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JMO2025参加記

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はじめに

JMO2025に参加し、幸いにも銀賞をいただけたので、調子に乗ってそのまま参加記を書くことにしました。雑なのであんまりあてにしないでください。

当日まで

予選

ミスしなければ通る試験なので、緊張したり焦ったりせず、見直しを入念にすれば通る。去年に過去問はだいたい解いていたが、改めてやってみるとそんなに覚えてなかったので普通に過去問演習をしていた。バチャでは1,2時間あれば8完はできそうな感じだったので、予選は流石に大丈夫かなーみたいなことを言っていたりした。

本選

去年の失敗( 去年何があったか )は答案を書くことに慣れていなかったこと、3Cが解ける自信がなかったことによるものだと思ったので、JMO本選の過去問を答案含めいっぱい解いた。4Cとか解けてないけど、3Cは解けるようになった気がするので、本選は流石に大丈夫かなーみたいなことを言っていたりした。
精進の結果 精進の結果

予選当日

昔のことなので、覚えてることだけ適当に書く。
試験前は同級生と朝から集まって数学していた。匿さんの幾何を解いていた気がする。いつものようにinゼリードーピングも欠かさなかった。

問題

1:こういうのミスしがちなのでめっちゃ入念にやった
2:きれいな解法が特に思いつかなかったので、めちゃめちゃ丁寧に書き出しまがいのことをした。正直ミスっても仕方がないと試験中は思っていた
3:はじめ、ピースを使ってマス目をすべて埋めるのだと勘違いして無理じゃね?ってなった。一回飛ばした後戻ってきたら誤読に気づき、適当に解いた。
4:6で割ったあまり決めれば2,3も決まるのでやるだけ。
5:そんな簡単ではないと思うんですがね??Twitterとかで簡単だといろんな人が言っていて驚いた
6:どうせ$\mathrm{ord}_{2}$だろ!と思って未証明エスパーした。ときには思い切るのも大事
7:真ん中の方は道が確定するから左下と右上を別個に数え上げればいいのだが、その数え上げでめちゃめちゃな噓をついた。実験をすればわかるのになぜしなかった???
8:しらんて
9:5と大して難易度変わらん。
10,11:しらんて
12:実は試験時間の3分の1(1時間以上)をこの問題に使っている。いろいろエスパーしまくって通そうとしたが、求値幾何はさすがに厳しい。

結果

1,2,3,4,5,6,9の7完。さすがに弱い。でもまあ、同級生とかTwitterの雰囲気を見る限り予選通過は確定的だったのでひとまず安心してた。通ればいいんだよ通れば

本選当日

この記事のメイン

9:00-12:50

朝から同級生と数学やろうと、9時に早稲田で待ち合わせしてたけど、時間通りに来たの半分くらいだった。せっかく集まったのに各々別のことをしていて、自分はLTEの補題の証明を書いた後に本選三番級の幾何を解いて、あとはごちうさ11巻を読んでいた。結構気持ちの持ちようが良くなったので、試験前にごちうさを読むのはおすすめ。験担ぎになんとかカツバーガーを食べようかと思ったが高かったのでやめた。いつものようにinゼリードーピングも欠かさなかった。

12:50-13:00

問題が配られたのでエスパーする。2が幾何、3が組み合わせっぽくて、自分の運の無さを実感。

13:00-13:30

問題を見る。 JMO2025本選問題
分野はAGCNGっぽい。絶対出ないと言ってきた5Gが来ておもろい。3Cを確信し、去年を思い出して不安な気持ちに。
とりあえず問題1に取り掛かる。$(a_1,a_2,...a_n,a_{n+1},...a_{2n})=(0,0,...0,1,...1)$のとき$2$になって、これが最小なんだろうなーと思う。$|a_i-a_{i+1}|≥1$なる$i$が二つ存在すると嬉しいけど、$(0,\frac{1}{n},\frac{2}{n},...\frac{2n-1}{n})$のときとかは一つしかないしなんとも言えない。最大・最小の実数に注目したりもしたが、これもあまり刺さらない。迷走していたらいつの間にか30分経っていたので、まずいと思いひとまず2に行く。

