こんにちは。最近絶対値を使った等式変形を練習しています。その一環として今回はこの問題をときましょ~。
今日の主役の問題です。出典は級数・積分botさんの$\mathbb{X}$からの こちら 。
\begin{align*} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\frac{1}{1+\cos^4{x}}dx=\frac{\sqrt{1+\sqrt{2}}}{4}\pi \end{align*}
これを示します。証明の後に、今回なぜその解き方を使おうとしたのかの発想を載せます。
被積分関数に対して
$t=\tan{x}$
と置換する。すると、
$\displaystyle dx=\frac{1}{1+t^2}dt$
となり、積分区間は$[0,\infty]$となる。よって積分は
\begin{align*}
\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\frac{1}{1+\cos^4{x}}dx&=\int_{0}^{\infty}\frac{1}{1+\left(\frac{1}{1+t^2}\right)^2}\frac{1}{1+t^2}dt\\
&=\int_{0}^{\infty}\frac{t^2+1}{t^4+2t^2+2}dt\\
\end{align*}
ここで、複素関数$f(z)$と閉じた積分経路$C$を次の様に定める。
$\displaystyle f(z)=\frac{z^2+1}{z^4+2z^2+2}$
積分経路
図1の$C_1,C_2,C_3$をもとに$C$を$\displaystyle C=C_1+C_2+C_3$とする。
ただし、$R$は充分に大きくとる。また、それぞれの経路のパラメータは
\begin{align*}
C_1&:z(t)=t\quad(0\le t\le R)\\
C_2&:z(\theta)=Re^{i\theta}\quad(0\le\theta\le\pi)\\
C_3&:z(t)=it\quad(0\le t\le R)
\end{align*}
線積分を計算してみましょう。$C_1$に沿ったやつから。
\begin{align*}
\int_{C_1}f(z)dz&=\int_{0}^{R}\frac{t^2+1}{t^4+2t^2+2}dt\\
&\overset{R\to\infty}{\longrightarrow}\int_{0}^{\infty}\frac{t^2+1}{t^4+2t^2+2}dt
\end{align*}
これは求めたかった積分そのものですね。いったん置いておきましょう。次に$C_2$に沿った線積分。
実はこちらは$0$に収束します。直接$0$になるのを計算して出すのは難しいので、線積分の絶対値が$0$であることを示します。
\begin{align*}
\int_{C_2}f(z)dz&\le\int_{C_2}|f(z)||dz|\\
&=\int_{C_2}\left|\frac{z^2+1}{z^4+2z^2+2}\right||dz|\\
&\le\int_{C_2}\frac{|z^2|-1}{|z^4|-2|z^2|-2}|dz|
\end{align*}
ここで、この積分における$z$が何かを考えてみます。今回$z$は$C_2$上を動くわけですが、その$ C_2$は半径が$R$の半円周だったので、$|z|$は$R$とわかります。これを用いて積分を変形しましょう。
\begin{align*}
\int_{C_2}f(z)dz&\le\int_{C_2}\frac{|z^2|-1}{|z^4|-2|z^2|-2}|dz|\\
&=\int_{C_2}\frac{R^2-1}{R^4-2R^2-2}|dz|\\
&=\frac{R^2-1}{R^4-2R^2-2}\int_{C_2}|dz|
\end{align*}
次に考えるのは$|dz|$です。経路のパラメータ表示から、$dz=Rie^{i\theta}d\theta$です。これの絶対値は$|Ri||d\theta|$で、複素数の絶対値は簡単にできました。簡単にすると、$|dz|=R|d\theta|$あとは楽勝ですね。
\begin{align*}
\int_{C_2}f(z)dz&\le\frac{R^2-1}{R^4-2R^2-2}\int_{C_2}|dz|\\
&=\frac{R^2-1}{R^4-2R^2-2}\int_{0}^{\pi}R|d\theta|\\
&=\frac{R^3-R}{R^4-2R^2-2}\pi\\
&\overset{R\to\infty}{\longrightarrow}0
\end{align*}
と、線積分の絶対値が$0$以下であることがわかりました。複素数の絶対値は$0$以上なのでこうなるような複素数は$0$しかありえません。よって、
\begin{align*}
\int_{C_2}f(z)dz=0
\end{align*}
最後に$C_3$に沿った線積分。
\begin{align*}
\int_{C_3}f(z)dz&=\int_{R}^{0}\frac{-t^2+1}{t^4-2t^2+2}idt\\
&=i\int_{0}^{R}\frac{t^2-1}{t^4-2t^2+2}dt\\
&\overset{R\to\infty}{\longrightarrow}i\int_{0}^{\infty}\frac{t^2-1}{t^4-2t^2+2}dt
\end{align*}
以上より、
\begin{align*}
\oint_{C}f(z)dz&=\int_{C_1}f(z)dz+\int_{C_2}f(z)dz+\int_{C_3}f(z)dz\\
