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大学数学基礎解説
文献あり

実数がなす加法群の閉部分群

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早速本題

参考文献[1]を読んでいたら以下の主張が使われていたのですが,証明が載っていなかったので考えてみました:

実数のなす加法群$\mathbb{R}$の非自明な閉部分群は$\alpha\neq0\in\mathbb{R}$を用いて$\mathbb{Z}\alpha$と表される.

間違ってたら教えてください

$G$$\{0\}$でない$\mathbb{R}$の閉部分群とする.$G$$0$でない元$x$に対して$|x|\in G\cap \mathbb{R}_{>0}$なので,下に有界な$\mathbb{R}$の部分集合$G\cap \mathbb{R}_{>0}\neq\emptyset$は下限$\alpha=\inf (G\cap \mathbb{R}_{>0})\geq0$を持つ.$\alpha$の値によって場合分けする:

まず$\alpha=0$の場合を考える.このとき$G=\mathbb{R}$となることを示す.$G$が閉であることから$G$$\mathbb{R}$上稠密であることを示せばよい.$\alpha=0$より,任意の$n\in\mathbb{N}$に対して$x_n\in G$があり$0< x_n<1/n$となる.$x\in \mathbb{R}$を任意とするとき,各$n$に対して$x\in[(k-1/2)x_n,(k+1/2)x_n)$となる$k\in\mathbb{Z}$がただ一つ存在するので,それを$k_n$とおく.このとき$k_nx_n\in G$かつ$|x-k_nx_n|\leq x_n/2<1/2n\to 0\ (n\to \infty)$なので,$G$$\mathbb{R}$上稠密である.よって$G=\overline{G}=\mathbb{R}$を得る.

$\alpha>0$の場合は$G=\mathbb{Z}\alpha$となることを示す.$G$は閉なので$\alpha\in G$である.よって$\mathbb{Z}\alpha\subset G$.逆に$x\in G$とする.$x\in [k\alpha,(k+1)\alpha)$となる$k\in\mathbb{Z}$がただ一つ存在する.このとき$x=k\alpha$となることから$x\in \mathbb{Z}\alpha$が従う.実際,もし$x\neq k\alpha$ならば$0< x-k\alpha<\alpha$となるが,$G$が部分群であることから$x-k\alpha\in G$なので$\alpha$の最小性に矛盾する.よって$x=k\alpha\in \mathbb{Z}\alpha$となる.$x$は任意なので$G=\mathbb{Z}\alpha$が示された.

以上で$\mathbb{Z}$の閉部分群をすべて決定できた.

疑問

$\mathbb{R}^2$(もっと一般に$\mathbb{R}^n$)の閉部分群ってどんな形をしてるんでしょうかね?

あと加法群ではなく乗法群の閉(開)部分群なんかを考えてみても面白そうだと思いました(まだ何も考えていない).

ちなみに参考文献[1]は今読んでるんですけど面白いです.今度なんか書こうと思います.

参考文献

[1]
斎藤利弥, 復刊 位相力学 -常微分方程式の定性的理論-, 共立出版, 2002
投稿日:2023623

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投稿者

数学を勉強したりしなかったりします.

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