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【Spin幾何】Einstein-Dirac系

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 スピノル場を物質として持つEinstein系の作用を定義して、変分して場の方程式を導きます。

convention
(M,g):リーマンスピン多様体
:gのリーマン接続およびスピン接続
R:(M,g)のスカラー曲率
S:スピン束
,:SのSpin不変ファイバー内積
Xψ,ϕ=ψ,Xϕ
D:Dirac作用素

Einstein-Dirac系

Einstein-Dirac系

(M,g)をリーマンスピン多様体とし、ψをスピノル場とする。m,ΛRに対して、作用汎関数
S=M(RReψ,(Dm)ψ2Λ)dv
の停留点として与えられる(g,ψ)Einstein-Dirac系を成すという。

 擬リーマンでも同様なのですが符号の取り扱いが少し面倒なのでこの記事ではリーマン多様体で行います。

 ψを変分して得られるDirac方程式は
(Dm)ψ=0
であり、gを変分して得られるEinstein方程式は
Ric12Rg+Λg=TψTψ(X,Y)=14Reψ,XYψ+YXψ
で与えられます。Tψはスピノルψのエネルギー運動量テンソルと呼ばれます。

場の方程式の導出

 作用汎関数を
S=Sg+SψSg=M(R2Λ)dvSψ=MReψ,(Dm)ψdv
と分解しておきます。

Dirac方程式

 ψt=ψ+ϕtとして変分を行います。Dirac作用素の形式的自己随伴性を使うと
ddtSψ(ψt)|t=0=12M(Reϕ,(Dm)ψ+Reψ,(Dm)ϕ)dv=12M(Reϕ,(Dm)ψ+Re(Dm)ψ,ϕ)dv=MReϕ,(Dm)ψdv
となります。よって任意のϕに対してψが停留点を与えるためには
(Dm)ψ=0
となります。

Einstein方程式

 計量gで変分します。Sggでの変分は 一般相対性理論概説 で計算しているので参照してください。ここではSψgで変分してψのエネルギー運動量テンソルを導きます。計量を摂動すると、それに伴ってフレーム場とスピン接続が摂動されます。

 (gt)μν=g+hμνt+o(t2)に伴って、フレーム場は
gt((ei)t,(ej)t)=δij
が満たされるように摂動するので、(eiμ)t=eiμ+viμt+o(t2)となっているとすれば、
hμνeaμebν+gμνeaμvbν+gμνvaμebν=0
を満たします。このためには
vaμ=12eaλgνμhλν
となっていればよいことが分かります。以下ではγμ=eiμγiなどと書きます。

 変分は
ddtSψ(gt)|t=0=M(Reψ,γiddt(ei)tμμψ+Reψ,γk(ek)tμddt(ωt)ijμγiγjψ)dv|t=0
となります。第一項は
Reψ,γiddt(ei)tμμψ|t=0=12Reψ,γλνψhλν=12Reψ,γλνψhλν
となります。
 第二項の変分は消えるのですが計算は少し長いです。まず
ωijμ=eiλμejλ=eiλ(μejλ)+eiλejνΓμνλ
より、ddtΓμνλ|t=0=δΓμνλと書くとき、
ddtωijμ|t=0=viλ(μejλ)+eiλ(μvjλ)+viλejνΓμνλ+eiλ(vjν)Γμνλ+eiλejνddtΓμνλ|t=0=viλ(μejλ)+eiλ(μvjλ)+eiλejνδΓμνλ
となります。{xμ}を点pを中心とする測地座標とし、pにおいてeiμ=δiμとなるようにします。さらにμgνλ(p)=Γνλμ(p)=0となるので、μei=0となり、
ddtωijμ|t=0=eiλ(μvjλ)+eiλejνδΓμνλ  (at p)
となります。接続の係数のLie微分の公式と同様に
δΓμνλ=12gλα(μhαν+νhαμαhμν)
が成り立つので、
ddtωijμ|t=0=eiλ(μvjλ)+12eiαejνμhαν+12ei[αejν]νhαμ  (at p)
となります。vjλ=12ejρhρλだったので
eiλ(μvjλ)=12eiλejρμhρλ
を使うと、
ddtωijμ|t=0=12ei[αejν]νhαμ  (at p)
となり、
γμγiγjδωijμ=12γμγ[λγν]νhλμ
が得られます。よって
Reψ,γμγiγjδωijμψ=12Reψ,γμγ[λγν]ψνhλμ=12Reψ,γμγ[λγν]ψνhλμ=12ψ,(γμγλγνγμγνγλγνγλγμ+γλγνγμ)ψνhλμ=12ψ,(γμγλγνγνγλγμ)ψνhλμ=12ψ,(γ[μγλ]γν2gν[μγλ])ψνhλμ=0  (at p)
となり、点pは任意に選べるので第二項目の変分は消えることが分かりました。
 以上より
ddtS(gt)|t=0=ddtSg(gt)|t=0+ddtSψ(gt)|t=0=M(Rμν12Rgμν12Reψ,γμνψ)hμνdv
となり、
Rμν12Rgμν=12Reψ,γ(μν)ψ=14Reψ,γμνψ+γνμψ
が得られました。

投稿日:20231129
更新日:20231129
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Submersion
Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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