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コンテスト:集合と位相ビギナー

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こんにちは,itouです.集合と位相のコンテストを開催します.奮ってご参加ください.

コンテスト:集合と位相ビギナー

趣旨

集合と位相に関して理解を深めたいと思い,問題を作成しました.今回のコンテストの問題は「コンテスト問題」の3問ですが,定義の穴埋め問題と基本問題も掲載しています.学習に役立ててください.

開催期間

6/4~6/21 23:59まで

想定する対象

集合と位相の初学者.

問題の形式

記述問題3問(オリジナル問題)を解いてください.

参加方法

1.私の $X$のアカウント $DM$で解答を送る.
2.(私と同じ大学の方)
discordで私に$DM$で解答を送る.

なお,解答は手書きでもTeXでもよいです.画像またはpdfファイルで送ってください.手書きの場合は判別可能な字で書いてください.また,解答は主に日本語または英語で書いてください.解答の先頭には表彰のためニックネームを書いてください.(表彰を辞退する場合はその旨を書いて下さい.)

表彰

6/22以降に優秀者3名のニックネームをこの記事,$X$上で発表します.

※問題について質問があれば私の$X$アカウントかこの記事のコメントにお願いします.

定義の穴埋め問題

以下の定義中の空白「」を埋めよ.

集合$X$の位相(開集合系)$\mathcal O$

$\mathcal O\subset 2^{X}$が以下の条件を満たすとき,$X$の位相であるという.
(1)$X,\varnothing\in \mathcal O$
(2)$ U_1,U_2\in\mathcal O\Rightarrow U_1\cap U_2\in\mathcal O$
(3)集合族$(U_i)_{i\in I}$について,各$i$について$U_i\in\mathcal O$のとき「」

距離関数

集合$X$上の距離関数$d:X\times X\rightarrow \mathbb R$が距離関数であるとは,
(1)$d(x,y)=0\Leftrightarrow x=y$
(2)$d(x,y)=d(y,x)$
(3)「」
を満たすことをいう.

$\varepsilon$-近傍

$a\in X$として距離空間$(X,d)$における$\varepsilon$-近傍$U(a,\varepsilon)$とは
\begin{align} U(a,\varepsilon)=\{x| d(x,a)<\varepsilon\} \end{align}
のこと.また,$A\subset X$のとき,
$x$$A$の内点$\Leftrightarrow$「」を満たす正数$\delta$が存在.
$x$$A$の外点$\Leftrightarrow$「」を満たす正数$\delta$が存在.
$x$$A$の境界点$\Leftrightarrow$任意の$\varepsilon$について$U(x,\delta)\cap A\ne \varnothing,U(x,\delta)\cap \mathbb R\backslash A\ne \varnothing$

距離位相

$(X,d)$を距離空間とする.
$N_{\varepsilon}(a)=\{x\in X|d(x,a)<\varepsilon\}$とし,
「」を満たす$X$の部分集合$A$$(X,d)$の開集合という.
\begin{align} \mathcal O_d=\{U|Uが(X,d)の開集合 \} \end{align}
$(X,d)$の距離位相という.

閉集合,閉包

$A\subset X$が閉集合である$\Leftrightarrow $$X\backslash A$が開集合
$A\subset X$の閉包$\bar{A}$とは,$A\subset U$であるような閉集合$U$全体の集合を$M$として,$\bar{A}=$「」.

以降$\cup A=\cup\{U|U\in A\}$とかく.

開基

以下の条件を満たす$\mathcal B\subset 2^{X}$$X$の開基という.
(1)$X=\cup\mathcal B$.
(2)「」.
このとき,$\mathcal O=$「」$X$の位相.

$(X_1,\mathcal O_1),(X_2,\mathcal O_2):$位相空間,$f\:X_1 \rightarrow X_2:$写像
$f$が点$x\in X_1$で連続$\Leftrightarrow$ $f(x)$を含む任意の$U_2\in \mathcal O_2$に対して「」

同相

写像$f: X_1\rightarrow X_2$が同相写像
$\Leftrightarrow$$f$は全単射でかつ「」.

可分,第2可算公理

$(X,\mathcal O)$が可分$\Leftrightarrow$$\exists A:$可算集合$A\subset X$かつ「」.
$(X,\mathcal O)$が第2可算公理を満たす.$\Leftrightarrow$$\exists \mathcal B:$可算集合,$\mathcal B\subset \mathcal O$かつ$\mathcal B$$\mathcal O$の開基.

