ここでは東大数理の修士課程の院試の2025B07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2025B07
実射影空間の部分空間
について以下の問いに解答しなさい。
- 整係数ホモロジー群を計算しなさい。
- 連続写像であって、定値写像とホモトピピックでないものを一つ構成しなさい。
以下の解答に於いて位相空間に対しと表記したときは、とが同相であることを表す。
- まず
と置くと、このときであり、
である。このときマイヤービートリス完全列は
である。これによりに対し
がわかる。ここでの胞体分割で、になるようなものを取ったとき、の生成元はで生成されることが分かる。これにより上記のマイヤービートリス完全列の次における群準同型は適切な基底を取ることで
と表されることが分かる。よってが分かる。以上をまとめると
である。 - 写像を
を取ったとき、(1)の途中で行った胞体分割を用いた議論により、が定値写像とホモトピックでないことが分かる。よっても定値写像とホモトピックではない。