積の行列式を行列式の積で表せるのは有名事実であるが,導出はかなり面倒である.
そこで,私が昔思いついた,レビ・チビタ記号を用いた解法を紹介する.
日本語はおろか,英語で検索してもヒットしないので,オリジナルだと思う.
(もし,noteで同じ内容の記事を見つけたならばそれは私の昔の記事で,少しおかしいところがあるため参考にしないほうが良い.)
また,本記事では一貫してアインシュタインの縮約を適用する.
$n$次元の行列式はレビ・チビタ記号を用いて次のように表せる.
$A\in \mathbb C^{n\times n}$ のとき, $\det A=\varepsilon_{i_1\cdots i_n}a_{1i_1}\cdots a_{ni_n}$
まず,イメージを持ってもらうために,簡単な3次元の場合に限定して導出してみる.
$$
A,B\in\mathbb C^{3\times 3}とする.
$$
$$\begin{align}
\det(AB)
&=\varepsilon_{ijk}(a_{1l}b_{li})(a_{2m}b_{mj})(a_{3n}b_{nk})\\
&=a_{1l}a_{2m}a_{3n}\varepsilon_{ijk}b_{li}b_{mj}b_{nk}\\
&=a_{1l}a_{2m}a_{3n}\varepsilon_{lmn}\det B\\
&=\det A\det B.
\end{align}$$
とても簡単に導出できた.もちろん逆を辿っても成立する.
()に特に意味はないが,内積を主張するために付けておいた.
本題である一般化を証明する.
$$
A,B\in\mathbb C^{n\times n}とする.
$$
$$\begin{align}
\det(AB)
&=\varepsilon_{i_1\cdots i_n}(a_{1j_1}b_{j_1i_1})\cdots(a_{nj_n}b_{j_ni_n})\\
&=a_{1j_1}\cdots a_{nj_n}\varepsilon_{i_1\cdots i_n}b_{j_1i_1}\cdots b_{j_ni_n}\\
&=a_{1j_1}\cdots a_{nj_n}\varepsilon_{j_1\cdots j_n}\det B\\
&=\det A\det B.
\end{align}$$