ここでは東大数理の修士課程の院試の2019B02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
自然数n≥3及び正整数a1,⋯,anを考える。多項式X1a1+⋯+Xnan∈C[X1,⋯,Xn]は既約多項式であることを示せ。
帰納法により示す。fn:=X1a1+⋯+Xnanとおく。このときfi+1=Xi+1ai+1+fiである。C[X1,⋯,Xi]はUFDであるから、Eiseneteinの規約判定法によりfiの既約性からfi+1の既約性が従う。以上から問題はn=3の場合に帰着される。再びEisensteinの規約判定法から、任意の正整数a,bについてf|Xa+Ybかつf2∤Xa+Ybなる既約多項式fが存在することを示せば良い。
まずc∈C×及びgcd(a,b)=1なる(a,b)についてXa+cYbが既約であることを示す。まずb<aとして良い。このときXa+cYbはXa+cYb=∏z∈−ca(X−zYba)と表される。ここでfをXa+cYbを割り切る多項式とする。このときXとYの次数は整数でないといけないから、f=Xa+cYb、つまりXa+cYbの既約性が従う。
次にgcd(a,b)=g>1のとき、Xa+Yb=∏ζ∈−1g(Xag+ζYbg)と表されるから、走っているζを一つとってf=Xag+ζYbgとすれば良い。以上から任意のXa+Ybについて所望のfの存在が示せた。
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