13:30-13:40

2Gは流石に解けるだろうと思って取り掛かる。$P,Q$$AC,AB$の垂直二等分線と$BC$の交点っぽく、さらに$A,O,P,B$$A,O,Q,C$は共円っぽい。流石に同一法だろうということでangle-chaseすると示せた。問題は主張をどうやって示すかだが、外心と垂心の等角共役性より、$\angle{BAC}$$\angle{POQ}$の二等分線が平行であることを示せば十分であり、これもangle-chaseで簡単にできた。点が一致するコーナーケースとかも特になさそうなので、angle-chaseを有向角に直し、適当にメモして3に行く。

13:40-15:00

問題3は、できるだけ少ない長さ3の数列で全ての数列をbanしろ、みたいな問題。例のごとく構成を考えると、「1から始まる長さ3の数列」を全てbanしてしまえば、あとは1について考慮する必要がなくなって嬉しいことに気づく。でもこれにはまだ無駄があって、たとえば$(1,1,2)$$(1,2,?)$みたいな数列を全てbanすれば考慮する必要がない。ということで$\{(x,x,x)|1\leq x\leq 100\}\cup\{(x,y,z)|1\leq x< y,z\leq 100\}$みたいな構成ができそう。(ちなみにこの構成は噓)このとき$n=328450$となる。値が汚いなあと思いながら評価に取り掛かる。たとえば$(A,A,A,...)$みたいな数列は長さ3の部分列を$(A,A,A)$しか含まないから、これはbanしないといけない。同様に$(A,B,A,B...)$$(A,B,C,A,B,C...)$について考えれば、すくなくとも長さ3の数列は$100+\frac{100\times 99}{2}+\frac{100\times 99\times 98}{3}=328450$個banしないといけない...一致した?!?!(噓)ということで、3も解けた(気になっただけ)。3が解けて気持ちが楽になったからか、余裕を持って1に取り掛かる。

15:00-15:10

まあさすがに解けるやろ(笑)というモチベで考え直す。そういえば絶対値は中身の正負で分類しろと鉄緑会が言ってた気がするので、$a_i>a_{n+i}$かつ$a_{i+1}< a_{n+i+1}$なる$i$をとってみる。ひとまず$a_i=x,a_{i+1}=0,a_{n+i}=x-1,a_{n+i+1}=1$などとしてみると、
$$ (a_i-a_{i+1})^2+(a_{n+i}-a_{n+i+1})^2=x^2+(2-x)^2=2(x-1)^2$$
なんかうまくいってしまった。あとは$x\leq2$かどうかで場合分けして適当に評価すればいい。最初のほうに考えた$(0,\frac{1}{n},...\frac{2n-1}{n})$のような場合に条件を満たす$i$が存在しないが、添え字を$\mathrm{mod} \ 2n$にすれば統一的に議論できそうなので採用。いざわかればすんなり解けたので、昔の僕は何をやっていたんだろうという気持ちに。

15:10-16:00

3完(自称)できて一安心したので答案を書き始める。が、3を書いている途中に自分の構成が噓であることに気付き絶望。正しい構成では$(1,2,1)$みたいなのも必要で、その場合は$n=333400$になる。でも、$(A,A,B,B,A,...)$みたいな数列も考えたら評価も$n=333400$にできたので一件落着。その後は特に噓も見つからず、1時間弱で1から3の答案を書き上げる。

16:00-16:30

4Nと5Gが残っていたので当然5Gに行く。が、なにもわからない。まさか本選にこういう高難易度幾何がでると思っておらず、こころの準備ができていなかった。Geogebraのぬるま湯に浸かっていた昔の自分を殴りたくなる。

