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大学数学基礎議論
文献あり

素微分は微分

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自己紹介

私は、kzaukzau(カズカズ)と申します。
主にMathlogで記事を書いてます。

よろしくお願いします。

素微分の紹介[1]

素微分D(a)の定義

a0 でない有理数とする。その素因数分解を

a=±pPpep

と書く。ただし、P は素数全体の集合であり、ep は整数である。  
このとき、有理数D(a)を次のように定義する:

D(a)=apPepp
また、D(0)=0 とする。

素微分の性質 ライプニッツルール

D(ab)=aD(b)+bD(a)
(証明は後述する)

素微分の性質 和の公式が破綻

D(5)=1
D(1)=0
D(4)=4
5=1+4
D(5)D(1)+D(4)となり和の公式が成り立たなく、通常の微分と異なる。

素微分は微分

有理関数 fa(x) の定義

a0 でない有理数とする。その素因数分解を

a=±pPpep

と書く。ただし、P は素数全体の集合であり、ep は整数である。  
このとき、有理関数 fa(x)を次のように定義する:

fa(x)=±pP(p+x)ep

fa(x)x=0a となることの確認

x=0 を代入すると、

fa(0)=±pPpep

ここで、素因数分解の定義より

±pPpep=a

であるため、

fa(0)=a

よって、確かに fa(0)=a である。

fa(0)=D(a)

fa(x)=±pP(p+x)ep

両辺の絶対値の対数を取ると、

log|fa(x)|=pPeplog(p+x)

これを x で微分すると、

fa(x)fa(x)=pPepp+x

よって、

fa(x)=fa(x)pPepp+x

x=0 で評価すると、

fa(0)=fa(0)pPepp

ここで、

fa(0)=a

したがって、

fa(0)=apPepp=D(a)

fa(x)の完全乗法的の証明

a,b を 0 でない有理数とし、それぞれの素因数分解を
a=±pPpep,b=±pPpvp
と表す。このとき、積 ab の素因数分解は
ab=±pPpep+vp
であるため、
fab(x)=±pP(p+x)ep+vp
これより、
fa(x)fb(x)=(±pP(p+x)ep)(±pP(p+x)vp)
=±pP(p+x)ep+vp=fab(x)
したがって、
fa(x)fb(x)=fab(x)
となり、fa(x) が完全乗法的であることが示された。

素微分のライプニッツ則の証明

完全乗法的と関数の積の微分公式より、
fab(x)=fa(x)fb(x)+fa(x)fb(x)
ここで、x=0 を代入すると、
fab(0)=fa(0)fb(0)+fa(0)fb(0)
fa(0)=a, fb(0)=b, fa(0)=D(a), fb(0)=D(b) より、
D(ab)=aD(b)+bD(a)
以上により、素微分のライプニッツ則が示された。

今後考えたい気になること

1 足し算

fa(x),fb(x),fa+b(x)に何か関係性があってほしい。

2 fa(x)の定義

fa(x)1次係数がD(a)であるため、2次以降は考えなかったが、たとえば完全乗法的で、
素数ppe2πixp
微分'の代わりにd2πidxを考えても定数項は等しく1次も微分を変更したので、同じことが言える。

蛇足2025/02/14 参考文献[2]との関係

本記事では、0でない有理数の素因数分解から関数fa(x)を構成し、fa(x)  mod  x2x1次の項を考えました。
参考文献[2]の素微分とは異なる「数の微分」について少し書く。
分母が素数pと互いに素な有理数ap進数展開の定数項と1次の項を考えます。
定義
aa0+a1p,bb0+b1p   mod  p2とする。
Dp(a)=aa0   mod  p2を「数の微分」としたとき、
Dp(ab)aDp(b)+Dp(a)b  mod  p2がなりたつ。
証明
Dp(ab)=aba0b0(a0+a1p)(b0+b1p)a0b0p(a0b1+a1b0)  mod  p2
aDp(b)+Dp(a)b(a0+a1p)(bb0)+(aa0)(b0+b1p)p(a0b1+a1b0)  mod  p2

参考文献

投稿日:31日前
更新日:28日前
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  1. 自己紹介
  2. 素微分の紹介[1]
  3. 素微分D(a)の定義
  4. 素微分の性質 ライプニッツルール
  5. 素微分の性質 和の公式が破綻
  6. 素微分は微分
  7. 有理関数 fa(x) の定義
  8. fa(x)x=0a となることの確認
  9. fa(0)=D(a)
  10. fa(x)の完全乗法的の証明
  11. 素微分のライプニッツ則の証明
  12. 今後考えたい気になること
  13. 1 足し算
  14. 2 fa(x)の定義
  15. 蛇足2025/02/14 参考文献[2]との関係
  16. 参考文献