はじめに
simasima special は筆者が発見した競技数学の技です。数え上げや確率・期待値の問題で有用です。漸化式や多項式での考察をスキップする事が出来ます。中々文字で説明するのは難しいので具体例をたくさん持ってきました。早速見てみましょう。
(余談:simasima specialのネーミングセンスの元ネタがヤジリンのテクニックである厚揚げスペシャル(青い厚揚げ氏)と最近分かった)
この記事で出てくる面サイコロはからまでの目が等確率で出るサイコロの事を指します。
にサイコロではありえない自然数が入る事がありますが、気にしないでください。
対称性を見つけよう
まずは簡単な問題から始めましょう。
丁半
つの面サイコロを振る時、出た目の和が奇数になる確率を求めよ。
出目の偶奇のパターンはパターンあります。
| | 和 | 確率 |
奇数 | 奇数 | 偶数 | |
奇数 | 偶数 | 奇数 | |
偶数 | 奇数 | 奇数 | |
偶数 | 偶数 | 偶数 | |
和が奇数になる確率は です。
次の問題も解いてみましょう。
変な丁半
面サイコロと面サイコロを振る時、出た目の和が奇数になる確率を求めよ。
7面サイコロは厄介ですね。
今回も出目の偶奇のパターンはパターンあります。
| | 和 | 確率 |
奇数 | 奇数 | 偶数 | |
奇数 | 偶数 | 奇数 | |
偶数 | 奇数 | 奇数 | |
偶数 | 偶数 | 偶数 | |
和が奇数になる確率は です。
これを見て何か気付かないでしょうか。
上二行と下二行を比べてみましょう。
が奇数の時、が偶数であれば和の条件を満たします。逆にが奇数であれば和の条件を満たしません。
が偶数の時、が奇数であれば和の条件を満たします。逆にが偶数であれば和の条件を満たしません。
が偶数か奇数かはで等確率なので、がどんな確率であれ、対称性から結局和が奇数になる確率はになるのです。
この考え方にピンとこなかった人は別の考え方をしましょう。
面サイコロを先に振り面サイコロを後に振る事にします。
| | 和 | 確率 |
奇数 | 奇数 | 偶数 | |
奇数 | 偶数 | 奇数 | |
偶数 | 奇数 | 奇数 | |
偶数 | 偶数 | 偶数 | |
この時面サイコロの出目がどうであれ、面サイコロの偶数と奇数の内一方が出れば和が奇数になり、もう一方が出れば偶数になります。
なので確率は結局 になります。
結局面サイコロが存在することで、他のサイコロに関係なく確率がになってしまうのです。
補足
後に振るという考え方の方が分かりやすいのですが、この後の拡張の導入として考えると、対称性の考え方も重要です。
3の倍数
面サイコロと面サイコロを振る時、出た目の和がの倍数になる確率を求めよ。
対称性から答えはになります。
を先に振ると考えても、結局の出目で決まるのでになりますね。
OMC165-Eの最後の部分の考察
数列()との組であって、が偶数になるものは何通りあるか。
これは数え上げの問題ですが、同じように考えます。
の偶奇の場合の対称性により、組のうち丁度半分が条件を満たします。
が答えです。
1000個のサイコロ
個の面サイコロを振る時、出た目の和がの倍数になる確率を求めよ。
を見てもを見てもいいですね。
いずれにしろ、答えはになります。
1001個のサイコロ
個の面サイコロと個の面サイコロを振る時、出た目の和がの倍数になる確率を求めよ。
が一個あるだけで、他が何であろうと、対称性から答えはになります。
対称性を勝手に作ろう
5個の変なサイコロ
個の面サイコロを振る時、出た目の和がの倍数になる確率を求めよ。
面サイコロが無くなっちゃいました。対称性が使えません。困った。
ここで面サイコロを勝手に作り出します。でも、どうやって?
面サイコロの出目を二つの集合に分けます。
ここで出た目の組()をその目が属する集合で変換してみましょう。
→
→
→
ここで、変換後の列が だった時、出た目の和がの倍数になる条件付き確率を求めてみましょう。
は実質面サイコロです。対称性が使えます!
何とこれは、ではありませんか!
他の組についてもが一つ以上含まれていれば、になります。
にならないのはの時のみで、この場合は自明に です。(誤植を修正しました)
これを基に全体の確率を簡単に計算できます。
OMC148-D (300点)
以下の素数の組 であって, をみたすものは 個存在するので, を素数 で割った余りを求めてください.
はに入りません。無視します。
以外の以下の素数を二つの集合に分けます。
にはでになる素数が個、になる素数が個含まれています。先ほどと同じように考えると対称性からが一つでも含まれた組は丁度半分が条件を満たします。全部の場合は条件を満たします。
(で割るパートは割愛)
応用
さいころの目の積が平方数になる確率
面サイコロを個振ったとき, 出目の積が平方数になる確率を求めてください.
これは有名問題で、
湧水さんの記事
でも取り上げられています。
今回は漸化式も関数も使わずに解いてみましょう。
面サイコロの出目を二つの集合に分けます。
に含まれる出目はの素因数の数の偶奇にのみ干渉します。
に含まれる出目はの素因数の数の偶奇にのみ干渉します。
ここで、先ほどと同様に変換後の組について出目の積が平方数になる条件付き確率を求めてみましょう。
には対称性があり、が一つでも含まれれば、の素因数の数がどちらも偶数になる確率はになります。
にも対称性があり、Bが一つでも含まれれば、の素因数の数が偶数になる確率はになります。
そしてこの二つはちゃんと独立です。(重要)
がどちらも含まれている場合は確率
のみ含まれている場合
のみ含まれている場合
よって求めるべき確率は
To Be Continued
まだ、この技の半分未満くらいしか見せられていませんが、長すぎて疲れてしまったので後編に続きます。
後編では、値の打ち消しや高度なグループ分けなどを取り扱い、OMC024-Dがいい感じに倒せ次第書き始める予定です。