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大学数学基礎解説
文献あり

「数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方」に出てくる、代数の練習問題その4

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「数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方」に出てくる、代数の練習問題その4

問題

練習問題3.7

多項式$f(x)=(x-a_1)(x-a_2)\dotsm(x-a_n)+1$は、$a_i$を整数とするより小さい整数多項式に因数分解できないことを証明せよ。

解答(本には載ってません)

代数学の基本定理より
(この後もこの定理を前提にする)
題意が成り立たないなら

$\begin{eqnarray}&&(x-a_1)(x-a_2)\dotsm (x-a_n)+1\\ &=&(x-b_1)(x-b_2)\dotsm (x-b_n) \end{eqnarray}$

解の和は2次式の$\alpha$に相当する部分だ。$n-1$次の$x$の項に対応する。(この「対応」は数学的な対応ではない。)
$n-1$次の$x$を因数に持つ項なので、$1$を加えても変わらない。
$$\therefore \sum^n_{n=1}{a_n}= \sum^n_{n=1}{b_n} \dots① $$
また、左辺と右辺の対応する定数項の関係より
$$\prod^n_{n=1}{a_n}+1=\prod^n_{n=1}{b_n} \dots② $$

説明

どれかの$a_i$$+1$されると($\dots$ (a))、①が成り立たなくなる。
従って別の$a_i$$-1$する($\dots$ (b))ことになる。

補足

正方形の面積で考えると分かるが、$2$以上足したり引いたりすると、全体に足す数が$1$では全体に足す数が小さすぎて成り立たない。しかも、長方形では差が$1$にならないので、殆ど常に成り立たないことが分かる。

説明の続き

そうすると
$\prod{a_n}$は大きくなる。
②が成り立つ為には、$a_n$に足したり引いたりしたものを新しい$a_n$とした時に、新しい$a_n$において$\prod{a_n}$は小さくならないといけない。
(この書き方が一番分かりやすい。新しい$a_n$$c_n$などとすると難しくなる。殆ど変化していないので、どうしても気になる人は$a'n$などに頭の中で置き換えるように。)

立式すると

(a)で小さくなる量は
$-1* (x-a_1)(x-a_2)\dotsm (x-a_{i-1})(x-a_{i+1})\dotsm (x-a_n)\dots ③$
変形した式全体は
$ (x-a_1)(x-a_2)\dotsm (x-a_{i-1})(x-a_i-1)(x-a_{i+1})\dotsm (x-a_n)$
最終的な式は
$ (x-a_1)(x-a_2)\dotsm (x-a_{i-1})(x-a_i-1)(x-a_{i+1})\dotsm (x-a_j+1)(x-a_{j+1}) \dotsm (x-a_n)$
(b)で大きくなる量は
$ (x-a_1)(x-a_2)\dotsm (x-a_{i-1}) (x-a_i-1) (x-a_{i+1})\dotsm (x-a_{j-1})(x-a_{j+1}) \dotsm (x-a_n)$
$\dots ④$

たまねぎくんの解説

(x-a_i-1)
が③に追加され、④は
(x-a_j)
がなくなってるんだよ。

説明の続き

$③+④=1$より
$\begin{eqnarray}&&(x-a_1)(x-a_2)\dotsm (x-a_{i-1})(x-a_{i+1})(x-a_{j-1})(x-{j+1}) \dotsm (x-a_n)\\ &*&\lbrace -(x-a_j+1)+x-a_i-1\rbrace\\ &=&T*(a_j-a_i-2)\\ &=&1 \end{eqnarray}$
$\therefore T=1, a_j-a_i=2またはT=-1,a_j-a_i=-2$
この式が常に成り立つ訳がないので、これは馬鹿げている。
Q. E. D.

こんなもんだと思うが、式が簡単なようで難しい。
本気で間違いを訂正してくれる方がいらっしゃると助かります。
何度も直したんだけどな。

参考文献

[1]
テレンス・タオ, 数学オリンピックチャンピオンの美しい解き方, 青土社, 2022, 93
投稿日:2023512

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