院試(大学院入試)の対策で Mathlog の解説連載を読み込んでいる人は多いと思います。とくに東大数理院試・京大数理院試・阪大数学院試の解答例は、独学で外部から受ける受験生にとって、独自解答を組む際の中核資料です。
ただし、Mathlog 記事を「読む」だけでは院試の答案にはなりません。本記事では、Mathlog の解説連載を院試本番の答案に変える、3 段階の読み筋を整理します。
Mathlog の解説は、書き手が「正解への最短経路」を整理した結果です。一方で、本番の答案は時間制限と緊張下で書かれるため、最短経路を再現するのは難しい。読者の頭の中で「正解の輪郭」が再生できる状態になって初めて、答案として書けます。
最初に通読するときは、定理の選び方や式変形の細部を覚えようとせず、「最終結果が何か」「途中で何回大きな分岐が起きたか」だけを追います。
たとえば線形代数の問題で固有値を求めるなら、最終結果が固有値の集合なのか、固有空間の次元なのか、Jordan 標準形なのか。途中の分岐は、対角化可能性の判定 → 一般化固有空間の有無、というように 1-2 個の節目に整理できます。
この段階で答案を書く必要はありません。「自分が本番で書くべき結論の型」を頭に作るのが目的です。
2 回目に読むときは、「著者がどの定理を、どの順序で持ち出したか」を 1 段落ずつ言語化します。
例えば京大数学院試の解析の問題で著者が「一様収束→項別積分」の順で進めたなら、それを「一様収束を示してから項別積分を使う」と自分の言葉で書きます。著者が「コーシー列の構成→完備性」と進んだら、それも書きます。
この作業は、答案で書くべき接続詞を獲得することと等価です。「したがって」「ここで」「以上より」が文章の骨格になります。
3 回目は、Mathlog 記事を見ずに、自分で答案を書きます。書き終わってから記事を開き、論理の飛びと部分点の置き所で差分を取ります。