$X$をコンパクトハウスドルフ空間とする。$x\in X$の連結成分(それを含む最大の連結集合)$A$は$x$を含む開かつ閉集合全部の交叉である。$x$を含む開かつ閉集合全体を$\F$とすれば、$A=\bigcap_{C\in\F}C$である。
$K:=\bigcap_{C\in\F}C$とおく。まず、$A\subset K$を示す。
開かつ閉集合$C$に対し、$A\subset C$または$A\subset C^c$が$A$の連結性より成り立つ。特に、$C\in\F$に対し$A\subset C$だから、両辺の交叉を取り$A\subset K$である。
逆の包含を示す。$K$が連結でないと仮定して矛盾を導く。
$K$は閉集合だから、仮定より非空な閉集合2つのdisjoint unionになっている。その片方上で1、もう片方上で0を取る指示関数$f$は$K$上の連続関数を定める。一般性を失わず$f(x)=1$として良い。Tietzeの拡張定理から$F:X\to[0,1]$であって、その$K$への制限が$f$と一致する$F$が存在する。
実は、$F$は$\{0,1\}$-値に取り直すことができることを示す。もしそうならば、$F$はある$C\in\F$の指示関数となるから、$K$の取り方から$F(K)=\{1\}$となって、$F=f\ \text{on}\ K$に反する。
$F$を$\{0,1\}$-値に取り直す。開集合$U:=[0,\ve)\cup(1-\ve,1]\subset[0,1]$は$F(K)\subset U$だから、$\bigcap_{C\in\F}C\subset F^{-1}(U)$である。これを$\bigcap_{C\in\F}(C\setminus F^{-1}(U))=\emptyset$と見ると、有限交叉性よりある有限集合$\F'\subset \F$で$\bigcap_{C\in\F'}(C\setminus F^{-1}(U))=\emptyset$となっている。再び逆の操作をすると、$C':=\bigcap_{C\in\F'}C$は$F(C')\subset U$である。今、$C'$は開かつ閉集合だから指示関数$\siji_{C'}$も連続であり、各点毎の掛け算$F':=\siji_{C'}\times F$も連続な$f$の拡張である。$F'$の像は$U$に入るが、$\pi:U\to\{0,1\}$であって$\{0,1\}$上恒等写像になるものとの合成$\pi\circ F'$により、結局$\{0,1\}$-値の$f$の連続拡張が得られたことになる。
コンパクトハウスドルフ空間だと開集合ではなく積極的に連続関数を取って議論する方が分かりやすいように感じる。
コンパクトハウスドルフ空間の商空間は自動的にコンパクトになりますが、ハウスドルフ性は簡単に失われます。一般に商空間がハウスドルフになることへの十分条件は色々知られていますが、コンパクトハウスドルフ空間だと次が分かりやすいです。
$X$をコンパクトハウスドルフ空間、$R\subset X\times X$を同値関係とする。このとき、$X/R$の商位相がハウスドルフであることは$R$が$X\times X$の閉集合になることと同値。
これは対角写像でのハウスドルフ性の特徴づけと似ていますが、上の主張は一般の空間では成り立たないことに注意します。例えば、ぱっと出てこないわ、後で書く
ハウスドルフ性から閉性が出るのは簡単です。実際、ハウスドルフ性から対角集合$\Delta_{X/R}\subset (X/R)\times(X/R)$の閉性が出ますが、$R$とはこれの連続写像$X\times X\to (X/R)\times(X/R)$での逆像だから閉です。
$R\subset X\times X$の閉性から$X/R$のハウスドルフ性を導きます。
まず、商$\pi:X\to X/R$が閉であることを示します。今はまだ$X/R$はコンパクトハウスドルフだと分かっていないので、これは非自明な主張です。これを示すには、閉集合$C\subset X$に対して$\pi^{-1}(\pi(C))\subset X$が閉であればいいですが、実際これはコンパクト集合$(C\times X)\cap R$の第二成分への射影の像として書けるのでコンパクト、$X$のハウスドルフ性より閉です。
次に、$x\in X$の$R$-同値類$\pi^{-1}(\pi\{x\})\subset X$の開近傍$U\supset \pi^{-1}(\pi\{x\})$を取ります。今、$\pi^{-1}(\pi(U^c))\subset X$が閉だから$U':=\pi^{-1}(\pi(U^c))^c\subset X$は$R$-saturatedな(つまり同値類に関して閉じている)$x$の開近傍になります。$U'$とは$U$の最大の$R$-saturatedな部分集合なんですが、これがそうなっていることは「$X$が長方形、その下に直線$X/R$とその射影$\pi$」を書いて適当に描いた$U$に対し上のプロセスをやると何言っているかが分かります($R$-saturatedとは単にfiberをfullに含んでいるというだけのことです)。
さて、$\pi(x)\neq\pi(y)\in X/R$に対して、$\pi^{-1}(\pi\{x\}),\pi^{-1}(\pi\{y\})\subset X$の交わらない開近傍$U,V$を取ってきます。これは$\pi^{-1}(\pi\{x\})$が閉であることと$X$が分離公理を満たす(コンパクトハウスドルフ性)ことから分かります。この$U,V$に対し上のプロセスから$U',V'$という開近傍が作れますが、その$\pi(U'),\pi(V')$(つまり$\pi(U^c)^c,\pi(V^c)^c$)は$X/R$内で$\pi(x),\pi(y)$を分離する開近傍です。
この定理自体が役に立つ場面というのは無いんですが、こうスッキリしているので、コンパクトハウスドルフ空間に対する信頼が芽生えます。