私は、kzaukzau(カズカズ)と申します。
主にMathlogで記事を書いてます。
よろしくお願いします。
$ a $ を $ 0 $ でない有理数とする。その素因数分解を
$$ a = \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} p^{e_p} $$
と書く。ただし、$ \mathbb{P} $ は素数全体の集合であり、$ e_p $ は整数である。
このとき、有理数$D(a)$を次のように定義する:
$$D(a)= a\sum_{p \in \mathbb{P}}\frac{e_p}{p}$$
また、$D(0) = 0$ とする。
$D(ab)=aD(b)+bD(a)$
(証明は後述する)
$ D(5)=1$
$
D(1)=0$
$
D(4)=4$
$
5=1+4$
$D(5)\neq D(1)+D(4)$となり和の公式が成り立たなく、通常の微分と異なる。
$ a $ を $ 0 $ でない有理数とする。その素因数分解を
$$ a = \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} p^{e_p} $$
と書く。ただし、$ \mathbb{P} $ は素数全体の集合であり、$ e_p $ は整数である。
このとき、有理関数 $f_a(x)$を次のように定義する:
$$ f_a(x) = \pm\prod_{p \in \mathbb{P}} (p + x)^{e_p} $$
$ x = 0 $ を代入すると、
$$ f_a(0) = \pm\prod_{p \in \mathbb{P}} p^{e_p} $$
ここで、素因数分解の定義より
$$ \pm\prod_{p \in \mathbb{P}} p^{e_p} = a $$
であるため、
$$ f_a(0) = a $$
よって、確かに $ f_a(0) = a$ である。
$$ f_a(x)= \pm\prod_{p \in \mathbb{P}} (p + x)^{e_p} $$
両辺の絶対値の対数を取ると、
$$ \log |f_a(x)| = \sum_{p \in \mathbb{P}} e_p \log (p + x) $$
これを $ x $ で微分すると、
$$ \frac{f_a'(x)}{f_a(x)} = \sum_{p \in \mathbb{P}} \frac{e_p}{p + x} $$
よって、
$$ f_a'(x) = f_a(x) \sum_{p \in \mathbb{P}} \frac{e_p}{p + x} $$
$ x = 0 $ で評価すると、
$$ f_a'(0) = f_a(0) \sum_{p \in \mathbb{P}} \frac{e_p}{p} $$
ここで、
$$ f_a(0) =a $$
したがって、
$$ f_a'(0)=a\sum_{p \in \mathbb{P}} \frac{e_p}{p}=D(a) $$
$ a, b $ を 0 でない有理数とし、それぞれの素因数分解を
$$
a = \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} p^{e_p}, \quad b = \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} p^{v_p}
$$
と表す。このとき、積 $ ab $ の素因数分解は
$$
ab = \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} p^{e_p + v_p}
$$
であるため、
$$
f_{ab}(x) = \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} (p + x)^{e_p + v_p}
$$
これより、
$$
f_a(x) f_b(x) = \left( \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} (p + x)^{e_p} \right) \cdot \left( \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} (p + x)^{v_p} \right)
$$
$$
= \pm \prod_{p \in \mathbb{P}} (p + x)^{e_p + v_p} = f_{ab}(x)
$$
したがって、
$$
f_a(x) f_b(x) = f_{ab}(x)
$$
となり、$ f_a(x) $ が完全乗法的であることが示された。
完全乗法的と関数の積の微分公式より、
$$f_{ab}'(x)=f_a'(x)f_b(x)+f_a(x)f_b'(x)$$
ここで、$ x = 0 $ を代入すると、
$$f_{ab}'(0) = f_a'(0) f_b(0) + f_a(0) f_b'(0)$$
$ f_a(0) = a $, $ f_b(0) = b $, $ f_a'(0) = D(a) $, $ f_b'(0) = D(b) $ より、
$$D(ab) = a D(b) + b D(a)$$
以上により、素微分のライプニッツ則が示された。
$f_a(x),f_b(x),f_{a+b}(x)$に何か関係性があってほしい。
$f_a(x)$の$1$次係数が$D(a)$であるため、$2$次以降は考えなかったが、たとえば完全乗法的で、
素数$p$を$p e^{\frac{2πix}{p}}$に
微分'の代わりに$\frac{d}{2πidx}$を考えても定数項は等しく$1$次も微分を変更したので、同じことが言える。
本記事では、$0$でない有理数の素因数分解から関数$f_a(x)$を構成し、$f_a(x) \ \ mod \ \ x^2$で$x$の$1$次の項を考えました。
参考文献2の素微分とは異なる「数の微分」について少し書く。
分母が素数$p $と互いに素な有理数$a$の$p$進数展開の定数項と$1$次の項を考えます。
定義
$a≡a_0+a_1p,b≡b_0+b_1p\ \ \ mod \ \ p^2$とする。
$D_p(a)=a-a_0\ \ \ mod \ \ p^2$を「数の微分」としたとき、
$D_p(ab)≡aD_p(b)+D_p(a)b\ \ mod \ \ p^2$がなりたつ。
証明
$$D_p(ab)=ab-a_0b_0≡(a_0+a_1p)(b_0+b_1p)-a_0b_0≡p(a_0b_1+a_1b_0) \ \ mod \ \ p^2$$
$$aD_p(b)+D_p(a)b≡(a_0+a_1p)(b-b_0)+(a-a_0)(b_0+b_1p)≡p(a_0b_1+a_1b_0)\ \ mod \ \ p^2 $$