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集合 ➁

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はじめに


こちら ① に、これまでに作成した数学ノートをシリーズとしてまとめています(※)。
※ 読み進める順番は、ページ下部(古い記事)から上部(新しい記事)へです。
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こちら ➁ に、証明を進めるうえでのポイントを随時まとめています。必要に応じて参照してください。
こちら ③ に、数学における基本用語を随時まとめています。必要に応じて参照してください。
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Def.

定義

議論の対象となる集合$U$$1$つ固定する。このとき、$U$を全体集合という。

全体集合$U$を固定したもとで、以後の集合は全体集合$U$の部分集合として扱う。すなわち、
$$ A\subseteq U $$
を仮定して議論する。以後、$\forall x,\exists x$$x\in U$ 上で量化するものとする。

定義

集合$A,B$について、$A$$B$の部分集合であるとは、$A$の任意の元が$B$の元でもあることをいう。
すなわち
$$ A\subseteq B\ :\Leftrightarrow\ \forall x\in U\ (x\in A\ \Rightarrow\ x\in B) $$
で定義する。

真部分集合

$A\subseteq B$かつ$A\ne B$が成り立つとき、$A$$B$の真部分集合であるといい
$$ A\subsetneq B $$
と書く。本ノートでは、$A\subset B$$A\subseteq B$を表すものとする。真部分集合は$A\subsetneq B$で表す。

条件 $P(x),Q(x)$ を用いて
$$ A=\{x\in U\mid P(x)\},\quad B=\{x\in U\mid Q(x)\} $$
と表されているとき、部分集合の定義より次が成り立つ。
$$ A\subset B\ \Leftrightarrow\ \forall x\in U,\ (P(x)\Rightarrow Q(x)) $$

【要素 と 部分集合:型の違い(混同対策)】

集合に関する記号では、「要素である」と「部分集合である」は“型”が異なる主張であり、混同してはならない。

  1. 要素(element)の主張
    $$ x\in A $$
    は「対象$x$が集合$A$の要素である」という主張である。
    ここで$x$は一般に集合とは限らず、数・点・文字列など任意の対象でよい。
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  2. 部分集合(subset)の主張
    $$ X\subseteq A $$
    は「集合$X$のすべての要素が集合$A$の要素でもある」という主張である。
    したがって、$\subseteq$の左辺は必ず集合でなければならない。
$x\in A$$\{x\}\subseteq A$ の違い】

$A$を集合とし、$x$を対象とする。
$$ x\in A $$

$$ \{x\}\subseteq A $$
は、どちらも「$x$$A$の中に入っている」ことを表しているように見えるが、主張の型が異なる。

  1. $x\in A$ は「要素$x$$A$に属する」という要素の主張である。
  2. $\{x\}\subseteq A$ は「集合$\{x\}$$A$の部分集合である」という部分集合の主張である。
$A\in B$$A\subseteq B$ の違い】

$A,B$を集合とする。
$$ A\in B $$
は「集合$A$が集合$B$の要素として含まれている」という主張である。
一方、
$$ A\subseteq B $$
は「集合$A$の任意の要素は集合$B$の要素でもある」という主張である。
したがって、$A\in B$$A\subseteq B$は一般に全く別の意味であり、どちらか一方から他方は導けない。

【具体例(混同が起きやすい例)】
  1. $1\in\{1,2,3\}$ は真であるが、$1\subseteq\{1,2,3\}$ は型が合わない($1$は集合ではない)。
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  2. $\{1\}\subseteq\{1,2,3\}$ は真である。これは「$\{1\}$の要素$1$$\{1,2,3\}$に含まれる」という意味である。
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  3. $A:=\{1\},\ B:=\{\{1\},2\}$とすると
    $$ A\in B $$
    は真である($B$は要素として$\{1\}$を含む)。しかし
    $$ A\subseteq B $$
    は偽である($A$の要素$1$$B$の要素ではない。$B$の要素は$\{1\}$$2$である)。
    $ $
  4. 逆に、$A:=\{1\},\ B:=\{1,2\}$とすると
    $$ A\subseteq B $$
    は真であるが、
    $$ A\in B $$
    は偽である($B$の要素は$1$$2$であり、$\{1\}$は含まれない)。
【混同を避けるためのチェック】

記号を見るとき、次を必ず確認する。

  1. $\in$」の左は“要素”、右は“集合”である。
  2. $\subseteq$」の左も右も“集合”である。
  3. $A\in B$」は「$A$$B$の要素」という主張であり、「$A$の要素が$B$に入る」こととは無関係である。
定義

集合$A,B$が等しいとは、$A$$B$が同じ元をもつことをいう。すなわち
$$ A=B\ :\Leftrightarrow\ \forall x\in U\ (x\in A\ \Leftrightarrow\ x\in B) $$
で定義する。

条件 $P(x),Q(x)$ を用いて
$$ A=\{x\in U\mid P(x)\},\quad B=\{x\in U\mid Q(x)\} $$
と表されているとき、上の定義より
$$ A=B\ \Leftrightarrow\ \forall x\in U,\ \bigl(P(x)\Leftrightarrow Q(x)\bigr) $$
が成り立つ。

集合の等号を示す典型的な証明パターン

集合$A,B$について$A=B$を示したいとき、定義
$$ A=B\ \Leftrightarrow\ \forall x\in U\ (x\in A\ \Leftrightarrow\ x\in B) $$
に従い、任意の$x$$1$つ取って
$$ x\in A\ \Rightarrow\ x\in B,\qquad x\in B\ \Rightarrow\ x\in A $$
$2$つを示すのが基本である。部分集合の言葉で表現するならば、
$$ A\subseteq B,\qquad B\subseteq A $$
をそれぞれ示し、両方が成り立つことから$A=B$を結論する。
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より具体的には、次の手順で証明することが多い。

