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ここでは東大数理の修士課程の院試の2016A05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです
2016A05
- 多項式$z^5+13z-5$の根の絶対値は全て$2$未満であることを示しなさい。
- 複素積分
$$
\int_{|z|=2}\frac{z^4+1}{z^5+13z-5}dz
$$
を計算しなさい。但し積分経路の向きは反時計回りとする。
- 絶対値$2$以上の複素数$z$に対しては
$$
|z^5+13z-5|\geq\left||z|^5-13|z|-5\right|>0
$$
であることから結果が従う。 - 初めに置換積分により
$$
\begin{split}
\int_{|z|=2}\frac{1}{z^5+13z-5}dz&=\int_{|z|=\frac{1}{2}}\frac{-\frac{1}{w^2}}{\frac{1}{w^5}+13\frac{1}{w}-5}dw\\
&=\int_{|z|=\frac{1}{2}}\frac{w^3}{5w^5-13w^4-1}dw=0
\end{split}
$$
である。但し最後の等号は$5w^5-13w^4-1$の根の絶対値が$\frac{1}{2}$より大きいこと(これは(1)から従う)と留数定理から従う。
一方$z^5+13z-5$が相異なる$5$つの根$a_1,a_2,a_4,a_5$を持つことを考慮すれば、(1)と留数定理から
$$
\begin{split}
\int_{|z|=2}\frac{5z^4+13}{z^5+13z-5}dz&=\sum_{i=1}^5\int_{|z|=2}\frac{1}{z-a_i}dz\\
&=10\pi i
\end{split}
$$
である。
以上の議論を併せて
$$
\begin{split}
\int_{|z|=2}\frac{z^4+1}{z^5+13z-5}dz&=\frac{1}{5}\int_{|z|=2}\frac{5z^4+13}{z^5+13z-5}dz-\frac{8}{5}\int_{|z|=2}\frac{1}{z^5+13z-5}dz\\
&={\color{red}2\pi i}
\end{split}
$$
であることが分かる。