教科書:John M. Lee, Introduction to Smooth Manifolds(second edition)
次の記事の内容には開基が登場するので、事前に復習しておく。
(というより位相多様体の定義の第二可算公理はまんま開基を使っている)
$X$を位相空間、$\mathcal B \subset \mathcal O(X)$とする。このとき次の1, 2は同値である。
(1), (2)を満たす$\mathcal B$を$X$の開基という。
(イメージ)
(1) 開基さえ分かれば開集合はすべて表現できる。
(2) 任意の点の開近傍も開基だけで表現できる。
要するに、開基が分ければ開集合は全部分かるから、開集合は開基さえ考えれば十分、ということ。
ちなみに(1), (2)の同値性はやればすぐに示せます。
$\mathcal B$を位相空間$X$の開基とする。このとき、次の1, 2が成り立つ。
(イメージ)
$B_1 \cap B_2$は開基(に属する開集合)とは限らないが、もっと小さくとれば開基が必ず取れる、ということ
命題1自体というより次の命題2の方が大切。
$X$を集合、$\mathcal B \subset 2^X$が次の(1), (2)を満たすとする。
このとき、$\mathcal O = \{ \cup _{B\in\mathcal B'}B | \mathcal B' \subset \mathcal B\}$は$X$の位相であり、$\mathcal B$は$X$の開基である。
$\mathcal O$が位相であることを示す。
任意の$x\in U_1 \cap U_2$に対して、$\mathcal O$の定義より、
が存在する。$x\in B_1 \cap B_2$なので(2)を使うと、ある$B_3 \mathcal \in B$が存在して$x\in B_3 \subset B_1 \cap B_2 \subset U_1 \cap U_2$を満たす。
ここまでを整理すると「任意の$x\in U_1 \cap U_2$に対して、ある$B_x \in \mathcal B$が存在して$x\in B_x \subset U_1 \cap U_2$を満たす」ことが分かった。
このことから$\bigcup _{x\in U_1 \cap U_2} B_x = U_1\cap U_2$が成り立つ。よって$U_1\cap U_2 \in \mathcal O$である。
$\mathcal O$の定義より、$\mathcal B$は明らかに開基である。
「任意の$x\in U_1 \cap U_2$に対して、ある$B_x \in \mathcal B$が存在して$x\in B_x \subset U_1 \cap U_2$を満たす」
$\Longrightarrow \bigcup _{x\in U_1 \cap U_2} B_x = U_1\cap U_2$
がポイント(ここで(2)を使う)。
他は当たり前(というより当たり前となるように仮定を準備している)。
命題2は次の記事で活用する。
ちなみに位相多様体の定義にもある「第二可算公理」は「開基(の元が)がたかだか可算個」であることをいう。要するに開集合としてはたかだか可算個を考えれば十分ということ。