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東大数理院試過去問解答例(2010B01)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2010B01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。 

2010B01

可換環
A=Z[S,T]/(S(S3),T(T6),ST3T)
について以下の問いに解答しなさい。

  1. 単射環準同型g:AZ3を一つ構成し、剰余群Z3/g(A)の濃度を計算しなさい。
  2. Aの素イデアルで、2を含むものを全て求めなさい。
  3. 乗法群A[12]×の群構造を巡回群の直積として表しなさい。
  1. g:AZ3
    f(f(0,0),f(3,0),g(3,6))
    で定める。ここでAの元は全て
    a+bS+cT
    の形(但しa,b,cZ)のもので代表されるが、gによる像が0になるのは(a,b,c)=(0,0,0)のときに限る。よってgは単射である。ここでgAを適切な基底を取ったとき
    Z3Z3(a,b,c)(a,a+3b,a+3b+6c)
    と表現されるから、Z3/g(A)Z/3Z×Z/6Zが分かる。よって|g(A)|=18である。
  2. まず2を含むのでここからT及びS(S3)を含むこともわかる。よって
    (2,S,T),(2,S3,T)
    である。
  3. gによって環準同型
    g:A[12]Z[12]3
    が誘導される。右辺の単元(s,t,u)gの像に含まれているには3|tsかつ3|utであることが必要充分である。ここでZ[12]3の単元の為す群構造は
    (Z/2Z)3×Z3
    である。またgの像に含まれる位数2の元は(1,1,1)のみであり、gの像は(1,1,4),(1,4,1),(2,2,2)を含むから、ランクと捩れ群を考えることで
    A[12]×Z3×Z/2Z
    が分かる。
投稿日:13日前
更新日:13日前
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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