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東大数理院試過去問解答例(2021A07)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2021A07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2021A07

集合
$$ M=\{f:[0,1]\to\mathbb{R}| f\textsf{ は連続かつ広義単調増加 }\} $$
を考える。ここで$M$上の位相(i)(ii)を考える。

  1. 距離$d(f,g):=\max_{x\in[0,1]}|f(x)-g(x)|$の定める距離位相
  2. 任意の$x\in[0,1]$について写像
    $$ \begin{split} \mathrm{ev}_x:M&\to\mathbb{R}\\ f&\mapsto f(x) \end{split} $$
    が連続になる最弱の位相、つまり部分集合族
    $$ \left\{\bigcap_{j=1}^m\mathrm{ev}_{x_j}^{-1}\middle|m\in\mathbb{N}_{>0}, x_h\in[0,1],I_j\textsf{ は }\mathbb{R}\textsf{ の開区間}\right\} $$
    で生成される位相

このときこれらの位相は一致していることを示せ。

初めに$M_1$及び$M_2$をそれぞれ位相(i)及び位相(ii)を入れた位相空間$M$とする。さらに$F:M_2\to M_1$を恒等写像とする。また$M_1$における収束$f_i\xrightarrow{i\to\infty}_1 f$は一様収束と同値であり、$M_2$に於ける収束$f_i\xrightarrow{i\to\infty}_2 f$は各点収束と同値である。よって$F^{-1}$は極限を保存し、$M_1$は距離空間(特に第一可算空間)であるから、$F^{-1}$は連続である。次に$M$の関数列$\{f_i\}$及び関数$f\in M$各点収束$f_i\xrightarrow{i\to\infty}_2f$していたとする。このとき$f_i$の広義単調増加性及び$f$の連続性により、一様連続$f_i\xrightarrow{i\to\infty}_1f$が従う(cf. 京大RIMS・数学教室2018基礎科目4 )。よって$F$も極限を保存する。ここで点$x$及びそれを含む開区間$I$から定まる$f\in M_2$の開近傍$\mathrm{ev}_{x}^{-1}(I)$を取ったとき、$f([x_1,x_2])\subseteq I$なる$x_1\in\mathbb{Q}_{< x}$及び$x_2\in\mathbb{Q}_{>x}$をとり$V(x_1,x_2,I)=\mathrm{ev}_{x_1}^{-1}(I)\cap\mathrm{ev}_{X_2}^{-1}(I)$とおけば、これは$f$の元の連続性及び広義単調増加性より$\mathrm{ev}_{x}^{-1}(I)$に含まれる$f$の開近傍である。よって有理数$a,b$$\mathbb{R}$の開区間から成る可算基の元$I$から定まる$V(a,b,I)$及びこれらの有限交叉全体の為す集合族は$M_2$の可算開基をなす。以上から$M_2$は第一可算公理を満たすから、極限についての議論と合わせれば$F$の連続性が従う。$F:M_2\to M_1$は同相であるから、$M_1,M_2$は同一の位相空間を定める。

投稿日:312
更新日:411
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント

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