0

東大数理院試過去問解答例(2021B03)

266
0

ここでは東大数理の修士課程の院試の2021B04の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

今回の解答例、特に(1)の解答に関しては、わたしの文章力の不足のせいで説明の日本語がかなり不親切になっているので、実際に解答として提出するには不適切かもしれません。読まれる際はその点をご了承ください。

2021B03

K=F9をとり、線型空間K2を考える。このときGL2(K)の元及び
θ(xy)(x3y3)
で定義される写像はいずれもK2の全単射を定めている。ここでK2の全単射全体の為す群のうち、GL2(K)θで生成される部分群をGとおく。
(1) Gの共役類のうち、GL2(K)に含まれるものは、何個の元からなるものがそれぞれ何個あるか求めなさい。
(2) Gに於いてθと可換な元の個数を求めなさい。またその中でθと共役な元の個数も求めなさい。

  1. まずGL2(K)の共役類は、その固有値と対角化可能かどうかで分類される。またθによって固有値α,βを持つ線型同型とα3,β3を持つ線型同型が共役になっている。
    まず固有値が1,1であるような対角化可能な同型の集合と2,2であるような対角化可能な同型の集合は1元集合である。
    次に固有値が1,2であるような集合は80×7264=90個の元からなる。
    次に相異なる固有値α,βを持ち、一方のαだけがF3の元であるようなもののGL2(K)に於ける同型の集合は90個であり、これはθによって固有値α,β3を持つ同型の集合とも共役になっているから、このGに於ける共役類は90×2=180個の元から成る。このような(α,β)の組は12通りある。よってこのような共役類は122=6個である。
    次に固有値にαF9F3のみを持つ対角化可能な同型の共役類は2個の元から成る。このようなαの取り方は6通りあるから、このタイプの共役類は62=3個である。
    次に相異なる固有値α,βF9F3をもち、α3βであるような同型の共役類は180個の元から成る。このような(α,β)の取り方は626×2=24通りあるから、このタイプの共役類は244=6個である。
    次に相異なる固有値α,βF9F3をもち、α3=βであるような同型の共役類は90個の元から成る。このような(α,β)の取り方は6通りあるから、このタイプの共役類の個数は62=3個である。
    最後に固有値をF81F9にもつ場合を考える。まずモニックなF9-係数既約2次多項式の一つをとり、それをfとおく。fを特性多項式にもつGL2(K)の元は72個ある。ここでθによる共役を2回施したものは固有値を入れ替えただけになるから、このような行列のGに於ける共役類は144個である。モニックなF9-係数既約2次多項式の個数は9245=36個であるから、このような共役類の個数は362=18個である。
    次に対角化不可能な場合を考える。まず固有値にαF3を持つ場合、このようなものの共役類は80×729×8=80個の元からなり、α3=αであるからGに於ける共役類も80個の元からなる。このようなα1,2しかないから、このタイプの共役類も2つである。
    最後に固有値にαF9F3を持つ場合、Gに於ける共役類は80×2=160個の元から成る。このようなαの取り方は6通りあるから、このタイプの共役類は62=3個ある。以上をまとめると、共役類の元の個数としてあり得る値とそれを満たす共役類の個数は

    元の個数共役類の個数
    12
    23
    802
    904
    14418
    1603
    18012

    になっている。

  2. まずGの群構造はGGL2(K)θである。ここで群
    C={gG|gθ=θg}
    を考える。この群はθを含んでいるから、GL2(K)の部分群Nを用いてCNθの形でかける。まずGL2(F3)Cに含まれているから、GL2(F3)Nである。一方GL2(K)GL2(F3)の元はθと可換でないからN=GL3(F3)である、以上から
    C=GL2(F3)×θ
    が分かり、特にθと可換なGの元は96個である。
    次にθと共役な元は位数が2である。ここでCに於ける位数2の元は、P2=1なるGL2(F3)を用いてPθないしPと書けるもので尽くされる。このようなPは対角行列及び
    (1002)
    に共役なものに限られる。そして実際xF9x2=2を満たすように取ったとき、
    (x00x)1θ(x00x)=(2002)θ
    (x001)1θ(x001)=(2001)θ
    であるから、(2002)θ及び(2001)θθの共役類に含まれる。次にP=g1(2001)gGL2(F3)としたとき、
    Pθ=g1(2001)gθ=g1(2001)θg=g1(x001)1θ(x001)g
    であるから、Pθθの共役類に含まれる。ここでGL2(F3)に於ける行列(2001)の共役類は484=12個である。一方GL2(F9)の元はθと共役になり得ない。以上からCに含まれるθと共役な元の個数は12+1+1=14個である。

投稿日:20231025
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中