  1. 任意の$x\in U$を取る。
  2. $x\in A$を仮定し、定義や既知の同値変形を用いて$x\in B$を導く。これにより$A\subseteq B$が従う。
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  3. 任意の$x\in U$を取る。
  4. $x\in B$を仮定し、同様にして$x\in A$を導く。これにより$B\subseteq A$が従う。
    $ $
  5. 以上より$A\subseteq B$かつ$B\subseteq A$であるから$A=B$が成り立つ。
外延性の公理

集合の「同一性(等しさ)」は、その集合がどのように作られたか(定義の仕方)ではなく、
どの要素を持つかだけによって決まる。これは$ZF$公理系を構成する公理の一つで、
「全く同じ要素からなる$2$つの集合は等しい」ことを主張する。

定義

$U$ を全体集合とし、$A,B$$U$ の部分集合とする。$A=B$ が成り立たないことを、
$$ A\ne B $$
と書く。

Prop & Proof

任意の集合$A$について
$$ \varnothing\subseteq A $$
が成り立つ。

部分集合の定義より、
$$ \varnothing\subseteq A\ \Leftrightarrow\ \forall x\in U\ (x\in\varnothing\Rightarrow x\in A) $$
である。ここで、空集合の定義より任意の$x\in U$について$x\in\varnothing$は偽である。
したがって任意の$x\in U$について含意
$$ x\in\varnothing\Rightarrow x\in A $$
は真である (前件が偽である含意は常に真である ※空虚に真)。よって
$$ \forall x\in U\ (x\in\varnothing\Rightarrow x\in A) $$
が成り立つ。従って定義の同値変形により
$$ \varnothing\subseteq A $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

$\subseteq$$\in$ は型が違う】

空集合$\varnothing$について、
$$ \varnothing\subseteq A $$
は常に成り立つが、
$$ \varnothing\in A $$
は一般に成り立つとは限らない。
つまり「空集合が$A$の部分集合であること」と「空集合が$A$の要素であること」は全く別の主張である。

これらを自明な部分集合と呼ぶことがある。

空虚な真

命題 $P$ と命題 $Q$ に対し、「$P$ ならば $Q$」を $P \Rightarrow Q$ と書く。
このとき $P \Rightarrow Q$ の真偽は次の真理表で定義する。
$$ \begin{array}{|c|c|c|} \hline P & Q & P \Rightarrow Q \\ \hline T & T & T \\ T & F & F \\ F & T & T \\ F & F & T \\ \hline \end{array} $$
特に $P$$F$ のときは、$Q$ の真偽に関わらず $P \Rightarrow Q$ は必ず $T$ である。
$P$$F$ のとき、$Q$ の真偽に関わらず $P \Rightarrow Q$ が常に $T$ になることを 空虚に真 であると言う。

任意の集合$A$について
$$ A\subseteq\varnothing\Rightarrow A=\varnothing $$
が成り立つ。

$A\subseteq\varnothing$を仮定する(すなわち、真であるとするならば)。このとき、部分集合の定義より、
$$ A\subseteq\varnothing\ \Leftrightarrow\ \forall x\in U\ (x\in A\Rightarrow x\in\varnothing) $$
であるから、
$$ \forall x\in U\ (x\in A\Rightarrow x\in\varnothing) $$
が成り立つ。一方、空集合の定義より任意の$x\in U$について
$$ x\in\varnothing $$
は偽である。したがって任意の$x\in U$について含意
$$ x\in A\Rightarrow x\in\varnothing $$
が(仮定より)真であるためには、$x\in A$が偽でなければならない。よって、任意の$x\in U$について
$$ x\notin A $$
が成り立つ。すなわち
$$ \forall x\in U\ (x\notin A) $$
が得られる。空集合の同値な特徴付け
$$ A=\varnothing\ \Leftrightarrow\ \forall x\in U\ (x\notin A) $$
より、上式から
$$ A=\varnothing $$
が従う。以上より
$$ A\subseteq\varnothing\Rightarrow A=\varnothing $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

集合$A,B$がともに空集合$\varnothing$であるとき、
$$ A=\varnothing\ \land\ B=\varnothing\ \Rightarrow\ A=B $$
が成り立つ。

$A$$B$がともに空集合であると仮定する。すなわち
$$ A=\varnothing,\qquad B=\varnothing $$
が成り立つとする。このとき、$B=\varnothing$ より(等号の対称律で ※補足を参照)$\varnothing=B$
$A=\varnothing$$\varnothing=B$ より(推移律で)
$$ A=B $$
が従う。
$$ \Box$$

空集合は一意である

すなわち「空集合である」という性質をもつ集合が$2$つあったとしても、それらは必ず等しい。
したがって、空集合は唯一(unique)である。

等号の性質

任意の対象$a,b,c$について次が成り立つ。

  1. 等号は反射律を満たす。すなわち、$a$はそれ自身と等しい。
    $$ a=a $$
  2. 等号は対称律を満たす。$a=b$なら同じ対象なので$b=a$である(今回用いたのはこれ)
    $$ a=b\Rightarrow b=a $$
  3. 等号は推移律を満たす。$a=b$かつ$b=c$なら、$a$$c$は同じ対象なので$a=c$である。
    $$ (a=b\land b=c)\Rightarrow a=c $$
投稿日:12日前
更新日:2日前
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投稿者

集合論の勉強から再度始める事にしました。自分自身がいつ読み返しても理解できるようなノート作りをコンセプトにしています。証明や命題に誤りなどがありましたら、ご指摘いただけると幸いです (2025年12月28日)。

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