お久しぶりです. (約2年ぶり)
今回は完全性と押し出し・引き戻しの関係性について見ていこうと思います.
以下,
まずは今回使うものを用意していきます.
ここで,
特に,
を考える. (各
と書くことにする.
特に, 短完全列と呼ばれるものに対しては次のような性質があります.
(1)
(2)
ただし,
完全性および準同型定理より示せる.
次の可換図式を考える:
(1)この図式が押し出し図式であるとは, 次の条件を満たしていることである:
このとき,
(2)この図式が引き戻し図式であるとは, 次の条件を満たしていることである:
このとき,
証明は省略しますが, 押し出し・引き戻しは同型を除いて一意であることが分かります. (テンソル積の普遍性と同様に示すことができる)
次の可換図式を考える:
このとき, 次が成り立つ:
(1)
(2)
今回示したいのは次の定理です.
次の可換図式を考える:
(1) 次は同値:
(i)
(ii)
(2) 次は同値:
(i)
(ii)
(i)
命題1より,
各
(
このとき,
これにより,
となるので,
(
・
このとき,
となる.
・
このとき,
となる.
(
(一意性)
となるので,
(ii)
(ii)の仮定より,
命題3より,
となるので, (i)の完全性が得られる.
(i)
命題1より
(
・
せる. これより,
を得る.
・
を得る.
(
(一意性)
(ii)
が成り立つので, (i)の証明より
となるので, (i)の完全性が示される.
この定理の使用例として, Homとテンソル積の完全性を示したいと思います.
テンソル積の普遍性より
ここで, 一般の圏に対して次が成り立ちます.
・
・
引き戻しと押し出しはそれぞれ極限と余極限の例の一つなので, これらより完全性に関する次の結果が得られます.
定理4の(1)より,
であることは, 次の図式が押し出し図式であることと同値である:
定理5の(2)より,
再び定理4の(1)を用いることで,
を得る.
定理4の(2)より,
であることは, 次の図式が引き戻し図式であることと同値である:
定理5の(1)より,
再び定理4の(2)を用いることで,
を得る.
このように, 随伴による極限・余極限の保存を示すのが少々面倒だけど随伴の性質を用いることで, 完全性を楽に示すことができます!