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関数研究1(不完全総積変換とオイラー表示のゼータ関数)

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自作の関数で遊ぼう

Pythonの話じゃないです。作った関数でいろいろしていきましょう。今回は こちら の深掘りをしていきます。

定義

こちら と全く同じことを言ってるので、定義1はスキップしてもOKです。

不完全総積変換

ある関数$f(x)$に対し、$$\prod_{k=1}^{n}f(g(t,k))$$を、関数$f$$x→t,n$階不完全総積変換あるいは単に総積変換と定める。また、これを$$G_{λ,n}^{x→t}(f(x),g(t,λ))$$
で表し、$x$初期変数,$t$変換変数,$λ$因子,$n$階数,$f$被作用関数,$g$作用関数と呼ぶ。
不完全総積変換のうち、$f$$x→x,n$階不完全総積変換を関数$f$に対する$n$階不完全総積関数と定める。さらに不完全総積関数のうち、因子$λ$の作用関数$g(x,λ)$$λx$であるものを単に総積関数と定め、これを$$G_{n}^{x}(f(x))(:=G_{λ,n}^{x→x}(f(x),λx))$$で表す。
これらすべてに任意の複素数$z$を代入でき(不完全総積変換は変換変数に代入)、$G_{λ,n}^{x→t=z}\cdots$で意味を成す。また、これを$f$$t=z$における$n$階不完全総積係数と定める。

ということで、次が新しいやつ。

完全総積変換

$x→t,n$階不完全総積変換において$n→∞$であるものを$x→t,$完全総積変換と呼ぶ。また、完全総積変換の変換変数$t$$t=a$を代入して総積変換が$α$に収束する際、
$$G_{λ,∞}^{x→t=a}(f(x),g(t,λ))=\prod_{n=1}^{∞}f(g(a,n))=α$$
で表し、この収束値を$f$$t=a$における完全総積係数と定める。

$f(g(t,n))$がどんな$t$に対しても$0$にならない、かつ$n→∞$$1$に収束する関数であることが前提条件です。
ということで本題のゼータ関数やってみようん。

ゼータ関数のオイラー積による表示

ゼータ関数とは、$\Re(s)>1$なる$s\in\mathbb C$に対し、
$$ζ(s):=\sum_{n=1}^{∞}\frac{1}{n^s}$$
で定義されるものです。$s$が偶数だと結構慣れ親しんでる数かも(?)。
ゼータ関数のオイラー表示とは、「オイラー積」なる形で表したゼータ関数です。少々小泉を感じますね。

ゼータ関数に対するオイラー積

$$ζ(s)=\sum_{n=1}^{∞}\frac{1}{n^s}=\prod_{p\in\mathbb P}\frac{1}{1-p^{-s}}$$
(ただし、$\mathbb P$は素数全体の集合)

$$A=ζ(s)=\frac{1}{1^s}+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}+\cdots$$
両辺$\frac{1}{2^s}$をかけると、
$$B=\frac{1}{2^s}ζ(s)=\frac{1}{2^s}+\frac{1}{4^s}+\frac{1}{6^s}+\cdots$$
よって$A-B$は、
$$(1-\frac{1}{2^s})ζ(s)=\frac{1}{1^s}+\frac{1}{3^s}+\frac{1}{5^s}+\cdots$$
また、
$$C=\frac{1}{3^s}(1-\frac{1}{2^s})ζ(s)=\frac{1}{3^s}+\frac{1}{9^s}+\frac{1}{15^s}+\cdots$$
より、
$$A-B-C=(1-\frac{1}{3^s})(1-\frac{1}{2^s})ζ(s)=\frac{1}{1^s}+\frac{1}{5^s}+\frac{1}{7^s}+\cdots$$
以下同様に素数の$-s$乗に対して繰り返すと、
$$(1-\frac{1}{2^s})(1-\frac{1}{3^s})(1-\frac{1}{5^s})\cdots ζ(s)=\frac{1}{1^s}=1$$
であるから、
$$ζ(s)=\frac{1}{(1-\frac{1}{2^s})(1-\frac{1}{3^s})(1-\frac{1}{5^s})\cdots}=\prod_{p\in\mathbb P}\frac{1}{1-p^{-s}}$$