積空間(可算個の位相空間について)

$(X_1,\mathcal O_1),\cdots,(X_n,\mathcal O_n)$を位相空間とする.集合$\mathcal B$
「」
とすると$\mathcal B$$X_1\times\cdots\times X_n$上の開基となる.$\mathcal B$から定まる位相を
$\mathcal O_1$#$\cdots$#$\mathcal O_n$とかく.
$n$が可算無限でも同様.

基本問題

$2^{\mathbb N}$が非可算であることを対角線論法で示せ.

(1)$\mathcal O_1,\mathcal O_2$を開集合とする.$\mathcal O_1\cap\mathcal O_2$も開集合であることを示せ.
(2)$x$$\varepsilon$-近傍$ U_{\varepsilon}(x)$は開集合になることを示せ.

集合の開基が位相を生成を生成することを示せ.

$(X,d)$を距離空間,$\mathcal O_d$を距離位相とする.
\begin{align} \mathcal B=\{B_r(x)|x\in X,r>0\} \end{align}
を開基とする位相は$\mathcal O_d$に一致することを示せ.

距離空間の極限は一意的であることを示せ.

コンテスト問題

問題1

$X$を集合とする.$(X,d_1),(X,d_2)$を距離空間,それぞれの距離位相を$\mathcal O_1,\mathcal O_2$とし,$\mathcal O_1=\mathcal O_2$が成立している.このとき,$d_3:=d_1+d_2$は距離関数であり,$(X,d_3)$の距離位相$\mathcal O_3$$\mathcal O_1=\mathcal O_2$に一致することを示せ.

問題2

以下のように定義する.

関数距離

$(X,d_X),(Y,d_Y)$を距離空間とし,それぞれの$x$の近傍を$B^X(x),B^Y(x)$と表す.
連続関数$f,g:X\rightarrow Y$について,以下のように写像$d(f,g)$を定める.

定数$C$に対して,以下の条件(*):

\begin{align} \forall x \in X,\exists\delta,f(B^X_{\delta}(x))\subset B^Y_{C}(g(x)) \end{align}
を考え,

$d(f,g):=\inf \{C|\text{条件(*)を満たす$C$}\}$とする.これを$X$での関数距離ということにする.もし条件を満たす$C$が存在しないなら,$d(f,g)=\infty$と約束する.

集合$X,Y$において,$X$から$X$への同相写像の集合を$X'$,$Y$から$Y$への同相写像の集合を$Y'$とし,それぞれの関数距離を$d_{X'},d_{Y'}$とする.

(1)関数距離が距離関数の公理を満たしていることを示せ.
(2)
$X\rightarrow Y$への同相写像の集合を$Z$とし,$Z$における関数距離を$d_Z$とする.$f\in X',g\in Y',\sigma \in Z$のとき,$g\circ\sigma\circ f$$Z$の元であることを示せ.
(3)$f,f'\in X',g,g'\in Y',\sigma,\sigma' \in Z$のとき,
$d_Z(g\circ\sigma\circ f,g'\circ\sigma'\circ f')\leq d_{X'}(g,g')+d_Z(g\circ\sigma,g\circ\sigma')+d_Z(g'\circ\sigma'\circ f,g'\circ\sigma'\circ f')$であることを示せ.
(4)$\sigma\in Z$を固定する.次の写像:
\begin{align} S:X'&\rightarrow Y'\\ f &\mapsto \sigma \circ f\circ \sigma^{-1} \end{align}
が同相写像であることを示せ.

問題2(3)の不等式を間違えていました.大変申し訳ございません(6/8)

問題3

$\sharp X=n$なる有限集合$X$に入る位相の種類の個数を$f(n)$とおく.例えば$f(1)=1,f(2)=4,f(3)=29$である.
任意の正整数$n$について,
\begin{align} f(n)\geq 2^{n-1} \end{align}
であることを示せ.

コンテスト問題はこれで以上である.

訂正

6/4
コンテスト問題1を差し替えました.

6/6
コンテスト問題2の(3)の不等式が間違えていたので修正.
6/8
コンテスト問題2の(3)の不等式が間違えていたので修正.

投稿日:64
更新日:68

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itou
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数学勉強中. https://twitter.com/G7UOMb0Zd8V7LdP

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