0

モノイドから Z/3Z から圏を作ってみた

109
0

初めまして、Mathlogというものを見つけたので試しに記事を書いてみます。宜しくお願いします。

単一対象圏とモノイドの同値性

Wikipedia のモノイドのページに以下のような記述がありました。

モノイドはただひとつの対象をもつ圏(単一対象圏)と本質的に同じものである。もっとはっきり述べれば、モノイド (M, •) はただひとつの対象をもち、M の元を射として小さい圏を成す(射の合成はモノイド演算 • で与えられる)。

これを確かめるために、具体的にモノイドから圏を構成する例として (Z/3Z,+) と同値な圏を構成してみます。

具体的なモノイドから圏を構成する

モノイド (Z/3Z,+) とは以下のような演算を持つモノイドである。

+012
0012
1120
2201

この演算は可換かつ可逆のため、(Z/3Z,+) はアーベル群でもあることがわかる。

圏の対象を決定する

まず、求める圏は対象を1つ持ち、射を3個持っている。このような圏を構成していく。

このとき、圏の唯一の対象を {a} とすると、考えられる射は f:aa ただ一つのみであり、射を3個持つという条件を満たさない。

圏の唯一の対象を {a,b} とすると、考えられる射は4つあるが、その中からどのように3つを選んでも (Z/3Z,+) に同型にならない。

従って、最低でも元の個数を3個にする必要があることがわかる。以下では圏の唯一の対象を X={a,b,c} とする。

圏の射を決定する

このとき可能な射は 33=27個存在する。3つの射は何らかの意味で対称的でなければならないことが想像できるが、ここでは圏の存在を示せば十分なので、恣意的に以下のような3つの射を選ぶことにする。

f:{aabbcc

g:{abbcca

h:{acbacb

圏であることの確認

これが圏であるためには、まず射の合成が {f,g,h} で閉じている必要がある。さもなくば、射の合成と呼ばれる二項演算を定義できない。9通りの射の合成について、具体的に計算してみる。

ff=fgf=ghf=hfg=ggg=hhg=ffh=hgh=fhh=g

以上より、射の合成が定義できた。また、写像の合成は結合法則を満たすため、圏としての結合法則も満たす。加えて、上記の結果より、f は単位元となっている。従って、これらは圏である。

(Z/3Z,+) と同型であることの確認

最後にこれが (Z/3Z,+) と同型になることの確認であるが、fgh、をそれぞれ 0、1、2 に対応させれば、モノイドとして同型になっていることが分かる。

以上より、モノイド (Z/3Z,+) と同値な圏をひとつ見つけることができた。

投稿日:2023618
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 単一対象圏とモノイドの同値性
  2. 具体的なモノイドから圏を構成する
  3. 圏の対象を決定する
  4. 圏の射を決定する
  5. 圏であることの確認
  6. (Z/3Z,+) と同型であることの確認