こんにちは。今回は中三のときに計算機で遊んでたら見つけた謎の極限のお話です。
\begin{align*} \lim_{x\to\infty}\frac{1}{x}\tan\left\{\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{x}\right)\pi\right\}=\frac{1}{\pi} \end{align*}
$\tan{x}$は$\displaystyle x\to\frac{\pi}{2}-0$で$\infty$に発散してしまいます。その発散を抑えるために$ \displaystyle\frac{1}{x}$を乗じています。するとなぜか$\displaystyle\frac{1}{\pi}$に収束しました。
この記事ではこいつを証明したいと思います。
ぱっと思いつくのはロピタルの定理ですよね。
$\displaystyle\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}$が$\displaystyle\frac{0}{0}$または$\displaystyle\frac{\pm\infty}{\pm\infty}$の不定形で、条件(i)、(ii)の双方を満たせば、
\begin{align*}
\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=\lim_{x\to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}
\end{align*}
[条件]
(i)$a$の近傍で$f$と$g$は微分可能であること。
(ii)$\displaystyle\lim_{x\to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}$が実数値に収束し、$g'(x)\ne0$であること
証明は許してください。まだ$\varepsilon-N$論法に慣れてなさ過ぎてできません。先人の知恵にあやかる形にはなりますが、これを使ってみましょう。
ロピタルする前に極限の形を変形しておきましょう。$\tan$を加法定理でばらすと、
\begin{align*}
\lim_{x\to\infty}\frac{1}{x}\cot\frac{\pi}{x}
\end{align*}
となります。さらにこれに対して、$\displaystyle \frac{\pi}{x}=u$とします。このとき、極限の先は$u\to0$へ変わります。よって、
\begin{align*}
\frac{1}{\pi}\lim_{u\to0}u\cot{u}
\end{align*}
けっこうすっきりしましたね。命題を示すにはこの極限が$1$となることを言えば充分です。ここからロピタル。
一応確認ですが、変換後の極限は$\displaystyle\frac{0}{0}$の不定形となります。
\begin{align*}
f(x)&=x\\
g(x)&=\tan{x}
\end{align*}
です。それぞれ$x$で微分すると
\begin{align*}
f'(x)&=1\\
g'(x)&=\sec^2{x}
\end{align*}
となります。では条件を確認しましょう。
$f'$も$g'$も$x=0$の近傍で微分可能なことがわかり、$g'(x)\ne0$もわかります。ロピタルが使えますね!
\begin{align*}
\frac{1}{\pi}\lim_{u\to0}u\cot(u\pi)&=\frac{1}{\pi}\lim_{u\to0}\cos^2(u)\\
&=\frac{1}{\pi}
\end{align*}
おお。出ましたね!結構簡単に示せてちょっとびっくり。
今回の極限は収束先の面白さに目が行きがちですが、$\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}-0}\tan{x}$が$\displaystyle\frac{10^n}{\pi}$の形で発散するという不思議なこともわかるいいものです。実際、
\begin{align*}
\tan\frac{499999999999}{100000000000}\pi&=0.3183098861837906715376628...\times10^{11}\\
\frac{1}{\pi}&=0.3183098861837906715377675...
\end{align*}
となります。($\text{WorframAlpha}$)
また、これは規則性があり、一般には自然数$n$について
\begin{align*}
10^{-n}\tan\frac{2^{-1}10^{n}-1}{10^n}\pi
\end{align*}
は$\displaystyle\frac{1}{\pi}$を小数部分を$2n-1$桁近似します。(未証明)
以上、遊んでたら見つけた面白い極限のお話でした。ほな、さいなら!