ここでは東大数理の修士課程の院試の2020B04の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2020B04
以下の問いに答えなさい
- の素イデアルの個数を求めなさい。
- をとり、その中心をとおく。の素イデアルの個数を求めなさい。
- をの巾ゼロ根基とする。ここでの全ての極大左イデアルの共通部分をとする。このときの-線型空間としての次元を求めなさい。
- まず環同型
があるから、素イデアルの個数はのを含む素イデアルの個数に等しい。よってつである。 - まずの元
を考える。このときこれに右からを作用させたものは
である一方左からを作用させたものは
であるから、であるためには及びであることが必要になる。またでも同様の議論を行うことで、のときかつであることがわかる。一方
のとき、これは任意のの元と可換である。以上からは上とで生成される。ここで環準同型
の核はを含んでいて、はと同じ次元-線型空間であるから、
である。よっての素イデアルはの及びを含む素イデアルに対応しているから、このようなイデアルの個数はのつである。 - まずは次元-線型空間である。またはによって生成される次元線型空間である。ここで
であるから、はのイデアルを定めている。ここでである。ここで
を考えたとき、とはの極大イデアルを定めている。ここではの線型結合として表される。ここで
であるから、は巾ゼロイデアルである。以上からがわかり、であることもわかる。