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東大数理院試過去問解答例(2006B12)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2006B12の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2006B12

自乗可積分関数の集合
$$ L^1(\mathbb{R}):=\left\{f:\mathbb{R}\to\mathbb{C}\middle|\int_{-\infty}^\infty |f|d\mu<\infty\right\} $$
を考え、$f\in L^1(\mathbb{R})$に対して
$$ \widehat{f}(\zeta):=\int_{-\infty}^\infty f(x)e^{-ix\zeta}dx $$
とする。

  1. 等式
    $$ \widehat{\psi}(\zeta)=\frac{1}{\zeta+i} $$
    を満たす$\psi\in L^1(\mathbb{R})$を全て求めなさい。
  2. $f,g\in L^1(\mathbb{R})$が等式$\widehat{f}(\zeta)=\zeta^2\widehat{g}(\zeta)$を満たすとき、
    $$ \widehat{h}(\zeta)=\zeta \widehat{g}(\zeta) $$
    を満たす$h\in L^1(\mathbb{R})$が存在することを示しなさい。
  1. まず
    $$ {\color{red}\psi=\begin{cases} -ie^t&(t\leq0)\\ 0&(0< t) \end{cases}} $$
    と定める。このとき
    $$ \widehat{\psi}=\int_{-\infty}^0 -ie^{t-it\zeta}dt=\left[\frac{-i}{1-i\zeta}e^{t+it\zeta}\right]_{-\infty}^0=\frac{1}{i+\zeta} $$
    である。一方フーリエ変換は$L^1(\mathbb{R})$上単射であるから、上で構成した$\psi$が条件を満たす$L^1(\mathbb{R})$の唯一の元である。
  2. まず(1)で求めた$\psi$を用いて
    $$ h=\psi\ast (f+g)+ig $$
    とおく。但し$a\ast b$$a,b$の畳み込み積を指す。ヤングの不等式より$h$$L^1(\mathbb{R})$の元を定めている。このとき畳み込み積とフーリエ変換の関係より
    $$ \widehat{h}=\frac{1}{\zeta+i}(\zeta^2+1)\widehat{g}+i\widehat{g}=\zeta\widehat{g} $$
    であるから、この$h$が所望の関数である。
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藍色日和
藍色日和
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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