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京大数学科院試過去問解答例(2024専門02)

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ここでは京大数学教室・RIMSの修士課程の院試の2024専門02の解答例を解説していきます(但し解説の都合上少し問題を改変しています)。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2024専門02

$n$を正の自然数とする。形式的冪級数環$\mathbb{C}[[X]]$の部分環$A$及びその極大イデアル$m$で、次の条件を満たす例を一つ挙げなさい。

  1. $\mathbb{C}\subseteq A$かつ$\dim_\mathbb{C}\mathbb{C}[[X]]/A<\infty$
  2. $A$の商体に於ける$A$の整閉包は$\mathbb{C}[[X]]$である。
  3. $\dim_\mathbb{C}m/m^2=n$

初めに
$$ A={\color{red}\mathbb{C}[[X^n,\cdots,X^{2n-1}]]} $$
とおく。このとき$\mathbb{C}[[X]]/A$の元は$X,X^2,\cdots,X^{n-1}$で生成されるから(i)が満たされている。また$A$の整閉包を$B$としたとき、$X$$T^n-X^n\in A[T]$の根であり、$\mathbb{C}[[X]]$は整閉であるから、$B=\mathbb{C}[[X]]$である。よって(ii)が満たされている。次に
$$ m={\color{red}(X^n,\cdots,X^{2n-1})} $$
とおくと、任意の$nk+\ell$(但し$k\geq2$かつ$\ell=0,\cdots,n-1$)に対して
$$ X^{2n+k}=X^{n(k-1)}X^{n+\ell}\in m^2 $$
である一方、$X^{n+\ell}$は最低次数$\geq n$$\mathbb{C}[[X]]$の元の積の有限和としては表せないから$X^{n+\ell}\notin m^2$である。以上から
$$ \dim_\mathbb{C}m/m^2=n $$
つまり条件(iii)が従う。以上から$(A,m)$が所望の例になっている。

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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント

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