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指数nの(正規)部分群の個数を求める

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$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{asn}[0]{\hspace{16pt}(\mathrm{as}\ n\to\infty)} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{beq}[0]{\begin{eqnarray*}} \newcommand{c}[2]{{}_{#1}\mathrm{C}_{#2}} \newcommand{cb}[0]{\binom{2n}{n}} \newcommand{d}[0]{\mathrm{d}} \newcommand{del}[0]{\partial} \newcommand{dhp}[0]{\dfrac{\pi}2} \newcommand{ds}[0]{\displaystyle} \newcommand{eeq}[0]{\end{eqnarray*}} \newcommand{ep}[0]{\varepsilon} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{G}[1]{\Gamma({#1})} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{hp}[0]{\frac{\pi}2} \newcommand{I}[0]{\mathrm{I}} \newcommand{l}[0]{\ell} \newcommand{limn}[0]{\lim_{n\to\infty}} \newcommand{limx}[0]{\lim_{x\to\infty}} \newcommand{nck}[0]{\binom{n}{k}} \newcommand{p}[0]{\varphi} \newcommand{Res}[1]{\underset{#1}{\mathrm{Res}}} \newcommand{space}[0]{\hspace{12pt}} \newcommand{sumk}[1]{\sum_{k={#1}}^n} \newcommand{sumn}[1]{\sum_{n={#1}}^\infty} \newcommand{t}[0]{\theta} \newcommand{tc}[0]{\TextCenter} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

導入

こんにちは.

今回は院試で頻出の, 「指数$n$の(正規)部分群の個数を求めよ」という問題に対し, 少し有用な手法を紹介しようと思います.

${}$

結果

$G$の指数$n$の正規部分群を$H$とします. このような$H$の個数を求めます. ($G$がAbelでない場合は, 正規部分群ではないものも含めるとなると残念ながら以下の手法は使えません...)

$G/H$は位数$n$の群なので, $G^n=\langle g^n \mid g\in G\rangle$とおくと$G^n\hookrightarrow G\twoheadrightarrow G/H$$0$射となるので$G^n\subset H$がわかります.

また容易に分かるように$G^n\triangleleft G$(従って$G^n\triangleleft H$)なので, 剰余による部分群の対応定理より, 上ような$H$の個数は, $G/G^n$の正規部分群の個数に等しくなります.

${}$

応用

$G=(\Z/6\Z)\times(\Z/7\Z)\times(\Z/8\Z)\times(\Z/9\Z)$の指数$3$の部分群の個数を求めよ.

$G$はAbel群なので, $G/3G$の指数$3$の部分群の個数を考えれば良い.

$3G=(3\Z/6\Z)\times(\Z/7\Z)\times(\Z/8\Z)\times(3\Z/9\Z)$より$G/3G\cong(\Z/3\Z)^2$なので, $\F_3^2$の位数$3$の部分群を求めればよい.

これは$\F_3$線型空間と見れば$\F_3^2$の次元$1$の部分空間の個数を求めればよいので, 基底の選び方が$8$通り(:$\F_3^2$$0$以外の元)で, 重複は$2$つずつ(違う基底で同じ部分空間ができる場合)なことから, $4$つとわかる.

${}$

$G=\Z^2$の指数$3$の部分群の個数を求めよ.

$3G=(3\Z)^2$より$G/3G\cong(\Z/3\Z)^2$の指数$3$の部分群の個数を求めれば良く, これは問題1と同じで$4$つである.

${}$

二面体群$D_n=\{r,t\mid r^n=t^2=1,\ rt=tr^{-1}\}$の指数$2$の部分群の個数を求めよ.

一般に指数$2$の部分群は正規部分群である( 龍孫江さんの動画 などを参照)ので, 今回の手法が使える. $(tr^a)^2=1$などに注意して$(D_n)^2$がどうなるか考える.

$n$が奇数のとき
$(D_n)^2=\langle r\rangle$ となるので$D_n/(D_n)^2\cong\Z/2\Z$である. これの指数$2$の部分群は単位群の$1$個のみである.

$n$が偶数のとき
$(D_n)^2=\langle r^2\rangle$ となるので$D_n/(D_n)^2\cong(\Z/2\Z)^2$である. (位数が$4$であること, $t,r$の像の位数が$2$であることからわかる.)これの指数$2$つまり位数$2$の正規部分群は$3$個である.

${}$

おわりに

$G$がAbelな場合に限ると, こちら にあるように, 位数$n$のAbel群の同型類$H$に渡って$\dfrac{\#\mathrm{Hom}_{\mathrm{surj}}(G,H)}{\#\mathrm{Aut}\,H}$を足し合わせるという手法もあるようです. $n$が大きい素数などの時にはこちらの方が楽かもしれません.

それでは, 読んでくださった方, ありがとうございました.

${}$

投稿日:627

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投稿者

東大理数B4です

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