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大学数学基礎解説
文献あり

Fermatのクリスマス定理

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素数を2つの平方数の和で表す

突然ですが, 素数を2つの平方数の和として表してみましょう. 2=12+12ですから, 奇素数を考えます.
これは, 1から100までの素数についてしらべたものです (表せない場合は, 数字のみがかいてあります) :
  3  5=12+22  71113=22+3217=12+42192329=22+523137=12+6241=42+52434753=22+725961=52+62677173=32+82798389=52+8297=42+92
このように, 2つの平方数の和として表せる素数とそうでない素数があることがわかります. どのような奇素数が2つの平方数の和として表すことができるのでしょうか?

Fermatのクリスマス定理

上の疑問に答えを与えてくれるのが, Fermatのクリスマス定理です.

Fermatのクリスマス定理

奇素数pが2つの平方数の和として表せるための必要十分条件は, p1(mod4)が成り立つことである.

試しに上の素数について調べてみると, 確かに成り立っていることがわかります.

証明

必要性の証明はかんたんです. 十分性の証明は3つの写像を考えます.

必要性

p=x2+y2(x,yZ)とおく. x=2n,y=2m+1(n,mZ)としてよい. するとx20,y21(mod4)であることが容易に確かめられるからp1(mod4)である.

十分性

p=2n+1(n1)とおく. 集合S
S={(x,y,z)Z34xy+z2=p,x>0,y>0}
として定義する. これは空でない有限集合である. 実際(n,1,1)Sであり, またx1かつy1だからp4xかつp4yであり, 各x,yに対し(x,y,z)Z3Sの元となるようなzは高々2つである.

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SからSへの写像f
f(x,y,z)=(y,x,z)
として定義する. ff=idSだからf1=fであり, fは逆写像をもつから全単射である. ここで
T:={(x,y,z)Sz>0},U:={(x,y,z)S(xy)+z>0}
とする. するとfTの元をSTの元に写し, xy,zの符号を変えるからUの元をSUの元に写す. 特にTUの元をUTに, UTの元をTUの元に写す. すなわち#(TU)=#(UT)ということだから, #T=#Uである.

2

次に考える写像は次のものである :
g:UU,(x,y,z)(xy+z,y,2yz).
これが写像としてちゃんと定義されている. これは, 不動点をただ1つだけもつ. 実際, (x,y,z)Uが不動点であるならy=zであり(xy+z=xからわかる), したがって4xy+z2=y(4x+y)=pだから(x,y,z)=(n,1,1)でなければならない. n1+1>0だからこれはUの元である. また, これはg自身が逆写像となるから全単射である. ゆえに, Uの濃度は奇数である.

3

最後に
h:TT,(x,y,z)(y,x,z)
を考える. これもまた全単射であり, h1=hである. また, 上の1, 2から#T=#Uは奇数であり, したがってhは不動点をもつ. これを(x,y,z)とするとx=yだから4x2+z2=(2x)2+z2=p. これで証明された.

おわり

これでおわりです. Fermatのクリスマス定理には様々な証明があるのですが, ここで紹介した証明はそのなかでもとくに簡単で, 難しい知識も必要のないものです. 「素数を2つの平方数の和として表す」ということと「4で割ったあまり」が関係しているというのは驚きですね. この定理は私が特に好きな定理の1つです. みなさんが好きな定理や証明などがあったら, おしえてほしいです.

参考文献

[1]
Martin Aigner・Günter M. Ziegler, 天書の証明 原書6版, 丸善出版, 2022, 23-25
投稿日:2024412
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  1. 素数を2つの平方数の和で表す
  2. Fermatのクリスマス定理
  3. 証明
  4. 必要性
  5. 十分性
  6. おわり
  7. 参考文献