0

東大数理院試過去問解答例(2016B03)

273
1

ここでは東大数理の修士課程の院試の2016B03の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2016B03

関数体K=R(X)の部分体
F=R(X41X4)
を考え、KF上のGalois閉包をLとする。
(1) 拡大次数[L:F]を求めなさい。
(2) Gal(L/F)は位数8の元を持つことを示しなさい。
(3) L/F4次部分拡大を全て求めなさい。

  1. まずK=F(X)である。ここでω4=1とおく。F上の多項式
    f:T8(X41X4)T41=(TX)(T+X)(TiX)(T+iX)(TωX)(T+ωX)(TiωX)(T+iωX)
    を考えたとき、Fの元は変換XωX及び複素共役で不変な多項式からなる集合であるから、fFの既約多項式である。よって[K:F]=8である。ここでLfF上の最小分解体であるからL=F(X,ω)=C(X)、特に[L:K]=2である。よって[L:F]=16である。
  2. G=Gal(L/F)の元のうち、
    τ=(XωXii)
    で定義されるτは位数8の元である。
  3. まずL/Kの群構造上記で定めたτ及び複素共役
    σ=(XXii)
    で定められた元を用いて、Gは表示
    G=τ,σ|τ8=σ2=1,στσ1=τ1
    を持つことがわかる。よってGの群構造は1+2Z1で定義される群準同型Z/2ZAut(Z/8Z)から誘導される半直積
    Z/8ZZ/2Z
    である(つまり位数16の二面体群)。この位数4の部分群を考えれば良い。まず(a,b),(x,y)G:=Z/8ZZ/2Zに対してこの群の積は
    (a,b)(x,y)=(a+(1)bx,b+y)
    で定まっているから、(a,b)Gに対して
    (a,b)2=(a+(1)ba,0)
    (a,b)4=(a+(1)ba,0)2=(2(a+(1)ba),0)
    である。よって位数2の元は(0,1),(1,1),,(7,1),(4,0)9つ、位数4の元は(2,0)(6,0)のみである。
    まず位数4の巡回群はZ/8Zに含まれる1つのみ。これによって生成される部分体はXiX及びiiで定義される同型で固定される部分体であり、これはC(X4)である。
    次に(a,1)(b,1)が可換になることはab=0,4と同値であり、(4,0)Gの中心に含まれる。よって位数2の元全体から可換な二つ組を選ぶ方法は12通りあり、一つの巡回的でない位数4の群は3通りの生成元の取り方ができるから、巡回的でない位数4の部分群は123=4つあり、これは
    τ=(XXii)
    στ=(XωXii)
    σ2τ=(XiXii)
    σ3τ=(XiωXii)
    4つのうちのいずれか1つと
    σ4=(XXii)
    からできる群である。それぞれに対応した部分体はR(X2),R(X2+iX2),R(iX2),R(X2iX2)である。以上の5つがL/F4次の部分体である。
投稿日:20231020
更新日:202432
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中