はじめに;Frieze Patternとは
この文章ではConway-Coxeterのfrieze patternと, その連続極限であるLiouvilleの偏微分方程式についての事実をまとめる.
のように, 斜めの格子上に数が並んでいて, 全ての4つ組
に対してが成り立つものをConway-Coxeterのfrieze patternと呼ぶ.
Frieze Patternの性質
整数性
部分的にこういう並び(等が成り立つ)のときにが
正整数ならも整数であることを言いたい。次のような行列の積を考える(上の並びを22のブロックで見たときの下左上という形をしている);
ただしであり、これはが整数ならばやはり整数.
一方、行列式の性質よりであり、frieze patternのルールによりでもあるので. よって左から右への帰納法が使えるので、パターンに登場する数は全て整数.
周期性
まず便宜上frieze pattern を45度回転して、
というように、パターンに現れる数たちをとする. Frieze pattern のルールに則り、斜めに並んだの外側を、さらにその外側をで形式的に埋めてある. 各の位置にある小正方行列を
とすると、
がなりたつ. これより、
上の図より
となるが存在するので、
がなりたつ(周期性).
連続極限
Frieze pattern のルール
においてとおいて連続極限をとると,
ただし, などの表記を用いる. 変換により, 可積分系におけるLiouvilleの偏微分方程式
が現れる.
一般解
変数変換をおこなったLiouville の偏微分方程式
の一般解を求めたい. 変数変換を行い, で一回積分すると,
ただしは任意函数. 分母を払って再びで積分すると,
ただしも任意函数. これはRiccati型常微分方程式の形をしているので, 特殊解が見つかれば一般解を求めることができる; 変数変換
を()に代入し, が特解であることに注意して整理すると,
これは容易に積分ができて,
ただし,
により, 任意函数の自由度をで置き換えた. または新たな任意函数(で積分した時の積分定数)である. 結局,
である(特解に依らない)[1].
Sturm-Liouville系との関係
差分方程式()を"元祖" Frieze pattern の境界条件のもとで解くと
という解が得られる. これをヒントに非線形方程式()を境界条件
のもとで解きたい. 離散版の解()に倣ってというansatzをおくと, ()より. このとき()も満たされる. よっては適当な重み函数に対してSturm-Liouville型微分方程式
の線型独立な解になっている. なお、境界条件はがに対応する.
周期解
Liouville方程式(を変数変換したもの)
の解, 特に離散版の"元祖" frieze pattern のような周期的な解を求めたい. 一般解()においてとおくと()の一般解は
である. しかし、実周期解を作ろうと思ってやを実周期函数にすると不都合が生じる;つまり、実周期函数はどこかでとなるのでが特異点を持ってしまうのである.
これを解決するにはやを複素周期函数にすればよい. つまり, が実になるようにとおくと,
今度はやに課される条件がより緩やかな"準周期性"
になるので, これと分母が消えない条件をみたすようなをとればよい. たとえばとすると,
という解が得られる. なお, 条件を課すと, 境界条件がみたされる.