オイラー積の導出なんて今は正直どうでもいいんです。不完全総積変換と結び付けたいだけなので。
ここで、素数の一般項にも出てくる「ヤツ」も導出します。導出自体そんないらないですが。

素数を選び取る式

1と素数ON,合成数OFF

$$\lfloor \cos^2\frac{(n-1)!+1}{n}π\rfloor = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 1(n=1\lor n\in\mathbb P) \\ 0(n\neq 1\land n\notin\mathbb P ) \end{array} \right. \end{eqnarray} $$

床関数は神です。

ウィルソンの定理より、$p$を素数とすると、
$$(p-1)!+1≡0\mod p$$
であるから、$\frac{(p-1)!+1}{p}$は整数になる。ただし、$p=1$でも成り立つ。
ここで、$p$が合成数である場合、整数にはならない。
$\cos^2 nπ=1(n\in\mathbb Z)$であるので、
$\cos^2\frac{(n-1)!+1}{n}π$$n$$1$または素数であるときに$1$、合成数では$0≤\cos^2\frac{(n-1)!+1}{n}π<1$の範囲に収まる。
よってこの式に床関数をとると、
$$\lfloor \cos^2\frac{(n-1)!+1}{n}π\rfloor = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 1(n=1\lor n\in\mathbb P) \\ 0(n\neq 1\land n\notin\mathbb P ) \end{array} \right. \end{eqnarray} $$
となる。

準備完了です。

不完全総積変換の逆方向

総積復元

$$G_{λ,n}^{x→t}(f(x),g(t,λ))=F(t,n)$$
であるような$f,g,n$を定める(求める)ことを$F$$x←t$総積復元と定め、
$$G_{λ}^{x←t}(F(t,n))=(f(x);g(t,λ):n)$$
で表す。このとき、$G_{λ}^{x←t}(F(t,n))$は一意に定まらない場合がある。

$x←t$は、x from t とでも読みましょう。
新定義ができたので、タイトル回収phase。

ゼータ関数の総積復元

総積復元

ゼータ関数の総積復元
$$G_{k}^{t←s}(ζ(s))$$
を一つ求めよ。

一意でないことを前提に、定理らを活用して出しましょう。

定理1より、
$$ζ(s)=\prod_{p\in\mathbb P}\frac{1}{1-p^{-s}}$$
定理2より、
$$\frac{1}{1-p^{-s}\lfloor \cos^2\frac{(p-1)!+1}{p}π\rfloor}$$
$p\in\mathbb P$$\frac{1}{1-p^{-s}}$$p$が合成数で$1$を振る舞い、$p=1$では発散する。
よって、
$$\prod_{p\in\mathbb P}\frac{1}{1-p^{-s}}=\prod_{n=2}^{∞}\frac{1}{1-n^{-s}\lfloor \cos^2\frac{(n-1)!+1}{n}π\rfloor}$$
$$=\prod_{n=1}^{∞}\frac{1}{1-(n+1)^{-s}\lfloor \cos^2\frac{n!+1}{n+1}π\rfloor}=G_{k,∞}^{t→s}(\frac{1}{1-t},(k+1)^{-s}\lfloor \cos^2\frac{k!+1}{k+1}π\rfloor)$$
よって、総積復元の定義式から、
$$G_{k}^{t←s}(ζ(s))=(\frac{1}{1-t};(k+1)^{-s}\lfloor \cos^2\frac{k!+1}{k+1}π\rfloor:∞)$$

無限等比級数のやつが出てくるとは。美しい。
ちなみに$p=1$で発散することを全く考えてなかったので一時ものすごく焦りました。

conclusion

どうでしょうか? そうでしょう。きれいでしょう。
ますます総積変換の魅力にどっぷり漬け込んでいかせます(?)。
それはそうと関数づくり4が全く進まない。
以上です。

投稿日:48
更新日:48
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投稿者

関数をつくろう(掛詞)

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