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内積・ユニタリ行列・直交行列

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部分群の具体例の中でユニタリ群というものが出てきて、ユニタリ行列ってなんだっけ?となってしまったので、ここで一度まとめておきたいと思いました。今回の記事はそんな感じで書いていきます。

内積

$x,y$$n$項列ベクトルであるとき、${}^tx$$(1,n)$型行列であるから、行列としての積${}^tx\overline{y}$$(1,1)$型行列として定義される。これをその唯一の成分と同一視して、$x$$y$内積といい、$(x,y)$で表す。

\begin{aligned} x&=\begin{pmatrix} x_1\\ x_2\\ \vdots\\ x_n \end{pmatrix} & y&=\begin{pmatrix} y_1\\ y_2\\ \vdots\\ y_n \end{pmatrix} \end{aligned}

ならば、

$(x,y) = \sum_{i=1}^n x_i\overline{y_i} = x_1\overline{y_1} + x_2\overline{y_2} + \cdots + x_n\overline{y_n} \hspace{5mm} $ (1)

である。特に、$x,y$が実ベクトルならば

$(x,y) = {}^tx y = x_1y_1 + x_2y_2 + \cdots + x_ny_n$

である。

具体例を用いて上が成り立っているのかを見てみようと思います。

\begin{aligned} x &= \begin{pmatrix} x_1\\ x_2 \end{pmatrix} & y &= \begin{pmatrix} y_1\\ y_2 \end{pmatrix} \end{aligned}

とする。このとき、$(x,y) = {}^tx y$が成り立つことを確かめよ。

簡単な$n=2$の場合を考えてみます。それ以外の場合も$n=2$の場合と同様に計算することができますが、ここでは、$n=2$の場合のみをやっていきたいと思います。

まずは、普通に内積を計算します。

$(x,y) = x_1y_1 + x_2y_2$

という答えが得られると思います。この答えに${}^txy$もなっているのかを見ていきます。

${}^tx = (x_1\hspace{3mm} x_2)$となりますから、

${}^tx y = (x_1\hspace{3mm} x_2) \pmatrix{y_1\\ y_2} = x_1y_1 + x_2y_2$

と求めることができます。これは、行列の積の計算をすればよいです。

ここから、$n=2$の場合、$(x,y) = {}^txy$が成り立つことが分かります。□

一般の複素ベクトルの内積を実ベクトルの内積と区別するために、とくにエルミート積ということもある。

内積はつぎの諸性質をもつ

\begin{align*} \left\{ \begin{aligned} (x_1 + x_2, y) &= (x_1, y) + (x_2, y) \\ (x, y_1 + y_2) &= (x, y_1) + (x, y_2) \end{aligned} \right. &\quad (2) \\[1em] (cx, y) = c(x, y) \ ,\ (x, cy) = \bar{c}(x, y) &\quad (3) \end{align*}

$(y ,x) = \overline{(x , y)}\hspace{1cm}(4)$

$(x , x)$は0または、正の実数であり、$(x , x) = 0$となるのは、$x = 0$の場合に
限る。$\hspace{1cm}(5)$

はじめ三つの性質は共役線型性と呼ばれ、最後の性質は正値性と呼ばれる。$(x , x)$の負でない平方根を$x$長さ、あるいはノルムといい、$\|x\|$で表す。

(ノルム)

$\|x\| = \sqrt{(x , x)} = \sqrt{|x_1|^2 + |x_2|^2 + \cdots + |x_n|^2} \hspace{1cm} (6)$

(イ)$|(x , y)| \leqq \|x\| \cdot \|y\|\hspace{1cm}$(シュヴァルツの不等式) (7)
(ロ) $\|x + y\| \leqq \|x\| + \|y\|\hspace{1cm}$(三角不等式) (8)

等号は、$x , y$が比例するとき、([ロ]ではとくに比例定数が非負実数のとき)のみ成り立つ。

証明
(イ):$y = 0$ならば、両辺とも0だから成り立つ。
$y \ne 0$とする。任意の複素数$a,b$に対して

$0 \leqq \|ax + by \|^2 = |a|^2\|x\|^2 + a\overline{b}(x,y) + b\overline{a}\overline{(x , y)} + |b|^2\|y\|^2$

ここで、$a = \|y\|^2 , b = - (x,y)$とおけば、

$0 \leqq \|y\|^4\|x\|^2 - \|y\|^2|(x , y)|^2 - \|y\|^2|(x , y)|^2 + \|y\|^2|(x , y)|^2$

両辺を$\|y\|^2$で割って第2項を移項すると、

$|(x , y)|^2 \leqq \|x\|^2\|y\|^2$

負でない平方根を取れば、(イ)を得る。

(ロ):三角不等式は微分積分の教科書などに載っている証明方法もあるかと思いますが、ここではそのやり方はせずに、地道に計算をして成り立っていることを示していきたいと思います。(エレガントな証明ではないと思います)

左辺を2乗すると、

$\|x + y\|^2 = \|x\|^2 + (x, y) + \overline{(x , y)} + \|y\|^2 \leqq \|x\|^2 + 2|(x , y)| + \|y\|^2 \leqq \|x\|^2 + 2\|x\| \|y\| = (\|x\| + \|y\|)^2$