&=\int_{0}^{\infty}\frac{z^2+1}{z^4+2z^2+2}dz+i\int_{0}^{\infty}\frac{z^2-1}{z^4-2z^2+2}dz
\end{align*}
一方、ごりごり積分を計算してみましょう。そのためにはまず$f(z)$の極を探します。
\begin{align*}
f(z)=\frac{z^2+1}{z^4+2z^2+2}
\end{align*}
の分母を変形すると
\begin{align*}
z^4+2z^2+2&=(z^2+1)^2+1
\end{align*}
これが$ 0$になるという方程式を解くと、
$z=\pm i\sqrt{1+i},\pm\sqrt{-1+i}$
がわかります。複素数の平方根を外すと、
\begin{align*}
z&=\pm\left(-\sqrt{\frac{-1+\sqrt{2}}{2}}+\sqrt{\frac{1+\sqrt{2}}{2}}i\right),\\
&\quad\pm\left(\sqrt{\frac{-1+\sqrt{2}}{2}}+\sqrt{\frac{1+\sqrt{2}}{2}}i\right)
\end{align*}
今回は実部、虚部がともに$ 0$より大きければ単純閉曲線$C$内に含まれます。というか、少し見にくいので
\begin{align*}
\sqrt{\frac{-1+\sqrt{2}}{2}}&=\alpha\\
\sqrt{\frac{1+\sqrt{2}}{2}}&=\beta
\end{align*}
と置いてしまいましょう。$\alpha,\beta$どちらも実数です。このとき$\alpha+\beta i$が今回の$C$内に含まれる$f(z)$の極です。これをもとに積分を計算しましょう。留数定理より、
\begin{align*}
\oint_{C}f(z)dz&=2\pi i\Res(f,\alpha+\beta i)\\
\end{align*}
実は$\alpha+\beta i$は$f(z)$の一位の極のため少し楽して計算することができます。楽できるものならしたほうがいいですからね^^
\begin{align*}
\oint_{C}f(z)dz&=2\pi i\lim_{z\to\alpha+\beta i}\frac{z^2+1}{(z^4+2z^2+2)'}\\
&=2\pi i\lim_{z\to\alpha+\beta i}\frac{z^2+1}{4z(z^2+1)}\\
&=\frac{\pi i}{2}\frac{1}{\alpha+\beta i}\\
&=\frac{\pi i}{2}\frac{\alpha-\beta i }{\alpha^2+\beta^2}
\end{align*}
また、
\begin{align*}
\alpha^2+\beta^2&=\frac{-1+\sqrt{2}}{2}+\frac{1+\sqrt{2}}{2}\\
&=\sqrt{2}
\end{align*}
のため
\begin{align*}
\oint_{C}f(z)dz&=\frac{\pi i}{2\sqrt{2}}\left(\sqrt{\frac{-1+\sqrt{2}}{2}}-\sqrt{\frac{1+\sqrt{2}}{2}}i\right)\\
&=\frac{\sqrt{1+\sqrt{2}}}{4}\pi+\frac{\sqrt{-1+\sqrt{2}}}{4}\pi i
\end{align*}
また、
\begin{align*}
\oint_{C}f(z)&=\int_{0}^{\infty}\frac{t^2+1}{t^4+2t^2+2}dt+i\int_{0}^{\infty}\frac{t^2-1}{t^4-2t^2+2}dt
\end{align*}
だったため、実部と虚部を比較することで、
\begin{align*}
\int_{0}^{\infty}\frac{t^2+1}{t^4+2t^2+2}dt=\frac{\sqrt{1+\sqrt{2}}}{4}\pi
\end{align*}
これは$I$だったため、
\begin{align*}
\huge I=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\frac{1}{1+\cos^4{x}}dx=\frac{\sqrt{1+\sqrt{2}}}{4}\pi
\end{align*}
が示された。
1つ発想として持ってほしいのは、
「三角関数の偶数乗で構成された被積分関数を見たら$\tan{x}=t$と置く。」
です。こうすると三角関数の二乗が$t$の非常にきれいな形で表されます。実際、
\begin{align*}
\tan{x}&=t\\
\cos^2{x}&=\frac{1}{1+t^2}\\
\sin^2{x}&=\frac{t^2}{1+t^2}
\end{align*}
と、扱いやすい形です。また分母が多項式でないのでべき乗にも強いのがポイント高いですね。
この発想を持ったうえで、今回の積分。$\tan{x}=t$とおいたら$t$の偶数乗で書かれた多項式を$[0,\infty]$で積分することが予想できます。こんなの見たら留数定理が思い浮かびますよね!
そんなことを予想しながら自分はこの問題を解いていました。「三角関数だ...$\tan(x/2)=t$だな...」とかすると地獄を見ると思います。偶数乗を見たら$\tan{x}=t$と置きましょう。
お疲れさまでした。昼頃からこの記事を書いていたのですが、計算力がカス過ぎて夜になるまで待ってからまた書き始めました。留数の計算とか久しぶりすぎて鈍ってましたね。またトレーニングしようかな。ほな、さいなら!