0
大学数学基礎解説
文献あり

複素関数の復習その4

5
0

今回は、Jordanの補題とCauchyの主値積分を扱い、いよいよ留数定理を使った問題が色々解けるようになっていきたいと思います。

まず解けるようになりたい問題はこちらです。

I=0dxsinxx
を求めよ

これを複素積分を使って解くために、実軸上をRからRまで動き、複素平面の上半平面上を半径Rの半円に沿って0からπまで回ってRに戻ってくるような閉曲線の経路Cを考え、実軸上の部分をC1,半円の弧の部分をC2にします。
三角関数は積分する際は指数関数に直した方が扱いやすいので、一旦f(z)=eizzと置きましょう。すると、
Cdzeizz=RRdzeizz+C2dzeizz
です。第一項目は、
RRdzeizz=2i0Rsinzz
となり、RIを求めるのに使えそうです。ということは、C2の積分が邪魔ですね。

Jordanの補題

こんな時に使えるのがJordanの補題です。

Jordanの補題

C2を中心0,半径Rの半円(0θπ)とする。f(Reiθ)Rで一様に0に収束し、かつa>0なら
limRC2dzeiazf(z)=0

0に収束するやつがさらに指数関数で抑えられてたら、線積分しても0だよっていう話です。

C2dzeiazf(z)=0πdθiReiθeiaReiθf(Reiθ)
|iReiθeiaReiθf(Reiθ)|=ReaRsinθ|f(Reiθ)|
なので、
C2dzeiazf(z)0πdθReaRsinθ|f(Reiθ)|
ここで、一様収束性より、任意のε>0についてR0が存在し、R>R0なら|f(Reiθ)|<εなので、
C2dzeiazf(z)0πdθReaRsinθε=20π2dθReaRsinθε
0θπ2sinθ>2πθなので、
C2dzeiazf(z)20π2dθRe2aRπθεπεa
よって、RC2dzeiazf(z)0が示せた。

問題1で登場した式にもこの補題が適用できます。
1zRで0に一様収束するので、RC2dzeizz0です。
つまり、
limRCdzeizz=2iI
となります。
それでは、この式の左辺はどう計算すれば良いでしょうか?

Cauchyの主値積分

留数定理を使いたいところですが、eizzの特異点はz=0ですが、これは経路上にバッチリ乗ってしまっています。こんな時に便利なのが、Cauchyの主値積分です。
前回紹介した留数定理によれば、特異点が全て閉曲線内にある時は
Cdzf(z)=2πij:CRes(f,zj)
でした。経路上の点まで考えたい時は、

Cauchyの主値積分

P.V.Cdzf(z)=πij:CRes(f,zj)+2πij:CRes(f,zj)

のようにして、中にある時の半分だけカウントします。左辺は、Cauchyの主値積分をしましたよ、という意味の記号です。
今回の場合、0での留数は1なので、2iI=πiになり、I=π2がもとまります。

ここまで読んでくださりありがとうございました。今回までで、院試で聞かれるような問題はあらかた解けるようになっているはずなので、次回以降は東大の院試を例題にしていくつか問題解説などを投稿しようと思います。

参考文献

投稿日:2024310
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

工学部の3年生です。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中