この両辺の負でない平方根を取ればよい。□

$(x , y) = 0$のとき、$x$$y$直交するという。

直交行列・ユニタリ行列

$A$$(m , n)$型行列、$ x$$n$項列ベクトルならば、$Ax$$m$項列ベクトルであるから、任意の$m$項列ベクトル$y$との内積が定義される。

$A$$(m,n)$型行列ならば、任意の$n$項列ベクトル$x$および$m$項列ベクトル$y$に対し、

$(Ax , y) = (x , {}^t\overline{A}y) \hspace{1cm}(9)$

が成り立つ。

逆に、任意の$x , y$に対して、

$(Ax , y) = (x , By)\hspace{1cm}(10)$

が成り立てば、$B = {}^t\overline{A}$.

$u = \pmatrix{u_1\\u_2} \hspace{2mm},\hspace{2mm} v = \pmatrix{v_1\\v_2} $とする。

このとき、$(u , v) = u_1v_1 + u_2v_2$となる。

ここで、${}^tuv = \pmatrix{u_1 \hspace{3mm}u_2}\pmatrix{v_1\\v_2} = u_1v_1 + u_2v_2 = (u , v)\hspace{5mm}(11)$

よって、$(u , v) = {}^tuv$である。複素ベクトルの場合も同様に示すことができる。

証明
上の結果(11)を用いて、(9)を示す。

(11)より

$(Ax , y) = {}^t(Ax)\overline{y}$

となる。計算をしていくと、

$(Ax , y) = {}^t(Ax)\overline{y} = {}^tx{}^tA \overline{y} = {}^tx \overline{{}^t\overline{A}y} = (x , {}^t\overline{A}y)$

$y$が複素数ベクトルの場合は、上のようになるが、実ベクトルの場合は$y = \overline{y}$となる。

(10)が成り立つと仮定する。このとき、任意の$x$に対して

$(x , ({}^t\overline{A} - B)y) = 0$となる。

($(Ax , y) = (x , {}^t\overline{A}y)$が成り立つので、(10)より、$(x , {}^t\overline{A}y) = (x , By)$.

よって、$(x , {}^t\overline{A}y - By) = 0 \Longleftrightarrow (x , ({}^t\overline{A} - B)y) = 0$)

したがって、任意の$y$に対して$({}^t\overline{A} - B)y = 0$

ゆえに、$B = {}^t\overline{A}$

${}^t\overline{A}$$A$随伴行列といい、$A^{*}$で表す。次の諸性質は明らかである。

$(A^{*})^{*} = A \hspace{2cm} (A + B)^{*} = A^{*} + B^{*}$

$(cA)^{*} = \overline{c}A^{*}\hspace{2cm}(AB)^{*} = B^{*}A^{*}$

正方行列$A$$A = A^{*}$を充たすとき、$A$エルミート行列という。これは、任意のベクトル$x$に対して、

$(Ax , y) = (x , Ay)$

が成り立つことにほかならない。とくに実エルミート行列を実対称行列という。

$A = (a_{ij})$とすれば、$a_{ji} = \overline{a_{ij}}$が成り立つ。とくに対角成分はすべて実数である。
$A$が実対称行列ならば、$a_{ji} = a_{ij}$である。

(ユニタリ行列・直交行列)

正方行列$A$$A^{*}A = E$を充たすとき、$A$ユニタリ行列という。とくに実ユニタリ行列を直交行列という。

ユニタリ行列は正則であり、$A^{*} = A^{-1}$である。また、$A , B$がユニタリ行列ならば、積$AB$もユニタリ行列である。また、$A^{*} = A^{-1}$もユニタリ行列である。

$n$次正方行列$A$に関するつぎの四条件は同値である。

(イ)$A$はユニタリ行列である
(ロ)任意の$n$項列ベクトル$x$に対して
$||Ax|| = ||x||$
(ハ)任意の$n$項列ベクトル$x,y$に対して
$ (Ax , Ay) = (x , y)$
(二)$A$の列ベクトルを$a_1 , a_2 , \cdots , a_n$とするとき、
$(a_{i} , a_{j}) = \delta_{ij} = \begin{cases} 1 & (i=j)\\ 0 & (i\ne j) \end{cases}$

証明方法は、命題3のときと同様に計算をして、右辺と左辺が一致することを確かめるだけになりますので、省略します。

上の命題4はユニタリ行列の場合の話でしたが、次の命題は直交行列の場合の話になります。ほぼ、上の命題と同じですが、一部異なる部分があります。

$n$次正方行列$A$に関するつぎの四条件は同値である。

(イ)$A$は直交行列である
(ロ)任意の$n$項列ベクトル$x$に対して
$\|Ax\| = \|x\|$
(ハ)任意の$n$項列ベクトル$x, y$に対して
$(Ax , Ay) = (x , y)$
(二)$(a_i , a_j) = \delta_{ij}$

今回は以上です。

投稿日:3日前
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投稿者

主に、高校数学から大学以降の数学について理解を深めるために記事を書いています。

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