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量子情報理論におけるKraus演算子

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共立出版『 量子情報科学入門』定理4.6.1の証明を、ヒルベルト空間がHA=Cn,HB=Ckの場合に書き直します。この記事の目的は、量子情報理論で初歩的な要請として、密度演算子のユニタリ発展が、量子情報的に満たすべきトレース保存性などの一般的性質を備えていることを保証する「Kraus表現」となっていることを言うことです。
L(HA)Mnというn次正方行列全体となります。以下、ヒルベルト空間のテンソル積と演算法則を既知とします。テンソル積の構成の一意性といったことは以前の拙著記事で導入済みです。B(H)Mnは各要素がB(H)の元であるn×n行列全体の空間と同一視するというだけです。

線形写像Λ:MnMkが完全正写像(CP)であるとは、
Λidn:MnMn([Xij]i,j=1n)[Λ(Xij)]i,j=1nMkMn
が正なことを指します。ただし各i,jに対しXijMnです。

Λ:MnMkを線形写像とするとき、次の各条件は同値である。
1Λ
2Xij:=Λ(E(ij)) (1i,jn)XE(ij)Mn
3k2Vt:CnCk (1tk2)Λ(A)=tVtAVt
4)AiMn(C),BiMk(C) (1in)i,jBiΛ(AiAj)Bj0が成り立つ。

証明は、Introduction to Matrix Analysis and Applicationsをご参照ください。すみません。

投稿日:2024815
更新日:2024815
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societah
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現在は量子誤り訂正、位相線形構造とバナッハ環論に関心を持つ。 趣味 : SPY×FAMILY、ハンガリー史、Official髭男dism

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