fubiniの定理を使って、$D_{1,2}f, D_{2,1}f$が連続であるとき、$D_{1,2}f=D_{2,1}f$が成り立つことの容易な証明を与えよ。
$D_{1,2}f$および$D_{2,1}f$は$a$を含む開集合$U$で連続であるが、$D_{1,2}f(a)\neq D_{2,1}f(a)$であると仮定する。
$D_{1,2}f(a)>D_{2,1}f(a)$が成り立つと仮定しても一般性を失わないので、そう仮定する。
$D_{1,2}f-D_{2,1}f$は点$a$で連続であるから、$a\in [b,c]\times [d,e]\subset U$をみたす閉直方体$[b,c]\times [d,e]$で任意の$x\in [b,c]\times [d,e]$に対し、$D_{1,2}f(x)-D_{2,1}f(x)>0$となるようなものが存在する。
よって、$\int_{[b,c]\times [d,e]}D_{1,2}f-D_{2,1}f>0$である。
一方、Fubiniの定理より、
$$\begin{align}
\int_{[b,c]\times [d,e]}D_{1,2}f&=\int_{[b,c]}\left(\int_{[d,e]} D_{1,2} f(x,y)\,dy\right)\,dx\\&=f(c,e)-f(b,e)-f(c,d)+f(b,d)\\&=\int_{[d,e]}\left(\int_{[b,c]} D_{2,1} f(x,y)\,dx\right)\,dy=\int_{[b,c]\times [d,e]}D_{2,1}f
\end{align}$$である。
よって、$0=\int_{[b,c]\times [d,e]}D_{1,2}f-\int_{[b,c]\times [d,e]}D_{2,1}f=\int_{[b,c]\times [d,e]}D_{1,2}f-D_{2,1}f$である。
これは矛盾である。