ベータ積分は∫01ta−1(1−t)b−1dt=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)とガンマ関数で表すことができる. その二重類似として,∫0<s<t<1sa−1(1−s)b−1tc−1(1−t)d−1dsdtという積分を考えると, これは一般にはガンマ関数では表せないようである. しかし, 次のような場合にはガンマ関数で表すことができる.
a+b+c+d=1のとき,∫0<s<t<1sa−1(1−s)b−1tc−1(1−t)d−1dsdt=Γ(a)Γ(d)Γ(a+c)Γ(b+d)Γ(1−b)Γ(1−c)
sの方から展開すると,∫0<s<t<1sa−1(1−s)b−1tc−1(1−t)d−1dsdt=∫0<s<t<1∑0≤n(1−b)nn!sn+a−1tc−1(1−t)d−1dsdt=∫0<t<1∑0≤n(1−b)nn!(n+a)tn+a+c−1(1−t)d−1dt=Γ(a+c)Γ(d)Γ(a+c+d)∑0≤n(1−b)n(a+c)nn!(n+a)(a+c+d)n=Γ(a+c)Γ(d)Γ(1−b)∑0≤n(a+c)nn!(n+a)=Γ(a+c)Γ(d)Γ(1−b)∫01ta−1(1−t)−a−cdt=Γ(a+c)Γ(d)Γ(1−b)Γ(a)Γ(1−a−c)Γ(1−c)=Γ(a)Γ(d)Γ(a+c)Γ(b+d)Γ(1−b)Γ(1−c)
これはかなり綺麗な公式であり, 様々な応用が考えられそうである. 上の証明からa+b+c+d=1の条件がない場合も∫0<s<t<1sa−1(1−s)b−1tc−1(1−t)d−1dsdt=Γ(a+c)Γ(d)Γ(a+c+d)∑0≤n(1−b)n(a+c)nn!(n+a)(a+c+d)nは成り立つことが分かる. これらの間の関係式を考えるというのも面白そうな問題かもしれない.
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