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大学数学基礎解説
文献あり

ABJ anomaly: オペレータ形式におけるpoint splittingの方法

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本記事ではオペレータ積の形で軸性ベクトルカレントを扱い、正則化をpoint splittingで行うことでABJ anomalyを導きます。

参考文献はRef.[1]です。というかその日本語訳+αという感じです。

Point splittingによる正則化

軸性ベクトルカレントは通常次のように書きます:
jμ5=ψ¯(x)γμγ5ψ(x)
ここでψ,ψ¯はオペレータとします。しかしこの表式はwell definedではありません。なぜなら同一点のオペレータの積は発散を含むからです。そこでψ¯xμ+ϵμ/2に、ψxμϵμ/2に置くことで正則化します。ただしこれを行うとgauge invarianceが失われるため、ψ¯(x+ϵ/2)ψ(xϵ/2)の間をWilson line
exp[iexϵ/2x+ϵ/2dzμAμ(z)]
で結びます。このように定義したjμ5の発散は以下のようになります:
(1)μjμ5=symm limϵ0 μ{ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5exp[iexϵ/2x+ϵ/2dzμAμ(x)]ψ(xϵ/2)}
ここでsymm limは、ϵμ0を以下を満たすようにとることを意味します:
symm limϵ0 ϵμϵνϵ2=1dgμν   (d:dimension)
これはすなわちϵμを回転対称性を保つようにゼロに近づけるということです。

Eq.(1)を計算していきます:
μjμ5=symm limϵ0 μ{ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5exp[iexϵ/2x+ϵ/2dzμAμ(x)]ψ(xϵ/2)}=symm limϵ0 {μψ¯(x+ϵ/2)γμγ5exp[iexϵ/2x+ϵ/2dzμAμ(x)]ψ(xϵ/2)+ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5exp[iexϵ/2x+ϵ/2dzμAμ(x)]μψ(xϵ/2)+ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5[ieϵνμAν(x)]ψ(xϵ/2)}
EoM:∂̸ψ=ieψ, μψ¯γμ=ieψ¯を用いれば
=symm limϵ0 {ieψ¯(x+ϵ/2)(x+ϵ/2)γ5exp[iexϵ/2x+ϵ/2dzμAμ(x)]ψ(xϵ/2)+ψ¯(x+ϵ/2)γ5exp[iexϵ/2x+ϵ/2dzμAμ(x)](ie)(xϵ/2)ψ(xϵ/2)+ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5[ieϵνμAν(x)]ψ(xϵ/2)}symm limϵ0 {ieψ¯(x+ϵ/2)(x+ϵ/2)γ5ψ(xϵ/2)+ψ¯(x+ϵ/2)γ5(ie)(xϵ/2)ψ(xϵ/2)+ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5(ieϵνμAν(x))ψ(xϵ/2)}=symm limϵ0 {ψ¯(x+ϵ/2)(ieϵμγνμAνieϵνγμμAν)γ5ψ(xϵ/2)}(2)=symm limϵ0 {ψ¯(x+ϵ/2)[ieγμϵν(μAννAμ)]γ5ψ(xϵ/2)}
これは一見ϵ0でゼロにみえますが、ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5ψ(xϵ/2)の期待値がこの極限で発散するため有限になります。

4次元において、background field Aμが存在するとき、fermionの伝播の最低次は図1のダイアグラムです。これを計算すると

Fermion伝播の最低次のダイアグラム Fermion伝播の最低次のダイアグラム

ψ(y)ψ¯(z)=d4k(2π)4eik(yz)ik2=∂̸d4k(2π)4eik(yz)1k2=∂̸(i4π21(yz)2)=i2π2γα(yz)α(yz)4
となります(ABは演算子ABのWick contractionを表す)。これはγμγ5とともにtrをとるとゼロになるので寄与しません。back ground field Aμの寄与を1つ含むfermionのpropagation(図2。Aμを表す)は以下のように計算できます:

Fermion伝播の!FORMULA[30][1207907657][0]のダイアグラム Fermion伝播のe2のダイアグラム

d4k(2π)4d4p(2π)4ei(k+p)yeikzi(+)(k+p)2(ie(p))ik2
よってこのダイアグラムによるψ¯(x+ϵ/2)γμγ5ψ(xϵ/2)への寄与は以下のようになります:
ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5ψ(xϵ/2)|図2=d4k(2π)4d4p(2π)4ei(k+p)(xϵ/2)eik(x+ϵ/2)tr[iγμγ5i(+)(k+p)2(ie(p))ik2]=d4k(2π)4d4p(2π)4eiϵkeipxeipϵ/24eϵμαβγ(k+p)αAβ(p)kγ(k+p)2k2
分子でkが2つかかるものはtrで消えます。また被積分関数のkが大きな部分がϵ0の極限で発散に寄与するので
d4k(2π)4d4p(2π)4eiϵkeipxeipϵ/24eϵμαβγpαAβ(p)kγk4=4eϵμλβγd4p(2π)4eipxeipϵ/2pαAβ(p)iϵγd4k(2π)4eiϵk1k4
ここで
αAβ(x)=d4p(2π)4(ipα)eipxAβ(p)
であり、eipϵ/2は無視できるので
=4eϵμλβγ(iαAβ(x))iϵγd4k(2π)4eiϵk1k4
Appendixの計算より
(3)d4k(2π)4eiϵk1k4Euclid化id4k(2π)4eiϵk1k4=i16π2log1ϵ2
となります。ゆえにEq.(2)は
ψ¯(x+ϵ/2)γμγ5ψ(xϵ/2)=4eϵμλβγd4p(2π)4eipxeipϵ/2pαAβ(p)iϵγd4k(2π)4eiϵk1k4=4eϵμαηγ(iαAβ(x))iϵα(i16π2log1ϵ2)=2eϵαβμγFαβ(x)(i8π2ϵγϵ2)
となります。これはsymmetric limitで1/ϵで発散します。よってEq.(2)のϵνと積をとることで有限の寄与を与えます。計算すれば
μj5μ=symm limϵ0 {ψ¯(x+ϵ/2)[ieγμϵν(μAννAμ)]γ5ψ(xϵ/2)}=symm limϵ0 {(ieϵνFμν(x))2eϵαβμγFαβ(x)(i8π2ϵγϵ2)}=e24π2ϵαβμγFαβFμν(symm limϵ0 ϵγϵνϵ2)=e216π2ϵαβμνFαβFμν
を得ます。これはこれまで計算してきた結果と一致します。

おしまい。



Appendix: Eq.(3)の導出

(※数学的には厳密でない議論かと思いますがご容赦ください)

d4k(2π)4eiϵk1k4を計算します。まずEuclid化します:
d4k(2π)4eiϵk1k4Euclid化id4k(2π)4eiϵk1k4
極座標に移り書き直せば
(4)=4πi(2π)40πdθsin2θ01keikϵcosθdk
ただしk=|kμ|,ϵ=|ϵμ|です。θϵμkμのなす角です。kの積分でnaiveにkを変数変換するとϵの寄与は消えます。しかしこの積分はinfraredで発散しています(UVはϵ>0ならばϵに依存しない有限の寄与)。そこで、発散を取り除くのと、ϵに依存した部分のみを取り出すために、k積分を
01keikϵcosθdkdϵϵ01keikϵcosθdk
とします(こういう正則化を採用したと思ってください)。計算を進めると
dϵϵ01keikϵcosθdk=dϵ[0(icosθ)eikϵcosθdk]=dϵ1ϵ[eikϵcosθ]0
ここで積分の上端の無限大の寄与は無視します(kの積分経路を実軸から少しだけ傾けてdamping factorを導入したと思っても良い)。すると
=logϵ
となります。以上より
d4k(2π)4eiϵk1k4=Eq.(4)=4πi(2π)40πdθsin2θ(logϵ)=4πi(2π)4π2(logϵ)=i16π2log1ϵ2
を得ます。

参考文献

[1]
Michael E. Peskin, Daniel V. Schroeder, An Introduction to Quantum Field Theory, Westview Press, 1995, P655-
投稿日:2023714
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  1. Point splittingによる正則化
  2. Appendix: Eq.(3)の導出
  3. 参考文献