0

東大数理院試過去問解答例(2025B07)

195
0

ここでは東大数理の修士課程の院試の2025B07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2025B07

実射影空間RP5の部分空間
X={[x1,x2,y1,y2,z1,z3]RP5|x1y1=x1y2=x2y1=x2y2=0}
について以下の問いに解答しなさい。

  1. 整係数ホモロジー群H(X;Z)を計算しなさい。
  2. 連続写像S1Xであって、定値写像とホモトピピックでないものを一つ構成しなさい。

以下の解答に於いて位相空間X,Yに対しXYと表記したときは、XYが同相であることを表す。

  1. まず
    Xx={[0,0,y1,y2,z1,z2]}RP3
    Xy={[x1,x2,0,0,z1,z2]}RP3
    と置くと、このときX=XxXyであり、
    XxXyRP1S1
    である。このときマイヤービートリス完全列は
    0H4(X,Z)0Z2H3(X,Z)00H2(X,Z)Z(Z/2Z)2H1(X,Z)ZZ2Z0
    である。これによりn4に対し
    H2(X,Z)=Z
    H3(X,Z)=Z2
    Hn(X,Z)=0
    がわかる。ここでRP3の胞体分割RP3=e0e1e2e3で、i=1kei=RPkになるようなものを取ったとき、H1(RP3,Z)の生成元はe1で生成されることが分かる。これにより上記のマイヤービートリス完全列の1次における群準同型ZZ/2Z×Z/2Zは適切な基底を取ることで
    m(mm)
    と表されることが分かる。よってH1(X,Z)=Z/2Zが分かる。以上をまとめると
    H(X,Z)={Z(=0,2)Z/2Z(=1)Z2(=3)0(4)
    である。
  2. 写像f:S1=R/ZX
    f(t):=[0,0,0,0,cosπt,sinπt]
    を取ったとき、(1)の途中で行った胞体分割を用いた議論により、f:S1RP5が定値写像とホモトピックでないことが分かる。よってf:S1Xも定値写像とホモトピックではない。
投稿日:27日前
更新日:19日前
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中