ここでは東大数理の修士課程の院試の2015B06の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2015B06
とおく。ここでトーラス及び厚みつきトーラスを考え、このトーラスの部分集合及びを
によって同一視して得られる商空間をとする。またの誘導する連続写像とおく。
- 整係数ホモロジー群を求めなさい。
- なる連続写像は存在しないことを示しなさい。
- 初めにの部分集合を考えたとき、及びはトーラスに、は二つのトーラスにホモトピー同値なので、Mayer-Vietoris完全列
が得られる。ここで次の準同型は適切な基底をとることで
である一方、次の準同型は適切な基底をとることで
である。以上から
である。 - まずはで生成される非自明な部分群を持つが、この生成元の代表元はによって一点に移される。よって所望のは存在しない。