0

東大数理院試過去問解答例(2003B01)

136
0

ここでは東大数理の修士課程の院試の2003B01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2003B01

7次対称群S7について、以下の問いに答えなさい。
(1) S7の位数2の元の個数を計算しなさい。
(2) S7の自己同型による互換の像は互換であることを示しなさい。
(3) 群準同型
ı:S7Aut(S7)σ(τστσ1)
は群同型であることを示しなさい。

  1. このような元は相異なるa,b,c,d,e,fを用いて
    (a,b)(c,d)(e,f)
    (a,b)(c,d)
    (a,b)
    で表せるもので尽くされる。よってその個数は
    7C2+7C25C22+7C25C23C26=21+105+105=231
    である。
  2. 集合
    C1={(a,b)|ab}
    C2={(a,b)(c,d)|(a,b)(c,d)=(c,d)(a,b)}
    C3={(a,b)(c,d)(e,f)|(a,b)(c,d)=(c,d)(a,b),(a,b)(e,f)=(e,f)(a,b),(c,d)(e,f)=(e,f)(c,d)}
    は全て共役類を為している。互換(a,b)の同型f:S7S7による像f(a,b)C1,C2,C3のいずれかに含まれるが、|C1|=21である一方|C2|=|C3|=105であったからf(a,b)C1、つまりf(a,b)が互換であることが従う。
  3. 2つの互換(a,b),(a,c)を取ったとき、
    (a,c)=(b,c)(a,b)(b,c)
    であることから、
    f(a,c)=f(b,c)f(a,b)f(b,c)
    である。二つの互換がある互換によって共役であるとき、それらは等しいか共通の元を移動させるから、これによって写像σF:{1,,7}{1,,7}
    σF(a)=(任意の x に対して、F(a,x) に固定されない元)
    とおく。このとき
    F(a,b)=σF(a,b)σF1
    と表されるから、Aut(S7)の元は全て内部自己同型である。これによってıの全射性が示せた。一方S7の中心は自明であることからıは単射である。以上からıは群同型を定めている。
投稿日:2024922
更新日:2024922
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中