16:30-16:40

なんだか不安になってきたので書いた答案を読み直す。持ち込んでいた梅干しのグミがなくなってしまう。

16:40-17:00

このまま5Gをやっていても埒が明かないと思ったので、4Nで部分点をとる方針に切り替える。まず解の予想だが、$f(x)=1,x-1$っぽい。これだけかなあと思い議論に移る。浜松本選の苦い思い出から( 浜松問題3 を参照)、こういうので$f(x)=a_dx^d+...+a_1x+a_0$と置かないほうがいいのは履修済み。とりあえず$p|f(n)$なる素数$p$をとって、$n^{f(n)}\equiv 1\mod{p}$といういつもの形にする。昔読んだじゅんにーさんの記事で、整数係数多項式の問題では$f(x)\equiv f(x+m) \mod{m}$が強いという話があった気がするので、この$n$$n+kp$を代入してみると、$\mathrm{mod} \ p$における$n$の位数を$d$とすれば、任意の整数$k$に対して$d|f(n+kp)$であることが言えた。ここらへんから時間が無くなってきたので、答案を書きながら考察を進める。もし$p$でない素数$q$$d$を割り切るならば、$q$$f(n),f(n+p),..f(n+(q-1)p)$のいずれも割り切る。一方、$p$$q$は互い素であるから$n,n+p,...n+(q-1)p$$\mathrm{mod} \ q$で相異なり、これとさっきの$f(x)\equiv f(x+q)\mod{q}$から、$q|f(x)$となるとわかる。これはどう考えてもおかしくて、実際$f(q)|q^{f(q)}-1$に矛盾。よって$d$は素因数を$p$しか持たないが、そもそも$d|p-1$なので$d=1$となる。つまり$n\equiv 1 \mod {p}$が言えた!明らかに強い結果なのでこの問題も解ける気がしてきたが、試験時間残り5分。やばい。先の結果から、容易に$f(p+1)=p^{e_p}$が言える。これ代入したら$e_p$確定しない?と思って代入してみると、LTEの補題より
$$ v_p((p+1)^{p^{e_p}}-1)=v_p(p)+v_p(p^{e_p})=1+e_p$$
となってどんな$e_p$でも成り立ってしまった!($p=2$は許して)ここでなにかがおかしいと感じ始める。そもそもこの議論の中で$f(x)$$1$$x-1$に分岐する要素あるか??もしかして...とおもい$f(x)=(x-1)^k$を代入すると、なんと式が成り立ってしまった!(残り3分)答案に実は$f(x)=(x-1)^k$が条件を満たすこととその証明を軽く書きながら考察を進める。結局$e_p$が全部一致してくれたらうれしいわけで、なんでかというと$f$$\mathrm{deg}f+1$個の値を与えれば確定するから。つまり十分多くの素数で$e_p$が一致したらその時点で勝ちだなーなどと考えて答案に書いていたら時間切れ。悔しい

ここからの証明

少なくとも$\mathrm{deg}f+1$個の素数$p$$e_p$の値が一致する(これを$k$とする)なら、$f(x)=(x-1)^k$となることに注意する。
さて、$e_p$の値が一意でなかったとする。先の議論より、$e_p$の値が等しくなる相異なる素数は高々$\mathrm{deg}f$個であるから、$\{e_p|pは素数\}$は非有界である。一方、十分大きな$x$について$f(x)< x^{\mathrm{deg}f+1}$であるから、$\mathrm{log}_{x}(f(x))$は有界である。よって矛盾するので、$e_p$の値は一意である。

17:00-

なんか最後の20分忙しかったなー。あともうちょっと時間あったら4解けただろうし1に苦戦したの悔やまれるなー。などと思いながら答案回収を待つ。そうはいっても3完半の時点で春にはいったかなーと感じていたし、JMOないし競技数学の試験で満足な結果を残せた気がするのは初めてなのでめちゃくちゃ嬉しかった。どきどきの答え合わせタイムでは、結構周りの人たちが3完できていなかったので驚く。しばらく試験会場でだべった後、6人くらいでサイゼリアに移動。JMOerと思われる先客が大量にいて面白かった。Twitter(現X)でみんなの出来を観察していると、なんだかんだみんな噓が発覚したりして自分より点数が高い人が某元代表のお二方しかおらず、もしかして色賞がもらえるのでは?と思い始める。競技数学人生初めての実績がJMO色賞になればいいなーと思いながら帰宅。

結果

今日朝起きたらなんとJMOの結果が公開されていてめちゃめちゃ驚いた。結果を見たら銀賞だったのでもっかいめちゃめちゃ驚いた。正直運が良かった側面が強い(特に4番)とは思うが、せっかくならこのまま波に乗ってAPMO・春合宿でも成功していきたい。

追記

春合宿でJMOの答案が返却され、8-8-6-6-0で28点だった。3番は評価の一つで書き忘れをしていた+構成の十分性の記述が雑だったで減点されていた。4番はほとんど解けていたとみなされて結構点が来た。

おわり

投稿日:221
更新日:58
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KABATAN
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