ここでは東大数理の修士課程の院試の2003B01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2003B01
次対称群について、以下の問いに答えなさい。
(1) の位数の元の個数を計算しなさい。
(2) の自己同型による互換の像は互換であることを示しなさい。
(3) 群準同型
は群同型であることを示しなさい。
- このような元は相異なるを用いて
で表せるもので尽くされる。よってその個数は
である。 - 集合
は全て共役類を為している。互換の同型による像はのいずれかに含まれるが、である一方であったから、つまりが互換であることが従う。 - つの互換を取ったとき、
であることから、
である。二つの互換がある互換によって共役であるとき、それらは等しいか共通の元を移動させるから、これによって写像を
とおく。このとき
と表されるから、の元は全て内部自己同型である。これによっての全射性が示せた。一方の中心は自明であることからは単射である。以上からは群同型を定めている。