ここでは東大数理の修士課程の院試の2021B04の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
今回の解答例、特に(1)の解答に関しては、わたしの文章力の不足のせいで説明の日本語がかなり不親切になっているので、実際に解答として提出するには不適切かもしれません。読まれる際はその点をご了承ください。
2021B03
をとり、線型空間を考える。このときの元及び
で定義される写像はいずれもの全単射を定めている。ここでの全単射全体の為す群のうち、とで生成される部分群をとおく。
(1) の共役類のうち、に含まれるものは、何個の元からなるものがそれぞれ何個あるか求めなさい。
(2) に於いてと可換な元の個数を求めなさい。またその中でと共役な元の個数も求めなさい。
まずの共役類は、その固有値と対角化可能かどうかで分類される。またによって固有値を持つ線型同型とを持つ線型同型が共役になっている。
まず固有値がであるような対角化可能な同型の集合とであるような対角化可能な同型の集合は元集合である。
次に固有値がであるような集合は個の元からなる。
次に相異なる固有値を持ち、一方のだけがの元であるようなもののに於ける同型の集合は個であり、これはによって固有値を持つ同型の集合とも共役になっているから、このに於ける共役類は個の元から成る。このようなの組は通りある。よってこのような共役類は個である。
次に固有値にのみを持つ対角化可能な同型の共役類は個の元から成る。このようなの取り方は通りあるから、このタイプの共役類は個である。
次に相異なる固有値をもち、であるような同型の共役類は個の元から成る。このようなの取り方は通りあるから、このタイプの共役類は個である。
次に相異なる固有値をもち、であるような同型の共役類は個の元から成る。このようなの取り方は通りあるから、このタイプの共役類の個数は個である。
最後に固有値をにもつ場合を考える。まずモニックな-係数既約次多項式の一つをとり、それをとおく。を特性多項式にもつの元は個ある。ここでによる共役を回施したものは固有値を入れ替えただけになるから、このような行列のに於ける共役類は個である。モニックな-係数既約次多項式の個数は個であるから、このような共役類の個数は個である。
次に対角化不可能な場合を考える。まず固有値にを持つ場合、このようなものの共役類は個の元からなり、であるからに於ける共役類も個の元からなる。このようなはしかないから、このタイプの共役類もつである。
最後に固有値にを持つ場合、に於ける共役類は個の元から成る。このようなの取り方は通りあるから、このタイプの共役類は個ある。以上をまとめると、共役類の元の個数としてあり得る値とそれを満たす共役類の個数は
になっている。
まずの群構造はである。ここで群
を考える。この群はを含んでいるから、の部分群を用いての形でかける。まずはに含まれているから、である。一方の元はと可換でないからである、以上から
が分かり、特にと可換なの元は個である。
次にと共役な元は位数がである。ここでに於ける位数の元は、なるを用いてないしと書けるもので尽くされる。このようなは対角行列及び
に共役なものに限られる。そして実際をを満たすように取ったとき、
であるから、及びはの共役類に含まれる。次にとしたとき、
であるから、もの共役類に含まれる。ここでに於ける行列の共役類は個である。一方の元はと共役になり得ない。以上からに含まれると共役な元の個数は個である。