分解型複素数って知っていますか?
何だか複素数の特殊な形っぽいですね。
ですが複素数とは違ってあまり知られていない……と思います。
今回はそれの紹介がてら、後々発展を投稿したいのでそれ用です。
$j^{2}=1$を満たす非実数$j$と実数$a,b$を用いて、
$a+bj$と表される数。
はい、複素数と似ていますね。
$-1$でなく$1$であるところくらいでしょうか。
この分解型複素数、一応計算規則も記しておきます。
$$ (a+bj)+(c+dj)=(a+c)+(b+d)j $$
$$ (a+bj)-(c+dj)=(a-c)+(b-d)j $$
$$ (a+bj)(c+dj)=(ac+bd)+(ad+bc)j $$
$$ \frac{a+bj}{c+dj}=\frac{ac-bd}{c^{2}-d^{2}} +\frac{bc-ad}{c^{2}-d^{2}} j $$
$$ \left| a+bj \right|= \sqrt{a^{2}-b^{2}} $$
分解型複素数$a+bj$の共役は$a-bj$
また、以上の計算規則などを踏まえて、以下のものもあります。
分解型複素数の絶対値は必ずしも実数でないため、距離の公理を満たさない。
$$
e^{jθ}=\cosh θ +j \sinh θ
$$
が成り立つ。
ある分解型複素数$z\neq0$に対して、ある分解型複素数$w\neq0$が存在して、$zw=0$となるような分解型複素数$z$が存在する。
上記のような分解型複素数$z$を零因子と呼び、また$z$では除算が出来ない。
そのため分解型複素数は体ではない。
それらを踏まえて、分解型複素数特有の話をいたしましょう。
$$
\frac{1+j}{2}
$$
は、二乗すると自身になります。
また、
$$
\frac{1-j}{2}
$$
も、二乗すると自身になります。
このような『$0$と$1$以外の、べき乗によって変化しない数』を『非自明な冪等元』と呼びます。
この非自明な冪等元2つの積を計算してみます。
$$ \frac{1+j}{2} \frac{1-j}{2}=\frac{1^{2}-j^{2}}{4}=0 $$
はい、零因子になります。
非自明な冪等元でありながら零因子でもあるんですね。
この2つの数、実は基底に出来ます。
(つまり、任意の分解型複素数はこの2つの数それぞれの実数倍の和で表せます)
仮にそれぞれ$i’,j’$としてみましょう。
実数$a,b$を用いて、$ai’+bj’$と表しました。
この形、とあることがあるんです。
積を計算してみましょう。
$$
(ai’+bj’)(ci’+dj’)=aci’^{2}+adi’j’+bci’j’+bdj’^{2}
$$
$i’$と$j’$は非自明な冪等元、および零因子であるので、
$$ aci’+0+0+bdj’=aci’+bdj’ $$
はい、このような形になりました。
こちら、実は元の式と比較すると、係数同士の個々の積になっています。
このようなものを『直和分解』と言います。
今回は分解型複素数に関して色々話しました。
今回のも踏まえて、いずれ他の多元数に関してお話しようかな、と。
それと、今回の記事に何かしらの誤りがあるかもしれませんが、ご了承ください。