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東大数理院試過去問解答例(2011A02)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2011A02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

この問題はそんなに難しくも面白くもなく、記事にする価値は正直そんなにないのですが、問題を見たとき「これ不定積分求めるの無理では?」と見当はずれなことを考えてしまいました。ですのでこの記事を書くのは自戒のためです。

元の問題は(1)(2)共に極限の存在を示させた上で値を求めさせるものでしたが、個人的に極限値の存在は明らかと言える範疇だと思ったので省略しました。ただ解答を書くに当たっては収束値が存在する根拠がわかるように書くことを心掛けました。

2011A02
  1. 積分
    g(s,t)=stlog(1+1x2)dx
    及びその極限g(t):=lims+0g(s,t)を計算しなさい。
  2. 極限limt+g(t)を計算しなさい。
  1. 実際に積分を求めると
    log(1+1x2)dx=xlog(1+1x2)+2xx3(1+1x2)dx=xlog(1+1x2)+211+x2dx=xlog(1+1x2)+2arctanx+C=xlog(1+x2)2xlogx+2arctanx+C
    であるから、このこととlims+0slogs=0であることを考慮すると
    stlog(1+1x2)dx
    s+0で収束値を持ち、その値は
    tlog(1+1t2)+2arctant
    であることがわかる。
  2. 前半の結果から
    g(t)=1tlog(1+1t2)t2+2arctant
    であるから、これと自然対数の定義により
    limt+g(t)=π
    であることが従う。
投稿日:2024614
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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