$L,L'$を$\mathrm{Lie}$代数とする。$\varphi:L\to L'$が線型写像であって、
すべての$x,y\in L$に対し、$[\varphi(x),\varphi(y)]=\varphi([x,y])$をみたすとき、
$\varphi:L\to L'$を$\mathrm{Lie}$代数の準同型写像とか準同型とよぶ。
$\mathrm{Lie}$代数の準同型が全単射であるとき、$\mathrm{Lie}$代数の同型写像とか同型という。
$2$つの$\mathrm{Lie}$代数$L,L'$の間に同型写像が存在するとき、
$L$と$L'$は同型であるといい、$L\cong L'$とかく。
特に、$\mathrm{Im}\,\varphi$は$L'$の部分$\mathrm{Lie}$代数であり、$\mathrm{Ker}\,\varphi$は$L$のイデアルとなる。
$\varphi:L\to L'$を$\mathrm{Lie}$代数の準同型とする。このとき、$L/\mathrm{Ker}\,\varphi \cong \mathrm{Im}\,\varphi$である。
線型空間の準同型定理を認めて証明する。
つまり、$f:L/\mathrm{Ker}\,\varphi \to \mathrm{Im}\,\varphi\,,f(x+\mathrm{Ker}\,\varphi):=\varphi(x)$
が線型同型を与えるということを認める。
この写像がかっこ積を保つことを確認する。
$ x+\mathrm{Ker}\,\varphi$を$\bar x$とかくことにする。
$x,y\in L$を任意にとると、
$f([\bar x,\bar y])=f(\overline{[x,y]})=\varphi([x,y])=[\varphi(x),\varphi(y)]=[f(\bar x),f(\bar y)]$
であるので、$f$は$\mathrm{Lie}$代数の同型写像である。 $\Box$
準同型定理から面白い結果を得ることができる。
$L$を有限次元非可換単純$\mathrm{Lie}$代数とする。このとき、$L$は線型$\mathrm{Lie}$代数である。
随伴表現$\mathrm{ad}:L\to \mathfrak{gl}(L)$を考える。
$L$は非可換単純$\mathrm{Lie}$代数より、$\mathrm{Ker}(\mathrm{ad})=Z(L)=\set0$ である。
よって、準同型定理より、$L\cong \mathrm{Im}(\mathrm{ad})\subset \mathfrak{gl}(L)$
$\dim L:=n <\infty$より、$L$の基底を一つ固定して、表現行列を作ることで、$\mathfrak{gl}(L)\cong\mathfrak{gl}_n(\mathbb{F})$となる。
したがって、$L$は$\mathfrak{gl}_n(\mathbb{F})$の部分$\mathrm{Lie}$代数と同型となる。
つまり、$L$は線型$\mathrm{Lie}$代数である。 $\Box$
寄り道というか補足の定義
表現$\pi:V\to \mathfrak{gl}(V)$が単射であるとき、$\pi$を忠実な表現という。
つまり、直前の証明から、$L$が非可換単純$\mathrm{Lie}$代数のとき、随伴表現は忠実である。