こんにちは、itouです。
注:以下の内容は数値計算で得られた結果をもとにしています。厳密な証明はしていません。
訂正
本文では条件を満たす数列の分母は指数関数程度になるとしていましたが、のオーダーになるようです。訂正いたします。
(訂正日2023年11月3日)
前提知識
次の数列をアペリーの数列といいます。
また、この数列は
という表示をもちます。ロジャー・アペリー(Roger Apéry)はこの数列(とと同じ漸化式を満たす数列で初期条件がである数列)を用いての無理数性を示したのでした。
アペリーの数列と同様の性質をもつ(と思われる)数列
という形の漸化式を満たす数列がゼータ値と関係があることは私の
この記事
で解説しました。今回、この漸化式について新しい発見がありました。
においてにどのような整数の組を代入すると「性質がよい」数列を得られるでしょうか。ここで「性質が良い」とは、「を既約分数にしたときの分母が指数関数的にしか増えていかない」ことを指します。一般にはの分母はのオーダーになるはずです。例えば、
となり、分母はどんどん大きくなってしまいます。
しかし、以下のような場合は分母が指数関数程度となります!!
以下の場合には分母がのオーダーになります。
条件:を1または正の偶数として、整数の組がを満たす。かつ、である。
(例2の場合は特別なようです。)
となります。分母はと、2の冪になり、常にの約数であることがわかります。実際、私は次の表示を見つけました。
において、が偶数の場合の表示はの場合(つまりアペリーの数列の場合)を除けばまだ得られていません。
考察
今回の発見は個人的には大きなものです!既出でなければそれなりの成果といえるのではないでしょうか。それにしても、分母が指数関数程度のオーダーになるほど約数が割り切れていくとはなんとも不思議なことです。
謝辞
ここまで読んで下さりありがとうございました。誤植指摘よろしくお願いいたします。