中扉
noteに連載した『ねじ・音楽・群』を『わからなかった私のための群論入門』と改題し、PDFで公開しました。到達点は、準同型 $\phi:G\to H$ に対する準同型定理 $G/\ker\phi\cong\operatorname{Im}\phi$と、その証明です。
群論の入門書を開いたものの、定義の意味がつかめず止まってしまった方(その一人は著者です)に向けて書いた本です。
わからなかった私のための群論入門
紙の正三角形を回したり、裏返したりして、6つの操作を集めるところから始めます。この6つの操作を繰り返し使い、部分群・剰余類・正規部分群・商群・準同型を経て、準同型定理まで進みます。具体例で見通しを立ててから、定義に進むスタイルです。
使うのは、主に$D_3$です。題材を繰り返し使うことで、新しい具体例を覚える負担を抑え、概念の理解に集中できます。記号で迷ったときも、見慣れた操作の図や乗積表に戻って確かめられます。



抽象的な定義や式を、操作の図や色分けした乗積表と対応させ、何を表しているのかを確かめながら読み進められます。

組に分けられても、組どうしを計算できるとは限りません。乗積表を小さくできる場合と、できない場合を比較し、正規部分群の条件が必要になる理由を確かめます。


同じ6つの点でも、「同じ」とみなす関係によって、できるまとまりが変わります。同値関係と同値類の違いを、つなぎ方とまとまりとして捉えます。

CAD部品の回転を題材にした問題もあります。異なる回転操作でも同じ見た目になる状況を通して、剰余類で操作をまとめる意味を確かめます。

剰余類を、6人の戦隊ヒーローのチーム分けにたとえて説明します。誰と誰が同じ組になるのかを物語で追い、部分群を基準に組み分けする考え方を捉えます。


第11章では、歯車やねじの動き、音楽の移調・反行・逆行などを、群の視点から見ていきます。シェーンベルクの12音技法や、バッハのカノンも取り上げます。
音源や、ブラウザーで動かせる時計・ねじ・キューブなどの教材へのリンクもあります。動かしたり、聴いたりしながら、操作の規則や構造の共通点と違いを確かめられます。
表紙
表紙は、南部菱刺しをモチーフにしてデザインしました。12個の模様が輪になって並び、白・朱・からしの3色を4回繰り返しています。
この模様を、色も含めて元と重なるように動かす操作にも、群が現れます。どの回転や裏返しで重なるでしょうか。
▼ クイズはこちら
群論基礎クイズ
群の定義から準同型定理まで、48問から10問を出題する3択クイズです。
問1〜20は、群論の理解度を調べる概念テスト CI²GT(Veith, Bitzenbauer & Girnat, 2022, CC BY 4.0)を、日本語に訳して翻案したものです。
他にも↓のような、コンテンツを作っています。
キューブを回して「群」を知ろう