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ある積分を解く

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$$\newcommand{ipusiron}[0]{\varepsilon} $$

ある積分を解く

解く積分

$$\int_{0}^{\infty}\frac{\log x}{x^2+1}dx$$

はい、この積分を解いていきます。
3通りの方法で解いていきます。

分けて置換する方法

分けて置換していきます。

\begin{align} I&=\int_{0}^{\infty}\frac{\log x}{x^2+1}dx \\&=\int_{0}^{1}\frac{\log x}{x^2+1}dx+ \int_{1}^{\infty}\frac{\log x}{x^2+1}dx \\&=\int_{0}^{1}\frac{\log x}{x^2+1}dx+ \int_{1}^{0}\frac{\log\frac{1}{t}} {\left(\frac{1}{t}\right)^2+1} \left(-\frac{1}{t^2}\right)dt \qquad\left(x\mapsto\frac{1}{t}(t>0)\right) \\&=\int_{0}^{1}\frac{\log x}{x^2+1}- \int_{0}^{1}\frac{\log t}{t^2+1}dt \\&=0 \end{align}

はい、答えは0です。
この方法を使ったら
$$\int_{0}^{\infty}\frac{\log^{2n+1}x}{x^2+1}dx=0$$
が分かりますね。($n$は自然数)
$0,\infty$$0,1$$1,\infty$に分けるのは、
覚えていてもいいんじゃないかなと思います。
ちなみに、上の解き方と同じ方法で分母が$x^2+1$の積分をいじくると次のような結果がでます。

$$\int_{a}^{\frac{1}{a}}\frac{f(x)}{x^2+1}dx =\int_{a}^{\frac{1}{a}} \frac{f\left(\frac{1}{x}\right)}{x^2+1}dx$$
$$\int_{0}^{\infty}\frac{f(x)}{x^2+1}dx= \int_{0}^{1}\frac{f(x)+f\left(\frac{1}{x}\right)}{x^2+1}dx$$

上のやつが使える問題を作ってみたよ。

$$\int_{0}^{1}\frac{x^4+x^2+1} {(x^2+1)(x^2+2)(2x^2+1)}dx$$

解説はしません。
普通にやったらめちゃくちゃめんどいけど、
上のやつを使えば楽になるよー

では次、

留数定理を使う①

はい、みなさん大好き留数定理です。
①があるということは②もあるよ!

$$I=\int_{0}^{\infty}\frac{\log x}{x^2+1}dx$$
$$f(z)=\frac{\log x}{x^2+1}$$
として計算していく、②ではこの$f(z)$を変えて計算する。
後に使うので$f(-z)$を計算する。
\begin{align} f(-z)&=\frac{\log z+\pi i}{z^2+1} \\&=f(z)+\frac{\pi i}{z^2+1} \end{align}
次のような積分経路で積分する。
考える積分経路 考える積分経路
0を避けている理由は、$\log0$は未定義で考えられないから
一周した経路を$C$とする。
$C_2$$C_4$は絶対値による評価で0になる。(やってみてね)
あとは$C_1とC_3$$C$を計算すればいいことになる。
それぞれ計算していく。
\begin{align} \int_{C_1}&=\int_{ε}^{R}f(x)dx \\&=I\qquad(ε\to0\quad R\to\infty) \end{align}
\begin{align} \int_{C_3}&=\int_{-R}^{-\ipusiron}f(x)dx \\&=\int_{\ipusiron}^{R}f(-x)dx \\&=\int_{\ipusiron}^{R}f(x)dx+ \int_{\ipusiron}^{R}\frac{i\pi}{x^2+1}dx \\&=I+\frac{\pi^2}{2}i \qquad(\ipusiron\to0\quad R\to\infty) \end{align}
\begin{align} \oint_{C}&=2\pi i\underset{z=i}{\mathrm{Res}}f(z) \\&=2\pi i\lim_{z\to i}\frac{(z-i)\log z}{(z+i)(z-i)} \\&=\frac{\pi^2}{2}i \end{align}
$$I+I+\frac{\pi^2}{2}i=\frac{\pi^2}{2}i$$
$$I=0$$

はい、あえて複素数にもっていくというやり方ですね。
これを使って先ほど書いた
$$\int_{0}^{\infty}\frac{\log^{2n+1}x}{x^2+1}dx$$
($n$は自然数)これ、今やった方法でできるのかな?
$(\log z+\pi i)^{2n+1}$をやらないといけないのでめんどくさそうではある。
まぁ、できないことは無いのかな?
では次の方法。

留数定理を使う②

先ほどとは別の$f(z)$でやっていきます。

$$I=\int_{0}^{\infty}\frac{\log^2x}{x^2+1}dx$$
この積分を計算していくと、求めたい1乗の積分がでできます。
$$f(z)=\frac{\log^2z}{z^2+1}$$
として計算します。
あとあと使うので$f(-z)$を計算します。
\begin{align} f(-z)&=\frac{(\log z+\pi i)^2}{z^2+1} \\&=f(z)+\frac{2\pi i\log z}{z^2+1}- \frac{\pi^2}{z^2+1} \end{align}
先ほどと同じ経路で積分していきます。
積分経路 積分経路
一周した経路を$C$とします。
$C_2$$C_4$は絶対値で評価することで0になります。(やってみてね)
あとは$C_1$$C_3$$C$を求めていきます。
\begin{align} \int_{C_1}&=\int_{\ipusiron}^{R}f(x)dx \\&=I\qquad(\ipusiron\to0\quad R\to\infty) \end{align}
\begin{align} \int_{C_3}&=\int_{-R}^{-\ipusiron}f(x)dx \\&=\int_{\ipusiron}^{R}f(-x)dx \\&=\int_{\ipusiron}^{R}f(x)dx+ 2\pi i\int_{\ipusiron}^{R}\frac{\log x}{x^2+1}dx- \pi^2\int_{\ipusiron}^{R}\frac{dx}{x^2+1} \\&=I+2\pi i \int_{\ipusiron}^{R}\frac{\log x}{x^2+1}dx -\frac{\pi^3}{2} \qquad(\ipusiron\to0\quad R\to\infty) \end{align}
\begin{align} \oint_C&=2\pi i\underset{z=i}{\mathrm{Res}}f(z) \\&=2\pi i \lim_{z\to i}\frac{(z-i)\log^2z}{(z+i)(z-i)} \\&=-\frac{\pi^3}{4} \end{align}
$$I+I+2\pi i\int_{0}^{\infty} \frac{\log x}{x^2+1}dx-\frac{\pi^3}{2} =-\frac{\pi^3}{4}$$
$$I=\frac{\pi^3}{8}$$
虚部と実部を比較して、
$$I=\frac{\pi^3}{8}$$
$$\int_{0}^{\infty}\frac{\log x}{x^2+1}dx=0$$

はい、でましたね
おまけとして
$$\int_{0}^{\infty}\frac{\log^2x}{x^2+1}dx= \frac{\pi^3}{8}$$
を得ました。

ちなみに、
$$\int_{0}^{\infty}\frac{\log^{2n}x}{x^2+1}dx =\frac{(-1)^nE_{2n}\pi^{2n+1}}{2^{2n+1}}$$
が成り立つらしいです。
Eは これ です。
わたしもなぜこれが成り立つのかはまだやってないです。
いつかやりたいです。
今のわたしのレベルでできるのかな…?

まぁ、ここらで終わりにします。
お終い!!!

投稿日:202378

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ららら
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