「二年生の夢」という数学に関する語はご存知でしょうか。
$$\sum_{n=1}^{\infty}\frac 1 {n^n}=\int_{0}^{1}\frac 1 {x^x}dx$$
が成り立つ(正確にはもう一つの等式も)という事実を示します。これ自身も非常に綺麗な関係性ですが、今回私も非常に興味深い等式を発見したので紹介します。
$$\sum_{n=-\infty}^{\infty}\frac {2^n}{1+x^{2^n}}=\int_{-\infty}^{\infty}\frac {2^t}{1+x^{2^t}}dt=\frac 1 {\ln x} ~ (x>1) $$
$$\sum_{n=-\infty}^{\infty}\frac {2^nx^{2^n}}{1+x^{2^n}}=\int_{-\infty}^{\infty}\frac {2^tx^{2^t}}{1+x^{2^t}}dt=-\frac 1 {\ln x} ~ (0< x<1) $$
どうでしょうか!形も、積分と総和の範囲も完全に一致し、更に初等関数で表せるという何とも美しい関係式です。
(某S台で授業を受けているうちに閃きました。浪人してS台行ってまで何してるんだ、という感じはしますが……)
この証明をしていきますが、総和の方については
私の過去記事
をご覧ください。記事中盤から導出しています。この記事では積分の方のみ示します。とはいっても、どちらも高校範囲で示せてしまいます。(2つ目の等式は1つ目の$x\rightarrow \frac 1 x$としたものなので、1つ目のみ示せば十分です。)
$$ \int_{-\infty}^{\infty}\frac {2^t}{1+x^{2^t}}dt$$
$$ =\frac 1 {\ln 2 }\int_{0}^{\infty}\frac 1 {1+x^u}du \qquad 2^t=u と置換した$$
$$=\frac 1 {\ln 2 }\int_{0}^{\infty}\frac {x^{-u}} {1+x^{-u}}du$$
$$=\frac 1 {\ln 2 }\int_{0}^{\infty}\sum_{n=0}^{\infty}x^{-u}\left(-x^{-u}\right)^ndu \qquad 幾何級数公式を用いた$$
$$=\frac 1 {\ln 2 }\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n-1}\int_{0}^{\infty}(x^{-nu})du$$
$$ =\frac 1 {\ln 2 }\sum_{n=1}^{\infty}\frac {(-1)^{n-1}}{n\ln x}$$
$$=\frac 1 {\ln 2 }\cdot \frac 1 {\ln x }\cdot {\ln 2}\qquad 交代級数和$$
$$=\frac 1 {\ln x}$$
極限と積分の交換は断りなく行いましたが、等比なので多分大丈夫でしょう。
(編集段階で気づきましたが、わざわざ等比級数を持ち出さなくても直接積分できますね...)
式を見れば明らかですが、収束するのは$x>1$です。
途中で出てきた$\ln 2$が綺麗に打ち消され、そして置換積分の過程で$\ln x $が出てくるのですね。総和の方は、記事をご覧いただけば分かりますが、極限を取る過程で$\ln x$が出てきます。
単なる偶然の一致と(今はまだ)思っていますが、たとえ偶然でもこう美しい数式が得られるのはなんともいい気分です。
おそらく誰か先人が見つけているでしょうが、もし既出でないなら、「浪人生の夢」とでも名付けましょうかね。
短い記事ですが今回はこれで終わりです。では。